ポリソルベート80
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/16 07:10 UTC 版)
ポリソルベート80[1] | |
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Polyoxyethylene (20) sorbitan monooleate | |
別称 Montanox 80 Alkest TW 80 Tween 80 PS 80 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 9005-65-6 |
ChemSpider | none |
UNII | 6OZP39ZG8H |
E番号 | E433 (増粘剤、安定剤、乳化剤) |
KEGG | D01067 |
ChEMBL | CHEMBL1697847 |
RTECS番号 | WG2932500 |
特性 | |
化学式 | C64H124O26 |
モル質量 | 1310 g/mol |
外観 | Amber colored liquid |
密度 | 1.102 g/mL, oily liquid |
沸点 |
> 100°C |
水への溶解度 | 100 mL/L[2] |
other solventsへの溶解度 | soluble in ethanol, cottonseed oil, corn oil, ethyl acetate, methanol, toluene |
粘度 | 300–500 centistokes (@25°C) |
危険性 | |
主な危険性 | Irritant |
NFPA 704 | |
引火点 | 113 °C (235 °F; 386 K) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ポリソルベート80[3](Polysorbate 80)は、食品や化粧品によく使われる非イオン性の界面活性剤・乳化剤である。別名はオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンで[4]、E番号はE433である。常温常圧で粘性のある水溶性の黄色い液体である。
化学的特徴
ポリエトキシル化したソルビタンとオレイン酸から得られる。親水基はエチレンオキシドのポリマーであるポリオキシエチレン基である。命名法上、ポリソルベートの後の数字は親油性基、この場合はオレイン酸を指す(詳細はポリソルベートを参照)。
純水における臨界ミセル濃度は0.012mMと報告されている[5]。
用途
食品
食品の乳化剤として使用される。例えばアイスクリームでは、滑らかにし扱いやすくしたり溶けにくくしたりする目的で、ポリソルベートを0.5%(v/v)の濃度まで添加する[6]。これにより乳タンパク質が脂肪滴を完全に覆わなくなるため脂肪が鎖状や網目状に結合し、内部に空気を保持すると同時に温度が上がっても形が崩れなくなる。
健康と美容
石鹸や化粧品(点眼薬を含む)の界面活性剤や、洗口剤などの可溶化剤としても使用される。化粧品グレードのものは食品グレードに比べ不純物が多い場合がある[7]。
医療
非経口投与用薬剤の水性製剤を安定させる賦形剤であり、抗不整脈薬のアミオダロン注を製造する際の乳化剤として使用されている[8]。また、エストロゲン調整薬の乳化剤としても使用される[9]。インフルエンザワクチン等のワクチン製剤にも採用されている[10][11]。
微生物学
マイコバクテリウム属の中にはリパーゼ(脂質分解酵素)の一種を含んでいるものがある。これらの種をポリソルベート80とフェノールレッドの混合液に加えると溶液が変色するため、菌株や分離株の表現型を識別するテストとして使用される[要出典]。
微生物管理に用いられるRODAC寒天培地では、ポリソルベート80は試料表面に存在する殺菌剤を中和し微生物を増殖させる。また、Middlebrook 7H9 brothでの結核菌の培養にも使用されている[要出典]。
関連項目
- ポリソルベート20
- ポリソルベート40
- ポリソルベート60
- ポリソルベート65
出典
- ^ Merck Index, 13th Edition, 7664.
- ^ https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/Sigma/Product_Information_Sheet/1/p8466pis.pdf
- ^ “KEGG DRUG: ポリソルベート80”. www.kegg.jp. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “ポリソルベート 20、ポリソルベート 60、ポリソルベート 65 及びポリソルベート 80 の食品添加物の指定に関する添加物部会報告書”. 厚生労働省. 2021年12月3日閲覧。
- ^ “Effects of Tween 20 and Tween 80 on the stability of Albutropin during agitation”. J Pharm Sci 94 (6): 1368–81. (June 2005). doi:10.1002/jps.20365. PMID 15858848.
- ^ Goff, H. Douglas (1997). “Colloidal aspects of ice cream—A review”. International Dairy Journal 7 (6–7): 363–373. doi:10.1016/S0958-6946(97)00040-X. ISSN 0958-6946.
- ^ “What is Polysorbate 80?”. The Honest Company Blog. The Honest Company. 27 February 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。24 April 2014閲覧。
- ^ Gautier & Bellamy. “Pharmaceutical amiodarone composition for parenteral delivery”. 2009年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年4月6日閲覧。
- ^ “Estrasorb™”. 2021年12月3日閲覧。
- ^ Pandemic H1N1 (pH1N1) Influenza Vaccine Quick Reference Guide Archived 2010-10-11 at the Wayback Machine. Winnipeg Regional Health Authority 2009
- ^ “Janssen Standing Orders for Covid-19”. 2021年12月3日閲覧。
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