ヒドリド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:19 UTC 版)
水素化合物を意味するヒドリドについては「水素化合物」を参照 ヒドリド(別名、水素化物イオン、ヒドリドイオン、英: hydride、英: hydrogen anion、化学記号H−とも表記される)は、アルカリ金属、アルカリ土類金属あるいは第13族、14族元素(共有結合性が強い)などの、電気的に陽性な元素の水素化物が電離する時に生成する水素の陰イオン(アニオン)。ヒドリドはK殻が閉殻した電子配置を持ちヘリウムと等電子的であるために、一定の大きさを持ったイオンとして振る舞う点でヒドロン(水素カチオン)とは異なる。実際、ヒドリドはフッ素アニオンよりもイオン半径が大きいように振る舞う。 ヒドリドはきわめて弱い酸でもある水素分子(pKa=35)の共役塩基であるので、強塩基として振る舞う。 ヒドリドは塩基として作用する場合と還元剤として作用する場合がある。これをヒドリド還元というが、それは金属と還元を受ける化合物との組み合わせにより変化する。ヒドリドの標準酸化還元電位は−2.25Vと見積もられている。 H 2 ( g ) + 2 e − ⟶ 2 H − ( aq ) {\displaystyle {\ce {H2(g)\ +2{\mathit {e}}^{-}->2H^{-}(aq)}}} ヒドリドの発生源としては、代表的なものとしてNaBH4やLiAlH4(通称LAH)がある。これらの化合物のBH4−やAlH4−からはH−が脱離する。この反応は有機合成の時に非常に便利であり、例えば、炭素間二重結合に対して反マルコフニコフ付加を施したい時に有効である。
※この「ヒドリド」の解説は、「水素」の解説の一部です。
「ヒドリド」を含む「水素」の記事については、「水素」の概要を参照ください。
- ヒドリドのページへのリンク