海軍大学校とは? わかりやすく解説

かいぐん‐だいがっこう〔‐ダイガクカウ〕【海軍大学校】

読み方:かいぐんだいがっこう

海軍士官高等学術教授し併せてその研究を行う機関旧日本海軍では、東京品川区大崎にあった


海軍大学校

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 03:20 UTC 版)

海軍大学校

海軍大学校(かいぐんだいがっこう、旧字体海󠄀軍大學校󠄁)は、日本海軍の上級将校教育機関である。略語として海大とも呼称される。日本陸軍では陸軍大学校、現在の海上自衛隊では、海上自衛隊幹部学校に相当する。

概要

開設と移転

1888年明治21年)7月14日、勅令第55号により海軍大学校官制制定。同年8月28日東京築地旧海軍兵学校生徒館に開校[1]。初代校長は海軍省軍務局井上良馨が兼任した。同年11月26日授業開始[2]

1923年大正12年)9月1日関東大震災で罹災し、同年12月末応急仮校舍の大部分が竣工。1932年昭和7年)8月27日、東京・上大崎元陸軍衛生材料廠跡に移転、同年9月1日新校舍にて授業開始[3]。新しい海大は庁舎と呼ばれた校舎を中心に兵棋演習場、科学実験場などを備えた大規模な施設であった。坂本俊篤は、12年の長きに渡り海軍大学校教育に携わったため、「海大の父」と呼ばれた。

入校選抜

海軍の兵科高級幹部を養成する「甲種学生」の課程は海軍兵学校の卒業生が海軍士官(兵科将校)に任官後、10年程度の実務経験を経た中から選抜された。受験資格は兵学校での教育を受けた中堅将校である大尉少佐であることが基本であった。入校者は海軍兵学校の卒業席次が高いものが多かったが、席次が低くても本人の努力次第で入校することができた。 募集人員は10〜20名前後で、満州事変が始まると30名にまで増やされた。その後、支那事変が始まると学生を採用しない年度も出てくるようになる。

「甲種学生」のほかには「機関科学生」、「選科学生」等の課程があった。

昇進との関連

海軍大学校を卒業することは、海軍の官僚組織で出世するための重要な条件の一つではあったが、陸軍の「天保銭組」(陸軍大学校卒業生の通称)のように大学校卒業が軍の中枢ポストに昇進するために必須に近いものとされていたわけではなく、大学校における成績も陸軍ほどには重視されていなかった。海軍の人事においては海軍兵学校の卒業席次(ハンモックナンバー)が重視されており、大学校を卒業せず、艦隊勤務など実施部隊を多く経験した叩き上げの士官で高位昇官を果たした例も少なくない。反対に陸軍では陸軍士官学校の卒業席次は重視されず、士官学校での成績が悪くとも卒業後は本人の努力で大学校への入校と高位昇官を果たすことが可能であった。

海大を卒業しないで大将まで昇進した人物として加藤寛治井出謙治安保清種野村吉三郎中将栗田健男木村昌福田中頼三大西瀧治郎左近允尚正醍醐忠重多田武雄西村祥治松永貞市など少なからず存在し、しかも艦隊司令長官、軍令部次長、海軍次官等の要職についている。少将クラスになると大田実柴崎恵次城島高次千田貞敏五藤存知菊池朝三、野村留吉、平出英夫など多数に上る(いずれも戦死後昇進を含まず)。

イギリスとの関係

日本は海軍の近代化・西洋化のためにイギリスに援助を仰ぎ、イギリス海軍軍事顧問を派遣して海大のカリキュラムの開発を支援した。海大の初期の軍事顧問の中でも特に著名なのが、1887年から1893年まで同校で講義を行ったジョン・イングルスである。イングルスは西洋の戦闘術を紹介しただけでなく、数学や物理学、蒸気軍艦の運航に必要な技術などの講義も行い、指揮官の重要性を強調した[4]

廃止

第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)5月以降は機能を失い、敗戦後海軍大学校は廃止され、建物は国立予防衛生研究所が使用した。建物は研究所の移転後も残っていたが、1999年平成11年)取り壊された。

旧蔵書

海軍大学校の旧蔵書のうち約8000冊が、広島県呉市海上保安大学校図書館に「旧海軍大学校図書」として保存されている。

歴代校長

主な卒業生

参考文献

関連項目

脚注

  1. ^ 海軍兵学校が築地から江田島に移転した。
  2. ^ 実松譲『海軍大学教育 戦略・戦術道場の功罪』第二章 あゝ海軍大学校 海大六十年の歩み p76~p77
  3. ^ 実松譲『海軍大学教育 戦略・戦術道場の功罪』第二章 あゝ海軍大学校 海大六十年の歩み p87~p89
  4. ^ Evans, David C.; Peattie, Mark R. (1997). Kaigun: Strategy, Tactics, and Technology in the Imperial Japanese Navy, 1887-1941. Annapolis, MD: Naval Institute Press. ISBN 0-87021-192-7  p. 13

外部リンク


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