ダイナミック型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 19:20 UTC 版)
ダイナミックスピーカーと同じ構造で、磁石の作る磁界の中で音声電流が流れるコイル(ボイスコイル、voice coil)にローレンツ力が発生し、コイルに取り付けた振動板を振動させる方式である。ダイナミック型は、電流に対するローレンツ力を線形にする設計が可能であり、無電流のときコイルに力が発生せず振動系の支持を柔らかくできるため、低歪と広い再生周波数帯域が両立できる非常に優れた方式である。原理構造上、安価な大量生産向きでもあることから、現在ではヘッドフォンの最も一般的な方式となっている。 世界初のダイナミック型ヘッドフォンは1937年、ドイツのEugen Beyerが作った。現在でもbeyerdynamic社は主要メーカーの一つである。 インピーダンスは16〜70Ω程度のものが一般的であるが、業務用のヘッドフォンでは300Ωや600Ωなども存在する。メーカーの設計思想もあり明確な基準は無いが、概ね32Ωを超える物が高インピーダンスとされ、ヘッドフォンアンプの中にはスイッチを切り替えることでヘッドフォンのインピーダンスに合わせて内蔵したアッテネーターに接続する製品も存在する。 インピーダンスが高いほど、機器を変えずに同じボリュームでも、実際に出力される音量が小さくなっていく傾向にある。そのためポータブル向けのものは64Ω程度までの低インピーダンスのものが一般的である。高インピーダンスのヘッドフォンはアンプやケーブルなど接続した機器による外的影響を受けにくいものの、低出力のポータブル機器では駆動力不足によりヘッドフォン本来の能力を発揮できない場合がある。なお、ヘッドフォンのインピーダンスはIECの規定で、1 (kHz) の交流印加時のものを示すものとされており、典型的なダイナミック型であれば、R+jXであるから、これよりも低い周波数では低く(例えば直流を加えた場合には純抵抗成分Rのみになる)高い周波数では高くなる。
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