短期大学の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 04:13 UTC 版)
詳細は「日本の短期大学一覧」を参照 日本の大学は学校教育法の条文により第83条第1項に「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」と定められた教育機関であり、その修業年限は原則として4年とされている。その一方、第108条第1項に「大学は、第83条第1項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる。」とし、第2項に「前項に規定する目的をその目的とする大学は、第87条第1項の規定にかかわらず、その修業年限を2年又は3年とする。」とする大学と定めている。これが短期大学である。したがって短期大学は学校教育法において大学の制度内に置かれる大学の一種とされ、法令文においては「学校教育法第108条第2項の大学」としている。また公務員採用試験の募集要項において、「学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)を卒業した者」と記される場合があるが、これは受験資格を学校教育法第108条第2項の大学(短期大学)と区別するためのもので、その意味は「学校教育法第83条第1項」のことであり、修業年限4年の大学(第87条第1項)をいう。 第二次世界大戦後の学制改革に伴い、1942年(昭和22年)の学校教育法の一部改正による施行により戦前からの旧制専門学校が新制大学に移行する際に、大学設置基準に満たない学校が出ることが問題とされたため、その解決のために新設されたのが短期大学の制度である。当初は暫定の制度とされ、1950年(昭和25年)に「当分の間」という単語が含まれた制度が作られた。1964年(昭和39年)に「当分の間」という単語がなくなり、恒久化された。 短期(2年制)大学の起源は1901年にイリノイ州から始まったジュニア・カレッジ(junior college)とされる。戦後に同じく欧米諸国でも短期の高等教育が注目され、特にアメリカでは地域の住人を対象にした公立のコミュニティ・カレッジを重点に、教養、職業、進学などの教育に力を入れていた。戦後欧米の2年制大学は日本の短期大学の一つの見本とされた。 1950年(昭和25年)に設置された日本の短期大学は公立17校、私立132校で合計149校となっている。 またこれら各校は、旧制専門学校から移行した学校に留まらず、旧制中等学校卒業者を対象としていた各種学校のうち短期大学の基準を満たし移行した学校、短期大学制度発足により新規に設置された学校など、発足に伴い各校の個性がある。 通常の大学では先に学部が置かれ、その下に学科が置かれるのに対し(以下「大学」とはこれをいう)、短期大学では直接学科が置かれる。 短期大学制度の発足当初から置かれている主要な学科は、教養、英文学、日本文学、保育学などに関する学科を中心とし、勤労者向けに夜間に教育を行う経済学、工学などに関する学科もあった。一方で従来は2年制だった昼間の保育・発達科学の学科が3年制の教育課程になりつつある。 看護学の学科を置く短期大学は1990年代に増加し、昼間で福祉学に関する教育を行う学科も増えていた。しかし、医療技術の高度化による教育の拡張傾向や看護師取得に必要な要件の変更から大学への改組が相次いでされた(医療技術短期大学(3年制)を参照)。 また国公私立の短期大学が併合や合併、大学に改組した例が過去に数多く存在する(新制大学を参照)。なお現在、国立短期大学については全て廃止されている。 現在、短期大学の数は公立13校、私立302校で合計315校であり、そのうち医療技術短期大学が設置されているのは公立2校、私立29校で合計31校である。また中学校・小学校・幼稚園等の教員免許状(二種免許状)の教職課程が置かれている短期大学も多くある(教職課程を設置している短期大学一覧を参照)。 近年では、2年又は3年の高等教育機関として、中等教育修了者や成人を対象に、一般教養と専門職業技術の教育、四年制大学編入学、成人の継続教育を行う大学として存在意義をなしている。
※この「短期大学の概要」の解説は、「短期大学」の解説の一部です。
「短期大学の概要」を含む「短期大学」の記事については、「短期大学」の概要を参照ください。
- 短期大学の概要のページへのリンク