科学映像館とは? わかりやすく解説

科学映像館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/14 23:38 UTC 版)

科学映像館(かがくえいぞうかん、Science Film Museum)は、日本で過去に制作された科学映画の保存と普及を図るインターネットによる映像アーカイブである。科学映像館の企画運営は、2007年6月7日に設立されたNPO法人科学映像館を支える会[1]が担当。関係者、関係企業・組織、映像制作会社などの協力と個人会員および協賛企業の寄付、撤去冠の歯科医及び個人の寄付に支えられている。

概略

日本国内では古いもので1920年代、また戦後以降となる1950年代から70年代を中心に教育目的や科学知識普及のため、多くの教育、科学映画が製作された[2]。学問や教材としても、貴重な映像遺産となりうる作品群だが、そのほとんどが長期間公開されないままフィルムが劣化し、死蔵化の一途を辿る。そこで2007年に「NPO法人科学映像館を支える会」を発足。教育、科学映画。また記録映画の映像を発掘・収集し、著作権者の了解を得た後、専門企業に委託してデジタル化などの復元処理を施し、ウェブサイト「科学映像館」などで公開している[2]。了承を得られた約1,100品は無料公開。「館」と命名されているが、デジタル博物館の形をとっており、立ち入れる建築物はない。2021年6月1,140作品を公開。

収集した映像の著作権や出演者の肖像権にまつわる事務交渉、管理も行っており、教育現場はもとより映画祭、博物館の企画展示、テレビ番組での使用への貸し出しも行っている[2]。また東京国立近代美術館付属フィルムセンター所蔵ネガフィルムのデジタル化も行った(教育、科学映画のみ)。

デジタル復元したデータの保管は東京光音に委託。HD化データはHDCAMテープ、DVテープ、またはブルーレイディスクにバックアップし、SD化データはデジタルベータCAMテープ、DVCAMテープ、またはDVDにバックアップ。年1回の巻き戻しとクリーニング、5年ごとに新テープへのコピーを行っている[3]

2018年6月、日本で初めてデジタル化した313作品を国立国会図書館に納品[2][3]

2019年1月に「第11回埼玉県人会善行賞」を受賞[2]

2020年6月に「日本科学技術ジャーナリスト会議」の科学ジャーナリスト特別賞を受賞

2021年4月に「デジタルアーカイブ学会」実践賞を受賞

主な活動

  • 原版35mmネガフィルム原版から高画質のデジタル化(HD化)
  • 保管・管理
  • HD化作品の普及・活用
  • ウェブサイトから情報・映像を配信
  • YouTube「NPO法人科学映像館」に690作品を配信

配信映像例

  • つばめを動かす人たち」製作:加藤秀男・片田計一、撮影:植松永吉・川村浩士 1954年 (株)日映科学映画製作所 [1]
  • 「粟野村」製作:岡田桑三、演出:丸山章治、脚本:吉見泰、撮影:小松浩 1954年 企画:東北電力株式会社 [2]
  • 「窓ひらく 一つの生活改善記録」東京シネマ生命科学シリーズ 製作:岡田桑三 脚本:吉見泰 1958年 東京シネマ 板硝子協会 [3]
  • 「ミクロの世界 ー結核菌を追ってー」製作:岡田桑三、脚本:吉見泰、撮影:小林米作 1958年 中外製薬 [4]
  • 「生命誕生」製作:岡田 桑三、脚本:吉見 泰、撮影監督:小林米作 1963年 [5] (同HD)[6]
  • 「野尻湖発掘の記録」1973年 野尻湖発掘調査団 [7]
  • 「THE BONE」製作:小林米作 ヨネ・プロダクション 1982年 藤沢薬品工業帝人 [8]
  • 「死線を越えて-賀川豊彦物語-」(短縮版) 監督:山田典吾 製作:山田火砂子、提供:賀川豊彦記念松沢資料館 [9]
  • 「信州のまつり」1965年 企画:長野県、長野県観光連盟 制作:岩波映画製作所 [10]

組織

  • 科学映像館 館長:折茂 肇(健康科学大学学長)
  • 企画運営:NPO法人科学映像館を支える会
  • 事務所:〒350-1103 埼玉県川越市霞ヶ関東3-1-16

関係映像制作会社

課題

各地域の博物館、図書館、生涯教育センターなどでも多数の記録映画が製作、所蔵されているが、これらは提供されていない。交渉の末、文化庁や県知事の許可を得たうえ、無編集の16mmフィルム素材60作品を入手しかけたこともあったが、出演者の肖像権を理由に断念している[3]

脚注

  1. ^ NPO法人科学映像館を支える会 | NPO法人ポータルサイト - 内閣府”. 内閣府. 2021年2月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e 埼玉県. “NPO法人科学映像館を支える会を訪問しました”. 埼玉県. 2020年12月1日閲覧。
  3. ^ a b c 久米川正好「科学映像を守る 記録映画の保存と活用」『情報管理』第55巻第6号、科学技術振興機構、2012年、400-407頁、doi:10.1241/johokanri.55.400ISSN 0021-7298NAID 130001855903 

関連項目

外部リンク


科学映像館

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