じんじゃ‐けんちく【神社建築】
じんじゃけんちく 【神社建築】
神社建築
神社建築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:39 UTC 版)
現存する平安時代以前の神社建築には、上述した山岳宗教の遺構「三仏寺投入堂」と宇治上神社本殿があるのみである。 宇治上神社本殿(京都府宇治市、国宝) 切妻造・平入の屋根を葺きおろし、身舎の前方に庇を付けて前側の流れを長くした形式である流造によって建造されており、平等院の鎮守とされた神社である。建築材の年輪年代測定によって、康平3年(1060年)ころに建造されたことが判明した、現存する最古の神社建築である。 厳島神社社殿(広島県廿日市市、国宝) 安芸国の一の宮であり、市杵島姫命(いちきしまひめみこと)を祀り、航海の守護神とされた。安芸守だった平清盛の崇敬を受け、院政期には平氏一門の氏神のように遇され、長寛2年(1164年)には『平家納経』全33巻が納められた。中心となる両流造の社殿は後世に再建されたものだが、平氏の時代の様式を残しており、現在のように満潮時には拝殿下まで海水が入る特殊な建築様式で構え直されたものである。潮が満ちると社殿や鳥居が海中に浮かぶ景観は美しく、国の特別名勝にも指定され、「宮島」とも称されて日本三景のひとつとして名高い。1996年(平成8年)、世界遺産のなかの文化遺産に登録された。 なお、神社建築様式のうえでは、今日、流造とともに神社本殿の普遍的な形式となっている春日造が平安時代末期には成立していたとみられる。春日造は、切妻造・妻入で、やはり身舎の正面に庇を付けた春日社本殿にみられる形式で、庇を疎垂木(まばらだるき)として身舎より軽く扱う庇本来のあり方を示す。この形式は、定期造替ののちの旧殿分与によってその後畿内各地に広がったとみられる。 また、春日造の一種とみられる隅木入春日造(熊野造)は、熊野信仰の伝播により中世以降、日本全国に広まった。
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