雪対策
雪対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 15:52 UTC 版)
前述の通り、路線長の68パーセントがトンネルであるが、残る地上区間については先述したほかにも数々の雪対策が施されている。これら対策を開業当初から施したことにより、ほくほく線は接続するJRの路線が不通になった時でも運休することはほとんどなく、雪対策で不備をきたしたことも皆無に近い。 消雪溝 車両が排雪した後も線路脇に雪の壁を作らないようにするための装備。六日町駅構内に設けられており、線路脇に溝を作って地下水を流す。なお六日町では地下水汲み上げによる地盤沈下が激しく、地下水の利用には制限があるため、使用後の水は循環使用される。 パネル式融雪装置 車両が排雪した後も線路脇に雪の壁を作らないようにするための装備。地下水によって加温した不凍液をパネルの中に循環させるもので、民家や施設が周囲にあって除雪の際に投雪ができない場所に設けられている。六日町駅構内では地下水は循環利用であるが、関越自動車道を跨ぐ場所では取水制限がないため地下水は循環利用していない。 融雪ピット 六日町駅構内の踏切脇に設けられており、レールの間の枕木上にFRP製のトレーを置き、地下水を流すことによって列車に押された線路内の雪の量を減らす。これによって線路から踏切内へ持ち込まれる雪が少なくなる。前述の取水制限があるため、使用後の水は循環使用されている。 スプリンクラー 六日町の車両基地構内、十日町駅構内などに設けられている。六日町では地下水を利用するが、前述の取水制限があるため使用後の水は循環使用されているほか、車両基地内も路盤をアスファルト舗装とし、その上にバラストを敷いた強化路盤としている。十日町駅手前の飯山線を跨ぐ部分は赤倉トンネルの湧水を、十日町駅構内では薬師峠トンネルの湧水を利用しており、使用後の水は十日町の市街地道路の融雪に利用された後、信濃川へ放流されている。 熱風ヒーター 地下水脈が全くないため地下水を利用する手段が採れず、水利権の関係で川の水も利用できないまつだい駅構内の分岐器に装備される。ボイラーで摂氏100度まで加温された温風をダクトで分岐器に導くもので、温風噴射口では摂氏40度程度の温風となる。なお、松代地区では道路の融雪も水が利用できず、ロードヒーティングが主体である。 温水ジェット噴射装置 分岐器の可動部分で雪氷が詰まることによって、分岐器の不転換を引き起こすことがある。無人駅がほとんどのほくほく線では、直ちに人力で対応することは難しいため、不転換の分岐器があった場合には温水を噴射して氷雪を溶かす方法を採用した。この装置は運行指令所から遠隔操作され、噴射口からは摂氏25度の温水が60秒間噴射される。この装置は、ほくほく線の本線上にあるすべての分岐器に装備されている。降雪のないトンネル内の信号場にも設置されているのは、通過車両から落下する可能性のある雪や氷を考慮したためである。 除雪機械(モーターカー) JRから譲受した旧式の排雪用のモーターカー1台のほか、ほくほく線開業時に新造した2台が用意されている。新造したモーターカーは、犀潟寄りに雪を両脇に押し出すラッセルヘッド、六日町寄りに線路脇の雪の壁を崩した上で投雪するロータリーヘッドを装備しているほか、架線に付着している霜や雪を除去するためにパンタグラフを装備している。冬期中は、これらのモーターカーで夜間時に除雪作業を行っている。 このような地上側での雪対策の装備について、定期点検を含めた総経費は年間約1億円である。 くびき付近の開床式高架橋 十日町付近の高架橋では両脇に湧水を流している 六日町駅構内に設けられた消雪溝 線路の両側にパネル式融雪装置が設置されている区間。線路の両側の部分だけ積雪がない まつだい駅の分岐器に設置される熱風ヒーター。レールの間にある四角い箱のようなものがダクトである 十日町駅に取り付けられた消雪スプリンクラー 地上側の設備に加え、線内列車に使用されるHK100形電車のスノープロウの先端部分は櫛の歯のような形状にしている。これは2本のレールの間の雪が圧雪状態の塊になると脱線事故の原因になりかねないため、この先端部分で雪をほぐし、圧雪状態にならないようにするためである。さらに、前述の運行体制の一環として、大雪であっても列車の運行を行うことによって、線路上への積雪を最小限に抑えている。北越急行では、「最大の除雪手段は、列車を走らせ続けること」としている。 先端部分が櫛の歯のような形状になったHK100形電車のスノープロウ 車両洗浄機や洗浄台も収容庫内に設けられた
※この「雪対策」の解説は、「北越急行ほくほく線」の解説の一部です。
「雪対策」を含む「北越急行ほくほく線」の記事については、「北越急行ほくほく線」の概要を参照ください。
- 雪対策のページへのリンク