パロディ春画は如何でしょうか~~
2025-01-04
さて、
アンドリュー・ガーストル著『江戸をんなの春画本―艶と笑の夫婦指南―』(平凡社新書)2011
内容は
月岡雪鼎の作品を4作紹介、
『婚礼秘事袋(こんれいひじぶくろ)』
『女大楽宝開(おんなだいらくたからべき)』
『女令川趣文(おんなしめがわおえしぶみ)』
『艶道日夜女宝記(びどうにちやじょうほうき)』
それぞれ元ネタである実用本の「パロディ」として作成されているのですが本書ではネタ本と詳細に比較されていて、その緻密な「本歌取り」テイストが楽しめます。
当時、この雪鼎本を読んだ人たちはネタ本を読んでいるような或る程度の教養層だったのでは?
リンク先は艶本資料データベース・サイトで画像が観れますので御注意、
そのサイトのトップページには興味深い事柄が書かれています。
長文ですが貴重な指摘ですので抜粋して貼っておきます。
「近代以降の日本社会において艶本・春画はながらく「秘められた資料」として扱われてきました。図に修正を加えることなく出版することはできませんでしたし、アカデミックな場で語られることもほとんどありませんでした。1960年代には研究書が「猥褻文書・猥褻図画」とみなされて裁判となり、出版者・著者に有罪判決がくだされました。
このような状況が変わり始めるのが、1990年代に入ってからです。日本の艶本・春画研究には大きな転換が2回ありました。
1つは無修正出版の解禁です。1991年から刊行された『浮世絵秘蔵名品集』(学習研究社)は全図が完全無修正でした。これにより、当時のままの艶本・春画をようやく知ることが可能になりました。
2つめは、春画展の開催です。日本でも展覧会の一部に春画が並ぶことはありましたが、海外では1980年代から春画をメインテーマとした展覧会が開催されています。特に2000年代はヨーロッパを中心に様々な春画展が企画されました。2013年には日文研もプロジェクトに参加した春画展が大英博物館で開催され、国内外で大きな議論を呼びました。この時、日本への巡回展も計画されていましたが受け入れる博物館・美術館が見つからず断念。企画を立ち上げ直し、ようやく2015年に東京・永青文庫で開催が可能となりました(京都の細見美術館でも開催されました・酔人婆爺注)。18歳以上という年齢制限はありましたが、「春画展」という看板のもと、日本でもようやく艶本・春画を直接みることが可能になったのです。」
では、
一体いつから春画がタブー視されたのしょうか?
今回の大河ドラマでも描かれると思っているのですが、享保の改革で「好色本」が禁止されます。
しかし、
アンダーグラウンド的に流通するんですね、
昭和で言うなら「裏本」ですわ(笑)
本書には
「嫁入り道具に春画を含める習慣は、現代からそれほど遠くない昔までそれほど珍しくなかったようである。その態度が極端に変化したのは特に戦後のことと思われる。」とあります。
実は小学校低学年だったか、
もっと小さかったかもしれない或る日、
祖母とお手伝いさんの立ち話をたまたま立ち聞きしたんですね、
勿論、
その当時はナンの事か分かりませんでしたが、
二人の笑い顔に、えも言われぬ不思議な感情を抱いた事は今でも忘れられません。
やはり、
ターニングポイントは「戦後」だったのでは?
いつも言っているように過去をバッサリと切り落とす事に長けた日本人、
先日読み終えた「アフリカ哲学全史」の主題でもある「欧米中心主義からの離脱」を試みなかった戦後日本は一刀両断に「春画」を切り捨てたのでは?
閑話休題、
『江戸をんなの春画本―艶と笑の夫婦指南―』ですね、
実は著者のガーストル氏は芸術新潮2015年1月号「月岡雪鼎の絢爛エロス」にも執筆、
内容は本書と全て被りますが本書にはより詳細な解説が書かれていて理解しやすいと思います。
更に
2013年に大英博物館で開催された春画展図録にも3本書かれています。
春画とパロディ 318ページ
教訓書のパロディ 338ページ
医学と科学のパロディ 350ページ
この3本の内容を月岡雪鼎にテーマを絞ってまとめられたのが本書、かな。
最後に雪鼎の好みの体形なんですが・・・・
「艶道日夜女宝記」に寄りますと
「丸く」「むっちり」好みとか(笑)
昨年公開された春画を題材にしたドキュメンタリー映画
『春の画 SHUNGA』
私としたことがスル~~~でした><
予告編です、
これにもガーストル先生出演 0:51
たった1:39の動画ですがガーストル先生以外にも見所あり、
0:34に出る北斎の「喜能会之故真通(きのえのこまつ)」の1枚、
有名な「タコと海女」ですね~~~
映像にエロいセリフが入るのですが、これって実際に作品に書かれてるんですよ~~
画面の余白を埋め尽くす北斎のト書きの迫力が凄いんですぅぅぅ♪
1:15に登場するのは鈴木春信「風流艶色真似ゑもん十二」
そうです、以前にNHK「浮世絵EDO-LIFE」で放送され、その作品改ざん疑惑を記事にしています。
教えて、まねゑもん~~~
なかなか面白うでしょう♪
レンタルで観てみたいです。
アンドリュー・ガーストル先生最高!!!
アンドリュー・ガーストル著『江戸をんなの春画本―艶と笑の夫婦指南―』(平凡社新書)2011
内容は
月岡雪鼎の作品を4作紹介、
『婚礼秘事袋(こんれいひじぶくろ)』
『女大楽宝開(おんなだいらくたからべき)』
『女令川趣文(おんなしめがわおえしぶみ)』
『艶道日夜女宝記(びどうにちやじょうほうき)』
それぞれ元ネタである実用本の「パロディ」として作成されているのですが本書ではネタ本と詳細に比較されていて、その緻密な「本歌取り」テイストが楽しめます。
当時、この雪鼎本を読んだ人たちはネタ本を読んでいるような或る程度の教養層だったのでは?
リンク先は艶本資料データベース・サイトで画像が観れますので御注意、
そのサイトのトップページには興味深い事柄が書かれています。
長文ですが貴重な指摘ですので抜粋して貼っておきます。
「近代以降の日本社会において艶本・春画はながらく「秘められた資料」として扱われてきました。図に修正を加えることなく出版することはできませんでしたし、アカデミックな場で語られることもほとんどありませんでした。1960年代には研究書が「猥褻文書・猥褻図画」とみなされて裁判となり、出版者・著者に有罪判決がくだされました。
このような状況が変わり始めるのが、1990年代に入ってからです。日本の艶本・春画研究には大きな転換が2回ありました。
1つは無修正出版の解禁です。1991年から刊行された『浮世絵秘蔵名品集』(学習研究社)は全図が完全無修正でした。これにより、当時のままの艶本・春画をようやく知ることが可能になりました。
2つめは、春画展の開催です。日本でも展覧会の一部に春画が並ぶことはありましたが、海外では1980年代から春画をメインテーマとした展覧会が開催されています。特に2000年代はヨーロッパを中心に様々な春画展が企画されました。2013年には日文研もプロジェクトに参加した春画展が大英博物館で開催され、国内外で大きな議論を呼びました。この時、日本への巡回展も計画されていましたが受け入れる博物館・美術館が見つからず断念。企画を立ち上げ直し、ようやく2015年に東京・永青文庫で開催が可能となりました(京都の細見美術館でも開催されました・酔人婆爺注)。18歳以上という年齢制限はありましたが、「春画展」という看板のもと、日本でもようやく艶本・春画を直接みることが可能になったのです。」
では、
一体いつから春画がタブー視されたのしょうか?
今回の大河ドラマでも描かれると思っているのですが、享保の改革で「好色本」が禁止されます。
しかし、
アンダーグラウンド的に流通するんですね、
昭和で言うなら「裏本」ですわ(笑)
本書には
「嫁入り道具に春画を含める習慣は、現代からそれほど遠くない昔までそれほど珍しくなかったようである。その態度が極端に変化したのは特に戦後のことと思われる。」とあります。
実は小学校低学年だったか、
もっと小さかったかもしれない或る日、
祖母とお手伝いさんの立ち話をたまたま立ち聞きしたんですね、
勿論、
その当時はナンの事か分かりませんでしたが、
二人の笑い顔に、えも言われぬ不思議な感情を抱いた事は今でも忘れられません。
やはり、
ターニングポイントは「戦後」だったのでは?
いつも言っているように過去をバッサリと切り落とす事に長けた日本人、
先日読み終えた「アフリカ哲学全史」の主題でもある「欧米中心主義からの離脱」を試みなかった戦後日本は一刀両断に「春画」を切り捨てたのでは?
閑話休題、
『江戸をんなの春画本―艶と笑の夫婦指南―』ですね、
実は著者のガーストル氏は芸術新潮2015年1月号「月岡雪鼎の絢爛エロス」にも執筆、
内容は本書と全て被りますが本書にはより詳細な解説が書かれていて理解しやすいと思います。
更に
2013年に大英博物館で開催された春画展図録にも3本書かれています。
春画とパロディ 318ページ
教訓書のパロディ 338ページ
医学と科学のパロディ 350ページ
この3本の内容を月岡雪鼎にテーマを絞ってまとめられたのが本書、かな。
最後に雪鼎の好みの体形なんですが・・・・
「艶道日夜女宝記」に寄りますと
「丸く」「むっちり」好みとか(笑)
昨年公開された春画を題材にしたドキュメンタリー映画
『春の画 SHUNGA』
私としたことがスル~~~でした><
予告編です、
これにもガーストル先生出演 0:51
たった1:39の動画ですがガーストル先生以外にも見所あり、
0:34に出る北斎の「喜能会之故真通(きのえのこまつ)」の1枚、
有名な「タコと海女」ですね~~~
映像にエロいセリフが入るのですが、これって実際に作品に書かれてるんですよ~~
画面の余白を埋め尽くす北斎のト書きの迫力が凄いんですぅぅぅ♪
1:15に登場するのは鈴木春信「風流艶色真似ゑもん十二」
そうです、以前にNHK「浮世絵EDO-LIFE」で放送され、その作品改ざん疑惑を記事にしています。
教えて、まねゑもん~~~
なかなか面白うでしょう♪
レンタルで観てみたいです。
アンドリュー・ガーストル先生最高!!!