S期(間期)抽出液
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/26 03:15 UTC 版)
「カエル卵抽出液」の記事における「S期(間期)抽出液」の解説
上記のM期抽出液に、数百μM程度(抽出液中に残留するEGTAを上回る)のCaCl2を加えると、速やかなMPFの不活性化(プロテアソームによるサイクリンBの分解)が起こる。その結果、分裂中期から分裂後期、さらに、S期へと細胞周期が進行する(これをS期抽出液あるいは間期抽出液と呼ぶ)。このS期抽出液に精子クロマチンを加えると、膨潤したクロマチンの周囲に膜小胞が集合し、さらにそれらが融合することで核膜が形成され、細胞核が作られる。さらに、核と細胞質の間では能動的な物質輸送が起こり、核内のゲノムDNAが複製される。これらの抽出液には、大量のmRNAとリボソームが含まれているためタンパク質の翻訳も行われる。このように卵抽出液の無細胞系では、増殖細胞で起こる多くの現象を再現できるが、転写が起こらないことは唯一の例外といっても良い。これは、実際の卵や初期胚において(減数分裂の途中から受精後の胞胚期まで)転写が起こらないことを反映している。
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