ネオ・ウルトラQ 鉄の貝
さてネオ・ウルトラQ第7話「鉄の貝」の感想である。
(以下、ネタバレ感想)
海より日本列島に次々と上陸した怪獣(今回は貝獣)はガストロポッドという。
ガストロポッドは日本の火山に取り付き、その熱を発生する。
福田博士はそれに火山活動の活性化という危惧を覚え(というかただの功名心から)、怪獣達を駆除してしまう。
しかしガストロポッドはただ熱を吸収しているだけで、無害であった。
一方、浜辺から動かなかったガストロポッドも居たが、それは産卵して新しいガストロポッドが生まれるのであった。
ガストロポッドは英語で記述すると「Gastropoda」となる。
「Gastropoda」とは腹足綱(ふくそくこう)のことで、ようはカタツムリなど巻貝の総称である。おそらく最初に怪獣を見た生物学者あたりが「ガストロポッド(腹足綱)の様な不明の生物(怪獣)」といい、その中で唯一名詞であった「ガストロポッド」が一人歩きして定着したのだろう。まあ「ガストロポッド」という名前は怪獣っぽいし。
ガストロポッド達はトラフ(恐らく相模トラフ)からやってきた。
トラフとは海洋プレートが合わさる箇所なので、ガストロポッドはその中、地中からやってきたのだろう。
ガストロポッドの食べ物はマグマ(後述)であると考えらるため、地殻とマントルの境目がどうなっているか不明ではあるが、おそらく普段は地殻の底の方で上部マントルのマントル(マグマ)を食べていると考察できる。
地中に居る貝獣が何故陸上に出てきたのだというと、恐らく産卵のためだろう。
火山帯に取り付いたのは、恐らく栄養の補給のため。
比較的マグマが手に入りやすい火山に群がってきたのだな。
しかし地上に出てきてから、ガストロポッド達はどうやってマグマを食べているのだろう?
作中では「地熱を食べる」言っていたが、基本的に熱だけで栄養補給が完結する生物はいない。また熱の伝導には何か媒体が必要である。マグマの熱を土や岩盤を通して簡単に取り出せるわけはない。
また摂取するのが単純に熱だけ良いのなら、地上にはマグマ(800℃~1200℃)以上に高熱を持っているものがある。例えば原子力発電の燃料ペレットの中心温度が1800℃、製鉄所の溶鉱炉は2000℃の温度を発する。しかしガストロポッドはこれらに反応している様子はなかった。
つまりガストロポッドは熱に群がっているわけではない。熱したケイ素を喜んで食べたと言っていたことから、マグマを摂取する必要があるようだ。
作中での描写はなかったが、ガストロポッドはマグマ溜まりからマグマを摂取していたのだろう。恐らく地上に接している部分から地中に(岩盤をも貫く)長い管を地面に突き刺し、マグマを吸っていたのだろう。その距離は最大で約10㎞。おそらくあの巨体の殆どに、その管を格納しているのだろう。
それにしても、地熱を吸い出したところで地震が止まるものだろうか?
地震の発生にはざっくり言うと、プレートテクトニクスによるものと、火山による火山性地震がある。
このうち、大震災を及ぼすのはプレートテクトニクスによる地震であり、火山性地震は比較的被害は少ない。
ガストロポッドはマグマを食べているようなので、これで止められるのは火山性地震であると考えられる。
ただし地震の発生原因は諸説あり、場合によってはマグマやマントルが冷えることで発生する可能性もある。
というか、はっきり言ってプレートテクトニクスはマントル流という巨大な対流が原因であり、ガストロポッド程度を駆逐しようがしまいが地震の発生にはあまり影響がないだろう。
寧ろ、先述したガストロポッドのマグマ摂取の方法が正しいなら、穴を開けた後の食べ残しマグマが地上に噴出しないかが心配である。
ううむ?
ドラマ的には悪者だったが、福田博士の方が実は的を射ていたのではないだろうか。
それにしても、今回の話は、クリスマス島のアカガニの大移動を思い出す。アレも産卵期の話だしな。
なお、硫化鉄で覆われる貝というのは存在する。元ネタは「ウロコフネタマガイ(別名スケーリーフット)」と呼ばれる貝だ。
因みに、この貝、地上にあがると錆びて死んでしまうらしい。
ガストロポッド達は大丈夫だったのだろうか?
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