バード・ボックス

「見たら死ぬ」と言った設定も凄いと思います。しかも、最後までその正体が
分からないで映画が終わってしまうと言う。見ても大丈夫な人もいて、それ
は精神異常者か。その「あるもの」を見ないように、目隠しをしたり、家の中
では、カーテンを全て閉めて光が入らないようにします。食べ物が無くて、
外に出ないとならない時は目隠しをするか、車の中であればガラスにペン
キをするなりして、外が全く見えないようにし、車を移動させるときはナビで
確認しながら、障害物をよけて進む（とは言っても、無理は無理）。
サンドラ・ブロックは、もしかしたら、名前は知っていて、サンドラ・ブロックと
して観たのは初めてだと思います。観ていたら、今思えばサンドラ・ブロック
だったと言うのは「スピード」シリーズがその最たるものです。無条件で、演
技が上手い。上手すぎます。58歳になりますが、一線でずっと来ているのは
凄すぎると思います。中々こんな絶頂期が長く続く女優さんもいないと思い
ますが、今なお、需要は旺盛だと思いますので、まだまだ出演作品は増え
て行くと思います。僕も、本作品の後、また、すぐに別の作品を観て感動し
ています。
◆鳥は、「あるもの」が近くにいると鳥かごの中で激しく反応します。


本作品の彼女は、強い女性を演じていますが、その実、中身はそんなに頑
強でもなく、至って普通の女性で、子供を大切に育てている辺りは母性を思
い切り感じます。そしてまた、自分の子供ではない女の子も分け隔てなく育
てる辺りは愛情深い感じが出ていて素晴らしい女性だと思います。僕の奥
さんも強く見えて弱いので、考えてみたら本作品のマロリーと僕の奥さん
は同じような性格なのかも知れません。


こんな得体の知れない命を脅かすものを相手に生きて行くには、かなり精
神的にタフでなければ生きていけないのは良く分かります。それで、子供
にもしつけをしますが、結構な厳しさで教えますが、子供も敏感で、女の子
の方が、「マロリーは怖い」と思ってしまいます。それでも、愛情で対処する
辺りは素晴らしいです。しかも、女の子の方は、別のお母さんの子供で、そ
のお母さんは「あるもの」を見てしまって、窓から飛び降りて死んでしまった
人でした。それで、尚更、そのお母さんの分まで生きさせようと自分の子供
よりも厳しく育てたんだろうと思います。


最後のシーンは、生き残った人の多くが目の見えない人、と言うのも、何か
言わんとしていることを感じますのでメッセージ性があると思います。目が
見えていることが常に良いことばかりではないと言ったところでしょうか。目
が見えない人は、悪いことをしたというのを聞いたことが有りません。誰か
の協力無くしては能動的に動けないからだと思いますが、それが有ってか、
目の見えない人は良い人と言うイメージを抱く人が多いと思います。
起承転結がはっきりしていて、最初に、最後の子供とマロリーが川を下る
場面に戻るので分かり易くも有ります。秀作だと思いますし、絶対に観る
価値は有ると思います。映画批評の方々からは高評価を付けられている
そうで、それは凄く理解できます。
印象が残ったシーンで、川を下っている最中、どうしても川の形状で、右か
左か目で見ないとならない場所でどちらの子供がそれをするか選択すると
言うところが有ります。マロリーが産んだ男の子は、「僕がやる！」と言い、
マロリーは、「ダメ。私が決める」と言って、いざ、その場になると、女の子は
自分が嫌われていると考え、「私がやる！」と言いますが、マロリーは、「止
めましょう」と言い切ります。その際の変な空気感の作り方はさすがだなと
思いました。
◆３人皆が荒波に飲まれて船は転覆します。


そんなこんなで、本作品は観るに値する映画だと思います。


評価点　　 90点
お薦め度　 92点

2018年　　124分　　アメリカ製作

　
　
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