[P2P]Network MagazineのWinny特集を読んで
既にご存知の方も多いとは思いますが、アスキーのNetwork Magazine11月号にWinnyの特集が組まれています。
特に目新しいことは書いてないのですが、一度Winnyの技術的側面を整理するためにも読んでみる方が良いと思います。
Winnyには様々な特徴があります。私がその特徴を2つ言うとすれば
1)プロキシを使った匿名性及び効率的なコンテンツ配信
2)クラスタによるコンテンツ検索ヒット率増加の対策
ということになるでしょう。
1)については実はWinnyより前のFreenetで既にその概念が実現しています。ただし、Freenetは高度な匿名性確保のために非常に面倒な作業をユーザに強いるため、匿名性を一部犠牲にしてもユーザ利便性を向上させたWinnyが日本国内に急速に広まったことは、ソフトウェアとは高度な匿名技術などのテクニカル面ありきでなく利便性の追求であることをまざまざと示した結果かもしれません。Winny以後の匿名性技術の考察については新月のページやRingochなどを見ると良いでしょう。
新月の情報については第1回P2P勉強会のページからプレゼンを見ることができます。
P2P勉強会発表原稿倉庫
2)のクラスタについては斬新な技術として評価できます。当時非常に問題になっていたPure-P2P例えばGnutellaのようなネットワーク維持によるトラフィック増加を抑えることができるからです。
とは言え、DHT(分散ハッシュテーブル)を使う事によってネットワーク全体を高速に検索するということは現在可能となっています。そのためもはやクラスタの概念は不要かもしれません。ただし、クラスタの概念自体は非常に面白いので、クラスタ技術を使ってDHTを補完するようななにか面白いアプリケーションができるかもしれませんね。もし、47氏がDHTを知っていたら(既に知っている可能性の方が高いと思いますが)どのようなアプリケーションを作っていたのでしょうか?
分散ハッシュの事が技術系とは言え一般向け雑誌に紹介されたのは初めてかもしれません。この面でも今回の特集を評価しています。分散ハッシュは特集を組んでもおかしくないぐらい興味深いことですし、出版社から協力要請があれば、こちらも色々とサポートしたいと思います。
emuleなど欧米のファイル交換システムでは既に分散ハッシュの導入がされています。Winny特集にDHTの記事が書かれたことはP2Pにおける一つの時代にくぎりがついた証拠なのかもしれません。
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