My最新アニメ感想文:特別編「〝フリクリ”の見方、教えます」(第二話:ファイスタ)
取り敢えず、連載ものなので未読の方はまずこちらを参考に。
My最新アニメ感想文:特別編「〝フリクリ”の見方、教えます」
<OVA:1999年製作:アニマックス>
私的には、フリクリで最も好きな話。っていうか、この話でフリクリの謎はほぼ全て解けることになります。極端に言えばこの先は無くても、想像で補えるレベルだということですね(笑)。ところでファイスタは「ファイアースターター」の略。どうでもいいけど(笑)。
先に言っておきますが、カンチの正体を考える上で重要なアトムスクの情報は、この話にはまだほとんど出てきていません。しかしそれが無くてもほとんど問題ないと思うのですが。アトムスク、というのは良く分からないけど超絶パワーのことなんだ、と思っていれば十分です。あとナオ太(とタスク)が宇宙人とのハーフだというのも、実は小説版を読まないとはっきりとはしません。これも別にナンダバ兄弟が特殊な体質だったんだ、と考えられれば特に問題にはなりません。これらは瑣末な問題だと思うので、分からなくても想像で補える範疇だと思うのですが。蛇足。
例によって「僕の周りには、嘘があふれている」というナオ太のモノローグで始まるこの話。ってハル子は本当の事しか言って無いじゃん。だからナオ太のモノローグは全く信用できないわけです。ナオ太とハル子の会話から、放火犯がカンチであるように誤誘導をかけています。まあこのこと自体はすぐに誤解だと分かるわけですが、誤解だと分かるまでの間の情報がきちんと受け取れなくなってしまうのが大問題。犯人は、執拗ないじめとタスクがいなくなったストレスからマミ美が放火を繰り返していたわけですが、この話ではマミ美とタスクの関係をきちんと追っていかないと、フリクリという作品自体が全く意味が判らなくなってしまいます。
ハル子がべスパでメディカルメカニカ(以下MM)の敷地をを暴走(実はMMへの潜入を図った)して事故るシーンで、「(MMは)人間が働く所じゃないよ。だって入り口がどこにも無いじゃん」は、MMが人間の常識を超えた存在であることを意味し(これによって敵ロボットの総元締めがMMであることをはっきりさせている)、ハル子がガンダムのプラモでバイクを修理してしまうシーンは、ハル子が言葉通りフラタニティの捜査官(ではないかもしれないにしてもやはり常識外の存在)であることを意味しています。これを「ハル子がナオ太を身元引受人にするギャグシーン(少なくともナオ太はそう捉えたわけですが)」なんて捉え方をすると、やはり意味が通じなくなりますね。
さあここで、本作全編を通しての最大のトラップシーン(笑)。ナオ太の過去の学校の火事に対するモノローグの中で様々なゴミ情報は置いておいて、「このとき初めてマミ美は兄と出合ったんだ」は確かに重要ではあるんだけど本当に受け取らなくてはならない情報には全く触れていません。ここで受け取らなくてはならないのは、その後ろで流れている断片的な絵の中から「タスクが幼いマミ美の頭を撫でている」シーンです。このシーンを意識して第二話を最後まで見れば、必ずカンチの正体は分かります(アングルも一緒でしょ?)。ただ小説版には、はっきりと「放火魔だったマミ美は、タスクに頭を撫でてもらって精神的に救われた」ということが書いてありますが、これはなくてもアニメ版だけ見ていれば十分に分かることだと思います。っていうか、分かれ。
というわけで結論から言ってしまうと、カンチはナオ太の兄、タスクの変わり果てた姿です。タスクはMMに「アメリカに野球留学させてあげる」と言って騙されて誘拐され、(ここからは少し想像が入りますが)殺されて生体パーツとしてロボットの部品にされてしまいました。理由は宇宙人の血を引く(あるいは二人の母親が特殊能力の持ち主だったため、フラタニティにスカウトされた可能性もあります)タスクには、ナオ太同様「物質転送能力(もしくはそれに類する力。N.Oと本編では語られます)」があり、それが宇宙海賊アトムスク(強大な力を持っておりMMが手に入れたいと思っているもの)のパワーを手に入れる(あるいは制御する)のに必要だったためです。家族には偽の写真や見上げを渡して時間を稼いでいました。MMは当然マミ美のことを知りませんから、マミ美のところには手紙なんて、来るわけがありません。小説版では後に、金髪ギャルと一緒に一回日本に帰ってきて、後にMM配下の球団(笑)からメジャーデビューをしたとなっていますが、当然第四話に出てきたコピーロボットか何かでしょうね。しかしタスクはぎりぎりのタイミングで弟のナオ太の角とシンクロすることができ、MMを脱出したのでした。そして追っ手を破壊しさあこれからというときに・・・ハル子によって中枢機能を破壊され記憶を失ってしまったわけです(泣)。しかも最後の最後まで誰にも(恐らく視聴者にすら)気がついてもらえないという・・・(号泣)。もしもう一度フリクリを見直すことがあったら、カンチの哀れさに涙しながら見てやってください。ただし全ての記憶を失ったわけではなくて、マミ美との記憶の断片から放火現場を見回ったり、野球が超上手かったりします。あと敵ロボットに襲われたときに、ナオ太の「兄さん・・・」という言葉に反応してナオ太と合体したりしてますね。それが救いというわけではないけれど。
カンチが放火現場を見張っていたのは、過去に放火犯であるマミ美を捕まえ、更正させたことがあるから。これはアニメ版では例のトラップシーン(笑)に断片的にしか出てきませんが、小説版にははっきりと書いてあります。でもこれくらいは小説版を見なくても分かるよね?。ちなみにハル子の鎖はアトムスクのパワーに反応するようですが(話は飛びますが、「忘却の旋律」の小夜子の鎖とそっくり。榎戸先生のお気に入りですね)、カンチはナオ太と合体すると、赤くなって本来の力(アトムスクのパワー)を一時的に回復することができるようです。もしかしたら、一時的に記憶も戻っているのかもしれません。だとすれば少し救いがあるのですが。(って最後にアトムスクがカンチから分離しちゃうから、その後は赤くなれないんだから無意味か。救われないなあ)。
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コメント
なるほど。
助かりました。
投稿: 禁狩る釈迦図 | 2007.08.14 00:16
すごい
助かりました
投稿: n.o | 2009.11.14 13:48
感想文としてはとても素晴らしい文章だと思います。
が、タスク=アトムスク=カンチでは有りません、鶴巻監督がオーディオコメンタリーで明言しています。
断定するのではなく私はそう思ったという風に訂正するべきだと思います。
投稿: モモンガ | 2010.08.29 14:55
トラップシーン(笑)(`・ω・´)キリッ
何か恥ずかしい書きっぷりですね。
投稿: | 2010.09.01 14:56
いい思い込みだ。
あなたの性格が文章に表れている。
投稿: じじー | 2011.03.21 20:47
DVD3周してそろそろ解説サイト見てもいいだろうと思って回ってたら今までの理解を覆す設定でびっくりしました
小説版読んでないのでわからないのですがカンチ=タスクというのは公式なのですか?
投稿: 星の王子様カレー | 2011.06.05 21:39
公式でカンチは兄ではないと断言されています。
受け取らなければならない情報、って言う割には明後日の方向へいってますね。
裏設定とか見方を教えるとかじゃなく、ただの感想文でしょう?
投稿: おまんじゅう | 2011.10.08 10:56