NSAIDsの分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 17:39 UTC 版)
「非ステロイド性抗炎症薬」の記事における「NSAIDsの分類」の解説
NSAIDsは様々な種類が知られている。NSAIDsの選択において重要なのは、その使い分けが治療に本質的な差を生むことはなく、副作用のコントロールのためと考えて行うことである。患者のQOLを考慮した技術にすぎない。 サリチル酸系 アスピリン、エテンザミド、ジフルニサルが含まれる。不可逆的な血小板抑制作用がある。アスピリン特有の合併症にはアスピリン喘息とライ症候群がある。喘息患者の10%にアスピリン過敏性があり、アスピリン過敏性がある患者は他のNSAIDsにも過敏である。 プロピオン酸系 静注可能なロピオンや強力な鎮痛作用を持つロキソプロフェン、イブプロフェンがこれに含まれる。強力な鎮痛作用に加えて白血球抑制作用も知られ、その影響から消化管への副作用もアスピリンよりは少ない。ニューキノロン薬と併用する痙攣が起こるという副作用の報告がある。イブプロフェンピコノールのような外用剤もある。 酢酸系 坐剤があるため即効性の高いジクロフェナク(ボルタレン®:フェニル酢酸、アリール酢酸系)や湿布に使用されるインドメタシン(インダシン®:インドール酢酸、アリール酢酸系)が含まれる。消化管潰瘍以外に肝炎や黄疸が生じることもある。インドメタシンは胎児において動脈管閉鎖を促進させるという効果もあるため、妊婦には危険(経皮製剤においても妊婦に使用した場合、胎児に動脈管閉鎖が起こるため禁忌)。 COX-2阻害薬(コキシブ) #COX-2参照 オキシカム系 フェルデン[要曖昧さ回避]、フルカム、ロルカム、モービックといった薬が知られている。フェルデン、フルカムは血中半減期が他のNSAIDsに比べて非常に長いため1日1回投与で十分となる(多くは1日3回投与)。フェルデンは胃腸症状が強いため坐剤で用いることが多く、そのプロドラッグであるフルカムは内服で用いる。モービックはCOX-2を選択的に阻害する、物質名はメロキシカムである。 塩基性 ソランタールなどが含まれる。鎮痛効果が低いがアスピリン喘息の患者にも投与可能ともいわれている。しかし喘息を誘発したという報告もあり用いない方がよいとされている。 ピリン系(ピラゾラン系) 厳密にいえばNSAIDsではない。スルピリンやイソプロピルアンチピリン(総合感冒薬や頭痛薬の一部製品に配合)などが含まれる。解熱鎮痛作用はあるが消炎作用はない。 非ピリン系(アニリン系) 厳密にいえばNSAIDsではない。アセトアミノフェン、即ちピリナジンやカロナール、アンヒバ坐剤が含まれる。解熱鎮痛作用はあるが消炎作用はない。ライ症候群予防のため小児ではよく用いられる。日本では小児用バファリン、世界的にはタイレノール(日本では2000年に市販開始)が有名。 総合感冒薬 NSAIDsの他に抗ヒスタミン薬やカフェインが含まれている。PL顆粒などが含まれる。
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