行政監督
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/02 14:48 UTC 版)
日本における労働基準監督は、適用除外や特例のない限りにおいて、厚生労働省労働基準局長、都道府県労働局長、所轄労働基準監督署長及びそれらに所属する労働基準監督官から組織される労働基準監督機関(以下「一般労働基準監督機関」という。)が担っている。労働基準監督官は、労働基準法、最低賃金法、じん肺法、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法、家内労働法、労働安全衛生法、作業環境測定法、賃金の支払の確保等に関する法律の8の法律については、その違反に関して、行政取締(是正勧告)の権限を行使するのみならず、その違反に係る犯罪に対しては司法警察権をも有する。また、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準については、法規命令(告示)であるため罰則はないが、この違反についても是正勧告を行う。このほか、これらの法律の施行や労働災害の防止のために必要な事項については、法律違反でなくとも、行政指導等の行政措置を行う。 労働基準監督官は、国家公務員であり、原則として法文区分又は理工区分の労働基準監督官採用試験に合格した者のうちから任用され、労働基準監督署での実地研修・訓練や独立行政法人労働政策研究・研修機構労働大学校等における講義形式の研修・訓練を受ける。労働基準監督官の罷免には、公・労・使からなる労働基準監督官分限審議会の同意を必要とする。また、女性労働者については、厚生労働省雇用環境・均等局長及びその指揮の下にある職員も監督を行うことが出来る。 労働基準監督官は、数年から1ヶ月単位の監督計画に基づいて、原則予告せず、事業場へ立入検査(臨検)を行っている。違反その他の問題点が認められた場合は、是正勧告書、指導票等の文書を交付し、それに対する是正・改善を確認して行政指導を完了するが、重大又は悪質な違反行為については刑事訴追のための捜査・送検を行う。また、監督の手法には、立入検査だけでなく、所轄労働基準監督署等に事業主を出頭させて行う「呼出監督」、講演形式で行う「集団指導」などがある。従来は、労働基準監督官は1名で臨検することが多かったが、平成31年度からは2名以上で臨検することが原則とされている。 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法については、雇用均等行政(厚生労働省雇用環境・均等局長、都道府県労働局長、都道府県労働局雇用環境・均等室長及びその所属する職員)が違反等に対する是正指導、公表処分等を行うが、報告徴収・立入検査に関する違反を除き罰則がないため司法警察権は有していない。 この外、労働基準監督機関以外の国又は地方公共団体が、許認可権を握る社会福祉施設、自動車運送業等の事業者に対する監査において労働基準関係法令の遵守状況も併せて調査指導を行うことがあり、諸分野における助成金の支給要件に労働基準関係法令の遵守が盛り込まれていたり、国及び地方公共団体が、安全管理を怠り重大な労働災害を発生させた建設事業者に対して公共工事における指名停止処分を行ったりしており、これらも労働基準関係法令の履行確保に役立っている。
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