構造と生活環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 01:15 UTC 版)
栄養体は隔壁のない単核あるいは多核体の葉状体で、多くの場合菌類の菌糸体によく似た形態に収斂進化を起こしている。特に隔壁を欠いている点は菌類の中でもツボカビ類や接合菌と類似している。他の卵菌に寄生するフクロカビモドキなどの葉状体は単純な袋状で菌糸状の形はとらない。葉状体は動植物遺体上で有機物を分解したり、他の生物に寄生して生活する。細胞壁の主成分はセルロースで、菌類(キチン)と異なる。 遊走細胞は同じ不等毛類の褐藻などと同様で、マスチゴネマを持つ羽型鞭毛と鞭型鞭毛をセットで持つ。葉状体は複相(2n)で、無性生殖に際しては菌糸様の葉状体の先端に胞子嚢を形成し、この内部の原形質が分割されて多数の遊走子を生じ、これが泳ぎ出て宿主に到達する。葉状体に形成された一次型遊走子はクロミスタ界の中でも真眼点藻類の遊走細胞と同様に2本の鞭毛を細胞の前端に持つが、一次型遊走子がシスト化してから脱皮して生じる二次型遊走子は褐藻などと同様にソラマメ型の細胞の側面から前方に羽型鞭毛が、後方に鞭型鞭毛が伸びる。 有性生殖は、配偶子が独立せず、配偶子嚢の状態で接合する配偶子嚢接合という形を取る。まず葉状体に多核の造精器と生卵器が互いに接して形成され、それぞれの内部で減数分裂が行われる。造精器から生卵器に受精管が伸び、単相(n)の配偶子核が移送されると生卵器内に受精によって生じた厚壁の卵胞子が1-40個形成される。この卵胞子を形成する有性生殖により卵菌と呼ばれる。卵胞子が休眠後発芽すると遊走子嚢が突出し、そこから多数の遊走子が放出される。
※この「構造と生活環」の解説は、「卵菌」の解説の一部です。
「構造と生活環」を含む「卵菌」の記事については、「卵菌」の概要を参照ください。
- 構造と生活環のページへのリンク