べん‐かん〔‐クワン〕【×冕冠】
冕冠
冕冠(中国)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/06 17:22 UTC 版)
中国では、冕冠は皇帝から卿大夫以上が着用した。冠の上に冕板(延とも)と呼ばれる長方形の木板を乗せ、冕板前後の端には旒を垂らした。旒の数は身分により異なり、皇帝の冕冠は前後に十二旒、計二十四旒である。このほか皇帝が天地を祭るのに使う旒の無い大裘冕がある。 冠側面から玉笄と呼ばれる簪を指し、底部には纓と呼ばれる組紐がつく。また冕板の中央には天河帯と呼ばれる赤帯がついた。 中国の冕冠は、古代から明代まで基本的な形状はほとんど変わらない。『周礼』および『礼記』の「玉藻」などに詳細な規定が見られ、先秦(周)に用いられていたとされるが、秦の始皇帝はこれを廃止し(絵ではしばしば冕冠をかぶるが、後世の憶測であろう)、前漢でも使用されなかった。後漢第二代皇帝の明帝が文献に基づき再興して以降、各王朝が祭祀および重要な儀礼に使用した。ただし根拠になる文献の記載および、その古注には相互矛盾があり、各王朝でたびたび改正がおこなわれた。遺品は、明の万暦帝が着用した冕冠が定陵から出土しているが、前漢から隋の歴代皇帝を描いた閻立本『歴代帝王図巻』に描かれている冕冠とほぼ同じ形状である。 中国を支配した漢民族以外の王朝も多くは冕冠を取り入れた。(漢民族王朝の祭祀体系を取り入れなかった遼や、モンゴル色の強いとされる元も取り入れている)しかし、満州族が建てた清王朝からは冕冠は中国では用いられなくなった。代わりに朝冠(ちょうかん、満州語:mahala)と呼ばれる満州族独特の冠が用いられるようになった。冠は傘のような形状で、冠最上部には朝珠と呼ばれる特別製の真珠をちりばめた飾りが付いた。
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