ポリエ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 05:18 UTC 版)
ポリエ(polje、発音: [pǒːʎe])は、カルスト地形のうち、通常面積が5 - 400km2となる、大型の平坦な地形[1]。カルストポリエ(karst polje)またはカルストフィールド(karst field)とも言い[2][3][4]、日本語では溶食盆地(ようしょくぼんち)とも言う。ポリエという語はスラヴ語派の言語から派生したもので、原義は「野原」(field)であるが、英語および日本語では、カルスト地形の平原についてこの語を用いている。
地学的な特徴
地質学の用語としてのポリエは、カルスト石灰岩のうち、大きく、底部が平坦な窪地であり、長軸が主要な構造の走向に平行に発達し、数千キロメートルの長さになるものを指す[5]。表層堆積物は、底部に沿って堆積する傾向が見られる。排水は表層の水流によって(「オープンポリエ」と呼ばれる)あるいは陥落孔やポノールによって(「クオーズポリエ」と呼ばれる)なされる可能性がある。通常、ポノールは多量の水を流すことができないので、多くのポリエは雨季に湖となる。ポリエの構造は地形学的な構造と関係するものもあるが、純粋な側面の溶解ないしは平坦化作用によるものもある。ポリエの発達は、カルスト地形内部の排水の程度によって変化する[5]。
ポリエは1,000km2にも達する広大な面積を持ち、底部が平らで閉じられた盆地である[5]。ポリエの底部は、不溶体(緩やかな起伏を持つ)または土壌となったむき出しの石灰岩である可能性がある。ポリエは典型的に複合的な水文地質学的特徴を示し、エクスサージェンス(exsurgence)、エステヴェレ、陥落孔、末無川などが見られる。ディナル・アルプス山脈には多数のポリエが形成されている[5]。
ポリエは亜熱帯や熱帯地域に多く分布するが、温帯にも見られ、数は少ないが亜寒帯にも存在する。多くはテラロッサと呼ばれる厚い堆積物に覆われており、広く農業に利用されている。
ディナル・アルプスのポリエには雨の多い冬季や春季にizvorまたはvreloと呼ばれる一時的な湖が発生する場合がある。この湖はポノールを通って排水され、消滅する。世界の主要なポリエには、ボスニア・ヘルツェゴビナにある世界最大のリヴァニスコ・ポリエ(Livanjsko polje、長さ60km、幅7km)、グラモツコ・ポリエ(Glamočko Polje)、グラホブスコ・ポリエ(Grahovsko Polje)ドラヴァルスコ・ポリエ(Drvarsko Polje)、ドゥヴァンジスコ・ポリエ(Duvanjsko Polje)クプレス高原(Kupres Highlands)、ポポヴォ・ポリエ、ダバルスコ・ポリエ(Dabarsko Polje)、ネヴェシンジスコ・ポリエ(Nevesinjsko Polje)、ガタツコ・ポリエ(Gatačko Polje)、ロガテク・ポリエ(Logatec Polje)、スロベニアのプラニア・ポリエ(Planina Polje)、セルクニカ・ポリエ(Cerknica Polje)、モンテネグロのニクシツコ・ポリエ(Nikšićko Polje)、クロアチアのリカ地方にある、リツコ・ポリエ(Ličko Polje)などがある。
語源
ポリエは「奥地の谷」(interior valley)の意味である。polyeの形で、フランス語・ドイツ語・ギリシャ語・イタリア語・スペイン語・トルコ語でも使われている。polje 自体はスラブ語派の言語を起源としている。英語では旧ユーゴスラビアの言語であるセルビア語、クロアチア語、ボスニア語、スロベニア語から借用した。マケドニア語・ブルガリア語ではpole、ロシア語ではpolyeと表現する[5]。
脚注
- ^ 『ニュートン』2017年5月号、ニュートンプレス、 48頁。
- ^ Price, V. N. 2011. The Orphaned Land: New Mexico's Environment Since the Manhattan Project. Albuquerque: University of New Mexico Press, p. 167.
- ^ Weber, Rudolf O. et al. 1997. "20th-Century Changes of Temperature in the Mountain Regions of Central Europe." In Henry F. Diaz et al. (eds.), Climatic Change at High Elevation Sites, pp. 327–344. Dordrecht: Kluwer, p. 329.
- ^ White, William Blaine, & David C. Culver (eds.). 2012. Encyclopedia of Caves. Waltham, MA: Academic Press, p. 443.
- ^ a b c d e "Glossary of Cave and Karst Terms" (letter "P"), Speliogenesis.info, 2009, webpage: Spelio-gloss-P.
関連項目
外部リンク
ポリエ
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溶食が進み、ウバーレからさらに大きくなった盆地底に地下水面が現れ、広い沖積地が生じた地形をポリエ(polje; 語源はセルボクロアート語の平野)という。大きいものでは数百平方kmの広がりを有することがある。代表的なポリエでは、洞窟や湧泉から流れ出る地下川がポリエ内を流れた後、再び下流側のポノールから地下へ流れ込んでいく。日本には完全な例はないが、山口県秋吉台の上流側にある美東町赤郷地区にはこれに近い型のものがあり、縁ポリエ(もしくは縁辺ポリエ)と分類される。 ポリエ内は湿性で、季節的な氾濫が起こることが多い。しばしば広い範囲に湛水し、一時的なポリエ湖を生じることがある。単なる河川の氾濫ではなく、石灰岩体内の地下水位が広く沖積面よりも高く上昇し、生じるものである。このような時には普段のポノールが逆に吐出洞へと変わる。赤郷地区小川(こがわ)の沼ポリエでは数年に一度くらい、豪雨時にポリエ湖が発生することがある。数日から1週間くらいにわたって水田や畑地が広く冠水する(排水路短絡工事が行われ、近年は発生がなくなった)。
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「ポリエ」の例文・使い方・用例・文例
- ポリエステルを綿と織り交ぜる.
- ポリエチレン線形化触媒
- 重量のないポリエステル織物でできているジャケット
- ポリエステル織物の一種
- ポリエステルの薄膜
- 熟していない果物(リンゴやトマト、サクランボなど)に存在する無色で結晶性の化合物で、主にポリエステル樹脂の製造に用いられる
- 主にポリエステルから成る、速乾性で弾力のある合成繊維
- ポリエステル樹脂系の合成繊維の商標名
- ポリエチレン繊維という化学繊維
- ポリエチレン製のバケツ
- ポリエチレン製の袋
- ポリエステル樹脂など軟らかい材料を使った磁気ディスク
- ポリエステルという高分子化合物
- ポリエチレンという高分子化合物
- ポリエチレングリコールという,エチレングリコールの重合体
- グラスファイバーやポリエステル樹脂で強さを強化したプラスチック
- ポリエステル繊維という化学繊維
- このハート形の気球を作るために,ポリエチレンフィルムの木の葉形シート116枚がつなぎ合わされている。
- ボタンを押すと,プチッという音が聞こえ,ポリエチレン製の気泡をつぶしたときと同じ感覚が得られる。
- しかし,ポリエチレン製のカヤックは自転車並みに軽く,1人で運べる。
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