正準変数
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正準変数(せいじゅんへんすう、英: canonical variable)とは、ハミルトン形式の解析力学において、物体の運動を記述する基本変数として用いられる一般化座標と一般化運動量の組をいう[1][2][3]。しばしば一般化座標は文字 q 、一般化運動量は p で表される。正準(カノニカル、英: canonical)という語は標準的、慣例的という意味を表す[4]。ウィリアム・ローワン・ハミルトンによって導入された正準変数による形式に正準(仏: canonique)という語を充てたのは、カール・グスタフ・ヤコブ・ヤコビである[5][6]。
正準変数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:03 UTC 版)
天体力学のいくつかの問題(ラグランジュの惑星方程式の導出、軌道共鳴の議論など)にはケプラーの軌道要素ではなく正準共役量を基本変数として用いるハミルトン力学が適している。例えばドロネー変数 ( l , g , h , L , G , H ) {\displaystyle (l,g,h,L,G,H)} は l = M , L = μ a {\displaystyle l=M,\ \ L={\sqrt {\mu a}}} g = ω , G = μ a ( 1 − e 2 ) {\displaystyle g=\omega ,\ \ G={\sqrt {\mu a(1-e^{2})}}} h = Ω , H = μ a ( 1 − e 2 ) cos I {\displaystyle h=\Omega ,\ \ H={\sqrt {\mu a(1-e^{2})}}\cos I} により定義され、 ( l , L ) {\displaystyle (l,L)} , ( g , G ) {\displaystyle (g,G)} , ( h , H ) {\displaystyle (h,H)} が正準共役な組となっている。このときハミルトニアンは F = − μ 2 2 L 2 {\displaystyle F=-{\frac {\mu ^{2}}{2L^{2}}}} により与えられる。なおこれらの変数はケプラー問題の作用・角変数と関係している。 正準形式の摂動論は摂動後のハミルトニアンから角変数を消去するような正準変換を構築することによって実現される。このような正準変換を施すと、変換後の作用変数が時間変化しなくなり、問題を自明に解くことができる。このような変換は摂動の任意の次数まで続けることができるものの、この摂動級数は収束せず、級数を途中で打ち切る必要がある(この事情は定数変化法により得られる摂動級数でも同じである)。
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