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【映画】『フローズン』(2010年) 凍える空、宙吊りの絶望。誰も助けに来ない――極限のサバイバルが、今始まる! | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『フローズン』の作品情報

【英題】Frozen

【監督・脚本】アダム・グリーン

【出演】エマ・ベル、ショーン・アシュモア他

【公開】2010年1月

【上映時間】94分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】ホラー、スリラー

【視聴ツール】U-NEXT、吹替

◆キャスト
パーカー・オニール:エマ・ベル
ダン・ウォーカー:ケヴィン・ゼガーズ
ジョー・リンチ:ショーン・アシュモア
ジェイソン:エド・アッカーマン
スキーリフトのオペレーター:ライリー・トーマス・スチュワート
救助隊員:アダム・ジョンソン

◆見どころ
• 極限状態のスリル
スキーリフトに取り残された3人の若者が、寒さや恐怖、体力の限界と戦う姿が描かれ、息詰まる緊張感が続く。
• リアルなサバイバル描写
凍える寒さ、体力の消耗、そして飢えや恐怖といった現実的な問題に立ち向かう状況がリアルに表現されている。
• 心理描写の深さ
極限状態での人間関係や心情の変化が丁寧に描かれており、友情や恐怖、絶望が強調されている。
• 予想外の展開
シンプルな設定ながらも、予測できない出来事や選択が次々と起こり、観客を飽きさせない。
• 自然の脅威
凍える寒さや高所の恐怖、さらには野生動物の危険など、自然が持つ脅威がリアルに描かれている。
• キャストの熱演
エマ・ベル、ショーン・アシュモア、ケヴィン・ゼガーズらキャスト陣の体当たりの演技が、緊張感とリアリティを高めている。
• 限られた空間の巧みな演出
舞台はほぼスキーリフト上という狭い空間に限定されているが、カメラワークや演出で飽きさせない展開を実現。
『フローズン』は、生き残りをかけた人間のドラマと自然の脅威を見事に融合させた作品です。

◆ネタバレあらすじ
本作、2010年公開の映画『フローズン』は、スキーリフトに取り残された若者たちが極限状態で生き延びようと奮闘するサバイバルスリラーです。その簡潔ながらも緊張感あふれる設定とリアルな描写が高く評価されています。
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週末を利用してスキー場にやってきた大学生のパーカー、ダン、ジョーの3人。パーカーはスキー初心者で恋人のダンと過ごしたい一心で同行しますが、ジョーは彼女の存在を少し疎ましく思っています。2人の友情と恋人同士の関係が微妙な空気を醸し出しながらも、3人は楽しい時間を過ごします。
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日も暮れ、最後のリフトに乗って滑り納めをしようと考えた3人は、係員を説得してスキーリフトに乗り込みます。しかし、スタッフの手違いで3人がまだリフトに乗っていることに気づかないまま運行を終了してしまいます。こうして彼らは宙吊りの状態でスキーリフトに取り残されることになるのです。
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当初、3人は冗談を言い合いながら救助が来るのを待ちますが、やがてスキー場の灯りが全て消え、救助が期待できないことに気づきます。
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さらに、スキー場は平日に閉鎖されるため、次に人が訪れるのは数日後だという現実が彼らに襲いかかります。
寒さが厳しさを増す中、事態は次第に深刻化していきます。パーカーの手は霜焼けで痛みを訴え始め、ジョーは焦燥感に駆られます。ダンは、リフトから飛び降りることで助けを求める手段を提案しますが、その高さはとてつもなく危険です。最終的にダンは覚悟を決めて飛び降りますが、地面に激しく叩きつけられて両足を骨折。さらに、血の匂いに誘われて現れた狼の群れに襲われるという無惨な結末を迎えます。
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残されたパーカーとジョーは、恐怖と絶望の中でなんとか脱出する方法を模索します。ジョーはリフトのケーブルを伝って近くの柱に移動しようと試みますが、途中で手を負傷し、寒さで感覚を失いながらもなんとか成功します。地上に降りたジョーはスキー場の出口を目指しますが、狼の群れに追われる危険にさらされます。一方で、リフトに取り残されたパーカーは凍える寒さに耐えながら仲間の帰還を祈ります。
ジョーが狼に襲われて命を落としたことで、パーカーは完全に孤立無援の状況に置かれます。しかし彼女は自力でリフトを降りる決心をし、辛うじて地面に降り立ちます。傷つきながらもスキー場の出口を目指して歩き続けるパーカー。途中で狼に遭遇しますが、ダンの遺体に気を取られている隙を突き、彼女はなんとかその場を離れます。
最後には道路にたどり着き、通りかかった車に助けを求めるパーカーの姿が映し出されます。映画は彼女が助かるかどうかを明確に描かずに終わりますが、観客には彼女の生存を信じたいという希望が残されます。
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『フローズン』は、極限状況における人間の本能や恐怖、そして絶望の中で生き延びようとする意志を描いた作品です。緊張感を持続させる少人数のキャスト、閉塞的な空間、自然の脅威が観客を引き込む要素となっています。

◆考察と感想
本作、『フローズン』は、極限状態に追い込まれた若者たちの恐怖と生存本能を描きながら、人間の心理や行動を深く掘り下げた作品です。そのシンプルな設定ながらも、観る者を引き込む緊張感とリアリティは高く評価できます。
まず、この映画で描かれる自然の脅威は圧倒的です。現代社会では、暖房や便利な交通手段により自然環境が身近に感じられないことが多いですが、この作品はその「自然」という敵に取り残された人間の無力さを見せつけます。氷点下の寒さ、極端な高さ、そして野生動物の脅威といった要素が次々と襲いかかる中、キャラクターたちは生き延びるために過酷な選択を迫られます。この「自然の中では人間は小さな存在でしかない」というテーマが全編を通じて描かれ、観客に現実の厳しさを再認識させます。
登場人物たちの行動とその結末も興味深い考察ポイントです。恋人であるダンとパーカー、友人のジョーという3人の関係性が物語を進める中で微妙に変化します。ダンは愛するパーカーのために命がけでリフトから飛び降りますが、その行動は結果として命を落とす無謀さを示しました。一方、ジョーは冷静であろうとしながらも、彼自身が限界を迎える中で友情や責任感に葛藤する姿を見せます。最終的に生き残ったパーカーの選択と行動は、最も弱そうに見えた人物が実際には強靭な意志を持っていたことを示唆しています。こうしたキャラクター描写は観客に「自分だったらどうするだろう?」と考えさせる力があります。
また、この映画が投げかける倫理的な問いかけも注目に値します。「誰かを犠牲にしてでも生き延びるべきか」「絶望的な状況での決断は何に基づくべきか」といったテーマが、ストーリー全体を通じて浮かび上がります。極限状態において、友情や愛情といった人間関係はどのように変化するのかを描くこの映画は、単なるサバイバルスリラーにとどまらず、観客に深い内省を促す作品です。
さらに注目すべきは、映画全体を通じた「限られた空間」の演出の巧みさです。舞台はほぼスキーリフトという狭い空間に限られていますが、その中で多様なカメラワークや緊張感を生むシーンの展開によって、観客は決して退屈しません。この閉塞感と孤立感が、登場人物の心理的な苦しみを一層際立たせています。
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最後に、本作の最大の魅力は、その結末の曖昧さにあります。生き延びたパーカーが助かったかどうかを明確に示さないラストシーンは、観客に想像の余地を与え、彼女の生存への希望を託す形で幕を閉じます。このような終わり方は観客に「生きることの意味」や「人間の本能」を再考させる余韻を残し、深い感動を与えるものです。
『フローズン』は、単なるサバイバル映画ではなく、人間の本質や自然との関係性を深く描いた作品として、多くの示唆を与えてくれる一作だと感じました。




評価点   80点
お薦め度  78点


2010年  94分  アメリカ製作

 
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