水平分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:32 UTC 版)
海洋は大陸棚の縁を境として、陸に近い沿岸域と、陸から遠く離れた外洋に水平区分される。深海には光合成を行う植物のような基礎生産者が存在せず、深海生物のエネルギー源となる有機物は主に浅海と陸地から供給される。このため、一般的に深海魚(および、ほかの深海生物)は陸に近い海域ほど多く、外洋に出るほど少なくなる。また、熱帯域の外洋では対流が起きないため表層の生物が少なく、利用可能な堆積物に乏しい荒涼とした海底が広がることもある。 海底地形の特徴はそれぞれの地域によって異なり、底生性深海魚の分布に大きな影響を与える。一方で、深海中層の環境は比較的安定し均質であるため、遊泳性深海魚は広範囲な分布域を持つ種類が多い。三大洋(太平洋・インド洋・大西洋)すべてに分布する深海魚も少なくなく、汎存種(汎世界種)と呼ばれる。遊泳性深海魚の生物群系は主に気候や大陸・島嶼地形の影響を受けながらおよそ20に分類され、これはほかの生物群と比較して著しく少ない区分数である。ハダカイワシやムネエソ類など、大陸棚に沿った分布域を示す遊泳性深海魚を、「pseudoceanic(偽外洋性)」と特に区別して呼ぶこともある。
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