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日本語の動詞の活用形(古文) 他動詞・自動詞(その2)

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以前の記事で、四段動詞の他動詞化の話をしましたが、
今回は他のタイプの他動詞化について。

「語幹+aす」となっているやつです。(語幹というのはもはや不適切かも)

例を挙げて自動詞と比べてみます。(左が自動詞、右が他動詞)

☆使役でないもの
「朽つ」(上二段)・・・「くたす」(四段)(「腐す」と表記されます。使役ならば「くちす」or「くてす」。)
「下る」(四段)・・・「下す」(四段)(使役ならば「下らす」。)
※ちなみに「くでる」という言い方はないので、前回の記事で挙げたものとも違います。というか語幹が謎。
「荒る」(下二段)・・・「荒らす」(四段)
「暮る」(下二段)・・・「暮らす」(四段)

「漏る」(四段・下二段)→「漏らす」(四段)(上と下のグループのどっちにも入ります。)

☆使役っぽいけど(「未然+す」だけど)下二段活用になっていないもの
「明く」(四段)・・・「明かす」(四段)
(ちなみに「飽く」は現代語で「飽きる」ですが、元々四段活用で江戸時代に上一段化したらしいです。「飽かす」という用法は後世の使役の訛り。)
「妬む」(四段)・・・「妬ます」(四段)(悔しがらせる、という意味。)
「透く」(四段)・・・「透かす」(四段)
「~めく」(四段)・・・「~めかす」(四段)(「ようになる」→「ようにさせる」)
など

☆使役であるもの(下二段活用)
「たまふ」(四段)・・・「たまはす」(使役による、より強い尊敬。)
「のたまふ」(四段)・・・「のたまはす」(下二段)
上記のように使役の「す」は尊敬の意味で使われることがありますが、これは「敬意の高い人は他の人に命令する」ことから使われたのだと思われます。
など

☆謙譲の意を強める(強意らしいですが、詳しい解釈は謎。)
「たてまつる」(四段)・・・「たてまつらす」(下二段)(使役も同じ形。)
「まうす」(四段)・・・「まうさす」(下二段)(使役も同じ形。)
など

☆自動詞が・・・見つかりません∩(´;ヮ;`)
「任す」「引す(まかす)」(下二段)

☆謎(「aす」になってないけど)
「生く」(四段or上二段)→「生く」(下二段)
※上二段の「未然形+aす」なら説明できますが、上二段の用法は中世からでちょっと微妙です。

☆「増す・勝る」について
「まさる」(四段)「ます」(四段)・・・「ます」(四段)(「ます」は自動詞でも他動詞でも使える)
※「まさる」について、「ませる」という言葉はないので前回の記事のものとは異なります。

☆「落とす」(11/9/10追加)
「落つ+oす」となって例外。

☆そもそも
「す」(サ変)→「さす」(下二段)?
(させる、という場合には「せさす」と言います。中世以降は「さす」になります。)



今焦点を当てたいのは、上の2つの☆です。
結構有ります。
意味の上では使役っぽいのですが、使役だとすると活用形が異なるんですよね。
そもそも他動詞と使役の根本的な意味の違いが明瞭ではありません・・・。
正確にはlexical causative(語彙的使役)という位置づけのようです

前回の記事とは違う自動詞・他動詞の関係です。
まだ「増す」のような重要な例外的な語が抜けているかもしれません。

今回もなにか法則が見つかったわけでもなく、日本語の成り立ちに一歩近づけたかな、という感じです。
いつか動詞をカテゴライズしてみたいですね。

テーマ : ことば
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

try

Author:try
千葉県1992年生まれ。
東京工業大学・生命理工学部
趣味はアニメ・ラジオ・ゲーム全般。声優に詳しい。
野球も好き。広島カープファン。
言語学が趣味で生物学は勉強中。語学はロシア語と中国語。
「学習は問題場面において解決を求めて行なわれるランダムな試行錯誤の結果生じるものだ。」―Thorndike

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