2010年 01月 27日
ウォールストリート解体の合理性? |
先日からのエントリーで、オバマ大統領が発表した、ドラスティックなウォールストリート規制案の内容と、それに反対する金融メディアや、その他の方面からの反応について取り上げました。
発案者とされるPaul Volcker元FRB議長の名前を冠して、通称「Volcker Plan」と呼ばれるこの案は、以前にこのブログでも紹介した、英国における巨大金融機関の解体論(商業銀行のスピンオフ)と近い内容のように思います。議論の公平を期すためにも、この改革論への賛成意見について、取り上げたいと思います。
1月22日にFTが、「Obama’s bank plan is a start(オバマの銀行規制案はスタートに過ぎない)」という、NYU(ニューヨーク大学)Stern Schoolのファイナンス教授、Viral Acharya氏とMatthew Richardson氏の寄稿記事を載せていました。この記事は、オバマ規制案を歓迎すると共に、その内容の詳細や問題点について分かりやすく説明していると思いました。
この記事で著者達は、アダムスミスの「国富論」を引用し、金融システムの一部が火災になった際に、その被害が広がらないように防火壁を設けることは肝要、との立場を表明しています。そして、今回のVolcker Planが、米民主党が政治的に苦境に立たされた際に発表されたことで、「タイミング政治的過ぎる」との謗りを受けるのは理解できるが、そうした批判を超えて、内容を慎重吟味する価値がある、としています。
そしてまず、自己トレーディングが金融危機と関係ない、と主張する人達は、「金融危機の原因を全く理解していない」とし、金融危機の原因を簡単に言うと、「大きく複雑な金融機関が、主にサブプライムの住宅ローン債権に対して、レバレッジを使った一方的な賭けをしたこと」だとしています。
先日のエントリーでも、今回の金融危機で最初に破綻したのが、サブプライム証券投資に失敗した、投資銀行Bear Stearns傘下のヘッジファンド部門であったことに触れました。上の主張は、まさにその事を言っているように思います。(Bear Stearnsは、JP Morganに救済買収され、現在では消滅しています。)
そして、当初証券化商品は、「ノルウェーの年金基金のような投資家」に販売される目的で組成されたのだが、それら投資家からの需要が十分でなかった。その上、自らの低い資本コストと、証券化商品の低流動性やリスク性を合わせると、大きな鞘抜きが出来ると認識してからは、投資銀行は「持ち金の全てをその賭けに投じ」た。そして、いざリスクが現実のものになった際には、十分な資本のバッファーもなければ、図体が複雑すぎて倒産することもできず、「当然のように政府に救済された」、と厳しく批判しています。
著者達は、更に、政府が金融セクターの負債に保証をつけていたことと、グラススティーガルのような規制によって金融機関の活動範囲をしっかり規制しなかったことが、システミックリスクの拡大につながったのだと主張し、金融規制の目的は、そのようなシステミックリスクの封じ込めにあるべきである、とまとめています。FTなど主な金融メディアの主張も、また当ブログも、この結論については概ね一致しているように思いますが、問題は具体的方法と言えると思います。
この記事の著者達は、その具体的方法として、商業銀行や別の形の金融機関(証券会社と保険会社を暗示)を、自己ポジションのトレーディング業務から分離することは、正しい方向への第一ステップだとしています。その理由として、資金の融通という金融事業本来の営みや機能を全く制限してしまうことなく、一部の金融機関が破綻した際に発生し得るシステミックリスクを、抑制することが出来るからだとしています。
また著者達は、自己資本投資を行う部門を、大きな金融機関の内部に置いておくことにより、「規模の経済性」が働くという証拠はどこにもなく、むしろ彼らが享受しようとしている最大のメリットは、自らを肥大化させることで、破綻時に政府が救済を行わざるを得ない状態にし、そうした暗黙の政府保証を利用して、低コストでの資本調達が出来るようになることだ、と批判的に指摘しています。そして、今回の危機で明らかになったように、金融機関救済に係わる政府(納税者)負担は膨大な金額になり得る、とも言っています。
このような理由から、銀行や証券会社に、市場関連の様々なリスクに直接的に晒されることとなる、「自己ポジションでのトレーディング」、「株式投資(自己資本を用いたものと、外部投資家からの資産を運用するアセットマネジメント業務を含む)」、「デリバティブを用いて組成される仕組み債(の保有?)」等の業務を行うことを禁止するのには、十分な合理性が見出せる、と著者達は主張しています。
そして、そうした業務は資産運用業務(投資信託、ヘッジファンドなど)としてスピンオフし、その業界相応の規制下におけばよい、としています。そのように資産運用を金融業務から分離することは、ヘッジファンド業界が現在でもそうであるように、政府による救済の必要性を大幅に減少させる上、当事者にリスク管理を徹底するインセンティブを働かせ、また必要とあれば破綻させることが出来るようになる、と筆者は指摘しています。
今回の金融危機の最大の問題は、ウォールストリートのモラルハザードであったと思いますが、上で主張されているような方法でその問題を解決できるのであれば、確かに合理性があると言えるかもしれません。
実際ヘッジファンドは、その運用リスクを許容出来る投資家からのみ資金を集めており、政府からの保護などは一切受けていません。ファンドが投資に失敗すれば、投資家がそのコストを全額請け負うことになり、その際ファンドの運用者(経営者)も、通常自己資産のほぼ全額をファンドに投資しているため、ステイクホルダーの利害関係はほぼ完全に一致しています。(要するに、経営者や社員が多額の給料をもらっているのに、株主と一般納税者が馬鹿を見る、と言う事になりにくくなっています。)
また、ヘッジファンドの破綻を政府が救済した事はなく、1998年にLTCMが破綻した際に、政府主導で救済が行われたのは、LTCMに過剰なレバレッジを与えていた大手金融機関を保護する目的でした。また、Bear Stearns傘下のヘッジファンドが事実上救済されたのも、その後のAIG傘下の金融子会社の救済ケースでも、その部門の破綻が親会社である巨大金融機関の破綻を引き起こし、金融システムを危機に陥れる可能性があったからであったと思います。
この事については、金融危機の責任者扱いをされかけたヘッジファンド業界が、2009年に議会公聴会に招かれた際に主張していたと思います。
1月24日付のFTの別の記事が触れていた所によると、その公聴会にも呼ばれていたヘッジファンド業界の大御所George Soros氏は、Volcker Planによる大手銀行の解体を支持していているそうで、「Goldman Sachsは、今我々が知っている形態では存続しなくなる」と述べていたそうです。
この記事の筆者達は、ヘッジファンド的な投資をする部門を切り離した銀行や証券会社などの金融仲介会社は、政府保証を一部では受けながら、組織自体も遥かに単純化されるはずであり、(恐らく当時のMerrill LynchのCEOなどを念頭に)「当の企業の経営者ですら理解していなかったようなリスクを内包したまま膨張し続けるようなことはなくなるはず」と述べています。
しかし筆者達は、Volcker Planにも色々問題があるとして、特にその不完全性(不徹底性)について指摘しています。
まず、Volcker Planは預金銀行だけを対象にしているようにみえますが、金融システムには、その他の金融機関(証券会社や保険会社)も重要であるので、そうした機関も規制の対象にしなければ意味がない、と主張しています。
先日のエントリーに対して頂いた、「現時点での規制案では、商業銀行に対して不利、投資銀行に有利では」と言うコメントに対する返信でも書きましたが、証券会社の扱うMMFや、保険商品などの金融システムへの重要性は、言うまでもない気がします。
次に、Volcker Planでは、銀行に対して「顧客サービスと関係のない自己投資部門の保有を禁ずる」としていますが、「顧客サービス」の定義が曖昧であり、ディーラーとしての機能に重要なマーケットメイキングや、ヘッジファンドへの資金提供を行うプライムブローカレッジ、M&Aなどの案件組成に主に関連してくるブリッヂローンの提供などは、例外として認められるべきだとしています。
これは、そのような事業まで禁止してしまうと、投資銀行(証券会社)が今日必要とされている金融サービスを提供出来なくなり、市場経済に不利益を及ぼすことが予想される為であり、これらの事業が発生させるシステミックリスクについては、規制当局はスムーズな破綻プロセスの設定などといった別の規制枠組みを設けることで、対処すべきだと主張しています。
最後に、米財務省関係者は、資金が外部から集められているのであれば、投資銀行はヘッジファンド、PEファンド、資産運用業務を運営してもよいとしているが、それは間違いである、と主張しています。その理由は、金融機関の資本コストは運用資産額次第なので、その一部が大きく変動する恐れがあるとなると、結局本体が大きなリスクに晒されるためだとしています。
以上、筆者の主張をもう一度まとめると、Volcker Planが政治色が強い提案であるとしても、その内容は注意深い検討に値する、大手金融機関が資産運用業務や自己投資業務を兼営する経済的合理性は無い、現状の体制を維持するコストがあまりに大きいことは金融危機で明らかになった、と言うものです。そして、金融機関の解体は「大きすぎて潰せない」企業がもたらすリスクを管理する一里塚に過ぎず、更なる規制(資本増強など?)が必要だと結んでいます。
1月24日のFT「Bankers to lobby for softer reforms(銀行家、規制案の緩和を働きかける)」によると、金融業界は当然ながらVolcker Planに反発し、1月27日からスイスのダボスで開催される予定のWorld Economic Forumなどの場を利用して、政府に対して規制案の緩和を働きかける予定だそうです。その記事によると、とある業界の経営者は、オバマ大統領が国民に約束した「戦い」をしていることを大っぴらに喧伝出来ないよう、水面下での働きかけを行うつもりだと話しているそうです。
しかし金融危機による実体経済へのダメージや、その翌年の一部大手金融機関による巨額ボーナス支払い報道への世論の反発は、ウォールストリート関係者が考えている以上に、大きいものであるかもしれません。上記のような厳しい主張が、学会やバイサイドなどから広がる中、今後ウォールストリートがどのような理論武装をしてで反論するのか、注目したいと思います。
発案者とされるPaul Volcker元FRB議長の名前を冠して、通称「Volcker Plan」と呼ばれるこの案は、以前にこのブログでも紹介した、英国における巨大金融機関の解体論(商業銀行のスピンオフ)と近い内容のように思います。議論の公平を期すためにも、この改革論への賛成意見について、取り上げたいと思います。
1月22日にFTが、「Obama’s bank plan is a start(オバマの銀行規制案はスタートに過ぎない)」という、NYU(ニューヨーク大学)Stern Schoolのファイナンス教授、Viral Acharya氏とMatthew Richardson氏の寄稿記事を載せていました。この記事は、オバマ規制案を歓迎すると共に、その内容の詳細や問題点について分かりやすく説明していると思いました。
この記事で著者達は、アダムスミスの「国富論」を引用し、金融システムの一部が火災になった際に、その被害が広がらないように防火壁を設けることは肝要、との立場を表明しています。そして、今回のVolcker Planが、米民主党が政治的に苦境に立たされた際に発表されたことで、「タイミング政治的過ぎる」との謗りを受けるのは理解できるが、そうした批判を超えて、内容を慎重吟味する価値がある、としています。
そしてまず、自己トレーディングが金融危機と関係ない、と主張する人達は、「金融危機の原因を全く理解していない」とし、金融危機の原因を簡単に言うと、「大きく複雑な金融機関が、主にサブプライムの住宅ローン債権に対して、レバレッジを使った一方的な賭けをしたこと」だとしています。
先日のエントリーでも、今回の金融危機で最初に破綻したのが、サブプライム証券投資に失敗した、投資銀行Bear Stearns傘下のヘッジファンド部門であったことに触れました。上の主張は、まさにその事を言っているように思います。(Bear Stearnsは、JP Morganに救済買収され、現在では消滅しています。)
そして、当初証券化商品は、「ノルウェーの年金基金のような投資家」に販売される目的で組成されたのだが、それら投資家からの需要が十分でなかった。その上、自らの低い資本コストと、証券化商品の低流動性やリスク性を合わせると、大きな鞘抜きが出来ると認識してからは、投資銀行は「持ち金の全てをその賭けに投じ」た。そして、いざリスクが現実のものになった際には、十分な資本のバッファーもなければ、図体が複雑すぎて倒産することもできず、「当然のように政府に救済された」、と厳しく批判しています。
著者達は、更に、政府が金融セクターの負債に保証をつけていたことと、グラススティーガルのような規制によって金融機関の活動範囲をしっかり規制しなかったことが、システミックリスクの拡大につながったのだと主張し、金融規制の目的は、そのようなシステミックリスクの封じ込めにあるべきである、とまとめています。FTなど主な金融メディアの主張も、また当ブログも、この結論については概ね一致しているように思いますが、問題は具体的方法と言えると思います。
この記事の著者達は、その具体的方法として、商業銀行や別の形の金融機関(証券会社と保険会社を暗示)を、自己ポジションのトレーディング業務から分離することは、正しい方向への第一ステップだとしています。その理由として、資金の融通という金融事業本来の営みや機能を全く制限してしまうことなく、一部の金融機関が破綻した際に発生し得るシステミックリスクを、抑制することが出来るからだとしています。
また著者達は、自己資本投資を行う部門を、大きな金融機関の内部に置いておくことにより、「規模の経済性」が働くという証拠はどこにもなく、むしろ彼らが享受しようとしている最大のメリットは、自らを肥大化させることで、破綻時に政府が救済を行わざるを得ない状態にし、そうした暗黙の政府保証を利用して、低コストでの資本調達が出来るようになることだ、と批判的に指摘しています。そして、今回の危機で明らかになったように、金融機関救済に係わる政府(納税者)負担は膨大な金額になり得る、とも言っています。
このような理由から、銀行や証券会社に、市場関連の様々なリスクに直接的に晒されることとなる、「自己ポジションでのトレーディング」、「株式投資(自己資本を用いたものと、外部投資家からの資産を運用するアセットマネジメント業務を含む)」、「デリバティブを用いて組成される仕組み債(の保有?)」等の業務を行うことを禁止するのには、十分な合理性が見出せる、と著者達は主張しています。
そして、そうした業務は資産運用業務(投資信託、ヘッジファンドなど)としてスピンオフし、その業界相応の規制下におけばよい、としています。そのように資産運用を金融業務から分離することは、ヘッジファンド業界が現在でもそうであるように、政府による救済の必要性を大幅に減少させる上、当事者にリスク管理を徹底するインセンティブを働かせ、また必要とあれば破綻させることが出来るようになる、と筆者は指摘しています。
今回の金融危機の最大の問題は、ウォールストリートのモラルハザードであったと思いますが、上で主張されているような方法でその問題を解決できるのであれば、確かに合理性があると言えるかもしれません。
実際ヘッジファンドは、その運用リスクを許容出来る投資家からのみ資金を集めており、政府からの保護などは一切受けていません。ファンドが投資に失敗すれば、投資家がそのコストを全額請け負うことになり、その際ファンドの運用者(経営者)も、通常自己資産のほぼ全額をファンドに投資しているため、ステイクホルダーの利害関係はほぼ完全に一致しています。(要するに、経営者や社員が多額の給料をもらっているのに、株主と一般納税者が馬鹿を見る、と言う事になりにくくなっています。)
また、ヘッジファンドの破綻を政府が救済した事はなく、1998年にLTCMが破綻した際に、政府主導で救済が行われたのは、LTCMに過剰なレバレッジを与えていた大手金融機関を保護する目的でした。また、Bear Stearns傘下のヘッジファンドが事実上救済されたのも、その後のAIG傘下の金融子会社の救済ケースでも、その部門の破綻が親会社である巨大金融機関の破綻を引き起こし、金融システムを危機に陥れる可能性があったからであったと思います。
この事については、金融危機の責任者扱いをされかけたヘッジファンド業界が、2009年に議会公聴会に招かれた際に主張していたと思います。
1月24日付のFTの別の記事が触れていた所によると、その公聴会にも呼ばれていたヘッジファンド業界の大御所George Soros氏は、Volcker Planによる大手銀行の解体を支持していているそうで、「Goldman Sachsは、今我々が知っている形態では存続しなくなる」と述べていたそうです。
この記事の筆者達は、ヘッジファンド的な投資をする部門を切り離した銀行や証券会社などの金融仲介会社は、政府保証を一部では受けながら、組織自体も遥かに単純化されるはずであり、(恐らく当時のMerrill LynchのCEOなどを念頭に)「当の企業の経営者ですら理解していなかったようなリスクを内包したまま膨張し続けるようなことはなくなるはず」と述べています。
しかし筆者達は、Volcker Planにも色々問題があるとして、特にその不完全性(不徹底性)について指摘しています。
まず、Volcker Planは預金銀行だけを対象にしているようにみえますが、金融システムには、その他の金融機関(証券会社や保険会社)も重要であるので、そうした機関も規制の対象にしなければ意味がない、と主張しています。
先日のエントリーに対して頂いた、「現時点での規制案では、商業銀行に対して不利、投資銀行に有利では」と言うコメントに対する返信でも書きましたが、証券会社の扱うMMFや、保険商品などの金融システムへの重要性は、言うまでもない気がします。
次に、Volcker Planでは、銀行に対して「顧客サービスと関係のない自己投資部門の保有を禁ずる」としていますが、「顧客サービス」の定義が曖昧であり、ディーラーとしての機能に重要なマーケットメイキングや、ヘッジファンドへの資金提供を行うプライムブローカレッジ、M&Aなどの案件組成に主に関連してくるブリッヂローンの提供などは、例外として認められるべきだとしています。
これは、そのような事業まで禁止してしまうと、投資銀行(証券会社)が今日必要とされている金融サービスを提供出来なくなり、市場経済に不利益を及ぼすことが予想される為であり、これらの事業が発生させるシステミックリスクについては、規制当局はスムーズな破綻プロセスの設定などといった別の規制枠組みを設けることで、対処すべきだと主張しています。
最後に、米財務省関係者は、資金が外部から集められているのであれば、投資銀行はヘッジファンド、PEファンド、資産運用業務を運営してもよいとしているが、それは間違いである、と主張しています。その理由は、金融機関の資本コストは運用資産額次第なので、その一部が大きく変動する恐れがあるとなると、結局本体が大きなリスクに晒されるためだとしています。
以上、筆者の主張をもう一度まとめると、Volcker Planが政治色が強い提案であるとしても、その内容は注意深い検討に値する、大手金融機関が資産運用業務や自己投資業務を兼営する経済的合理性は無い、現状の体制を維持するコストがあまりに大きいことは金融危機で明らかになった、と言うものです。そして、金融機関の解体は「大きすぎて潰せない」企業がもたらすリスクを管理する一里塚に過ぎず、更なる規制(資本増強など?)が必要だと結んでいます。
1月24日のFT「Bankers to lobby for softer reforms(銀行家、規制案の緩和を働きかける)」によると、金融業界は当然ながらVolcker Planに反発し、1月27日からスイスのダボスで開催される予定のWorld Economic Forumなどの場を利用して、政府に対して規制案の緩和を働きかける予定だそうです。その記事によると、とある業界の経営者は、オバマ大統領が国民に約束した「戦い」をしていることを大っぴらに喧伝出来ないよう、水面下での働きかけを行うつもりだと話しているそうです。
しかし金融危機による実体経済へのダメージや、その翌年の一部大手金融機関による巨額ボーナス支払い報道への世論の反発は、ウォールストリート関係者が考えている以上に、大きいものであるかもしれません。上記のような厳しい主張が、学会やバイサイドなどから広がる中、今後ウォールストリートがどのような理論武装をしてで反論するのか、注目したいと思います。
by harry_g
| 2010-01-27 15:17
| 投資銀行