性的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/30 13:26 UTC 版)
性的特徴(せいてきとくちょう、英: sexual characteristics)とは、主に性的二形を示す生物における性別に関わる身体的な特徴のことを指す。これには第一次性徴や第二次性徴が含まれる。
概説
多くの生物には性別があり、その性別を特徴づける身体的な特徴を有している。これは性的特徴と呼ばれる。その特徴の違いが性差となる。よく知られる性別は男(雄)と女(雌)である。
しかし、実際には多くの生物は典型的な雄と雌の対極として分類できず、複雑な特徴を有するものがおり、性別を連続的に捉える考え方が生物学では採用され始めている[1][2]。例えば、学術ジャーナルの『Nature』でも「性別は2つであるという考えは安易であり、現在の生物学者は性別はスペクトラム(多様な形態)であると考えている」と説明されている[3]。逆に性別は2つのみであるという考え方は性別二元論と呼ばれる[4]。
出生時に割り当てられた性別を「生物学的性別」と呼ぶ人もいるが、それは可能性のある性的特徴を完全には捉えていない[5]。
人間の性的特徴
人間には一般的に男性と女性の性的特徴がある。ただし、男性と女性の典型的な解剖学的性的特徴を有さない人もおり、インターセックスと呼ばれる[6][7]。
次の表は、人間の性的特徴をリストにしたものである[8][9]。
各要素 | 典型的な女性 | 典型的でない | 典型的な男性 |
---|---|---|---|
性決定時の生物学的特徴 | |||
性染色体 | XX | X、XXY、XXX、46,XX | XY |
第一次性徴 | |||
生殖腺 | 卵巣 | 卵精巣 | 精巣 |
性ホルモン | 高い値のエストロゲンとゲスターゲン(プロゲステロンを含む)、低い値のアンドロゲン(テストステロンを含む) | アンドロゲン不応症 | 高い値のアンドロゲン(テストステロンを含む) |
内性器 | 膣、子宮、輸卵管 | ミュラー管無発生 | 海綿体、前立腺、精管、精嚢 |
外性器 | 陰核、陰唇、外陰部、陰核包皮 | 小陰茎症 | 陰茎亀頭、陰嚢、陰茎、陰茎包皮 |
第二次性徴 | |||
乳房の肥大化をともなう発達、薄い性毛、声の高さ | 濃い性毛、声の低さ |
性的特徴に基づく性別(sex)の概念はジェンダー(gender)とは異なるものの相互作用する[10]。性的特徴(SC)は性的指向(SO)、性同一性(GI)、性表現(GE)と合わせて「SOGIESC」と表現されることもある[11]。
脚注
- ^ 諸橋 2022, p. 7.
- ^ “Here’s Why Human Sex Is Not Binary”. Scientific American (2023年5月1日). 2024年1月20日閲覧。
- ^ Ainsworth, Claire (February 2015). “Sex redefined”. Nature 518: 288-291.
- ^ “Understanding the Gender Binary”. Healthline (2023年7月13日). 2024年1月14日閲覧。
- ^ “Sex and Gender Identity”. Planned Parenthood (2023年7月13日). 2024年1月20日閲覧。
- ^ “Intersex: What Is Intersex, Gender Identity, Intersex Surgery”. Cleveland Clinic. 2024年1月20日閲覧。
- ^ “Intersex people”. OHCHR. 2024年1月20日閲覧。
- ^ “What is intersex?”. Intersex Human Rights Australia. 2024年1月20日閲覧。
- ^ Indig, Gnendy; Dalke, Katharine B.; Ejiogu, Nwadiogo I.; Grimstad, Frances (2021). “Clinician Advocacy and Intersex Health: A History of Intersex Health Care and the Role of the Clinician Advocate Past, Present, and Future”. Pediatric Annals 50 (9). doi:10.3928/19382359-20210816-01 2024年1月20日閲覧。.
- ^ “Gender”. WHO. 2024年1月20日閲覧。
- ^ “SOGIとは?意味やLGBTとの違い、SOGIハラへの対策を解説”. 朝日新聞 (2023年1月18日). 2024年1月20日閲覧。
参考文献
- 諸橋憲一郎 著『オスとは何で、メスとは何か? 「性スペクトラム」という最前線』 NHK出版、2022年、212頁。ISBN 978-4-14-088683-0
関連項目
- トランスフォビア
- インターセックスの人々に対する差別
性的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 10:01 UTC 版)
代わりの説として、この歯が本当に狩に用いられたのかという点が疑問視され、性選択のためではないかという議論が起こった。ライオンのたてがみのようないくつかの特徴は、オス同士の間の競争と、メスが独自の判断基準にもとづいて潜在的で健康な候補から配偶相手を選ぶことにより進化してきた。それぞれの種でその判断基準がどう選ばれてきたのか、性的装飾をつけたオスをメスが好むようになったのか、それとも扱いや取り回しが面倒な付属品をつけたオスを好むようになったのか、はよくわかっていない。 マカイロドゥス類においてはこの長い犬歯への選択はシカの枝角やライオンのたてがみと同様のものだと考えることができ、マカイロドゥス類は(そしておそらく他の剣歯虎様動物も)求愛・性的ディスプレイ・社会的地位のために使われた特徴を性選択を通して進化させるよう促された。マカイロドゥス類はおそらく求愛というゲームために奇妙な特徴を進化させたグループの1つというだけで、彼らの犬歯には特に機能的な目的が他にあるわけではないのだろう。彼らの犬歯は充分に発達していたがどちらかといえば壊れやすく、顎の筋肉は強くはなかったので、実際の機能的な用途については明確でないように思える。 この説に対する重要な議論がいくつか行われている。性的魅力を強化するためだけにそのような機能性とは無縁の特徴を持つ種のほとんどは、一方の性だけ(普通はオス)にその特徴が現れる。マカイロドゥス類の種は全てオスメス両方がそのような犬歯を持ち、マカイロドゥスの例をただの些細な例外とすれば、体格も同じである[要出典]。性的な特徴を高度に発展させてきたほとんどの種では、少なくとももう1つ身体的な差異が見られる。それらの種ではふつう、体格が異なる[要出典]。オスのシカは枝角を持つだけでなく、通常はメスよりも体が大きい。オスのライオンはたてがみを持つだけでなく、メスよりも大きい。アメリカチョウゲンボウのオスは、つがいの相手であるメスよりも明るく輝く体色をしているだけでなく、メスよりも小さい。マカイロドゥス類のオスとメスは同じサイズをしている。これらの特徴を性的ディスプレイの目的だけに発達させてきたのなら、マカイロドゥス類は食事や一般的機能に非常に大きな障害があっただろう。この特徴に適応するためだけに頭骨の形態を大きく変え、他の歯が数や大きさにおいて調整され、上下顎が広がるようにする、という変化を、途方もなく非現実的であると捉えるものは多いだろう[誰?]。
※この「性的特徴」の解説は、「マカイロドゥス亜科」の解説の一部です。
「性的特徴」を含む「マカイロドゥス亜科」の記事については、「マカイロドゥス亜科」の概要を参照ください。
「性的特徴」の例文・使い方・用例・文例
- 性的特徴のページへのリンク