エーディーエー‐けっそんしょう〔‐ケツソンシヤウ〕【ADA欠損症】
読み方:えーでぃーえーけっそんしょう
体内でアデノシンデアミナーゼ(ADA)を作り出せないために重度の免疫不全になる病気。ADAを合成する遺伝子が先天的に欠損または変異しているために起こる。リンパ球の数が極度に少なく、治療を行わないと乳幼児期に感染症などで死亡することが多い。
[補説] ADAを補充する従来の療法は一生継続する必要があり、費用も高額になる。近年では、ADA遺伝子をベクターに組み込んでリンパ球に導入する治療も行われるが、やはり効果のある期間は限定的となる。そこで、骨髄幹細胞にADA遺伝子を導入することで、生涯にわたりADAを作り出せるようにする治療法も開発されている。日本では平成7年(1995)に北海道大学で初めてADA欠損症の遺伝子治療が行われた。
アデノシンデアミナーゼ
(ADA欠損症 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 03:48 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動アデノシンデアミナーゼ(ADA:adenosine deaminase; EC 3.5.4.4)は、細胞内で核酸の代謝に関わる酵素である。これが先天的に欠損していると重篤な免疫不全の原因になる。また、結核の診断において胸水・髄液中ADA活性の上昇が特徴的として知られており、臨床的に利用されている。
働きは、核酸塩基の一種アデノシンを分解しイノシンとアンモニアを生成することである。同様にアデノシンを代謝するものとしてアデノシンキナーゼが存在するが、ADAはアデノシン濃度が高いときに特に働いている。
血液腫瘍(白血病など)、肝炎などで高値を示すほか、胸水が結核性の場合は細菌性・心原性のときに比べて胸水中ADA濃度が上昇する。髄膜炎でも同じく、結核性髄膜炎では髄液中ADA濃度が高値を示す。
ADA欠損症(重症複合免疫不全症)
ADAはリンパ球増殖の際に特に需要が高く活性が上がるが、生まれつきADAを合成できない場合はリンパ球が減少するなどして免疫不全を来す。無治療の場合は多くが乳児期に死亡するという重篤な疾患である。
治療としては、ADA酵素を外部から補充する治療が一般的である。 しかしこれは、ADAを合成する遺伝子の欠損であるため究極的な治療法は遺伝子治療であり、最も早くから遺伝子治療の研究対象となってきた。 手法としてはウイルスをベクター(運び屋)として患者のリンパ球にADA合成遺伝子を組み込み、体内に戻すというものである。
出典
- IUBMB entry for 3.5.4.4(英語)
- BRENDA references for 3.5.4.4 (英語)
- PubMed references for 3.5.4.4(英語)
- PubMed Central references for 3.5.4.4(英語)
- Google Scholar references for 3.5.4.4(英語)
外部リンク
- IUBMB entry for 3.5.4.4(英語)
- KEGG entry for 3.5.4.4(英語)
- BRENDA entry for 3.5.4.4(英語)
- NiceZyme view of 3.5.4.4(英語)
- EC2PDB: PDB structures for 3.5.4.4(英語)
- PRIAM entry for 3.5.4.4(英語)
- PUMA2 entry for 3.5.4.4(英語)
- IntEnz: Integrated Enzyme entry for 3.5.4.4(英語)
- MetaCyc entry for 3.5.4.4(英語)
- Atomic-resolution structures of enzymes belonging to this class(英語)
ADA欠損症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/28 10:01 UTC 版)
アデノシンデアミネース欠損症。SCIDの症例の一つ。T細胞、B細胞、NK細胞の全てが欠損し、免疫不全を起こす。日本でも遺伝子治療が成功した疾患。ナオヤはADA欠損症であったが、幼少期にアメリカで遺伝子治療の臨床試験を被験したことで快方した。
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