2008-10-05(Sun)
補正予算の実態を知ってますか?
第2次補正予算だとかいって大騒ぎしているけれども、その前に、1兆8000億円の第1次補正予算の実態を知っているだろうか。
マスコミ報道をみても、きわめておおざっぱに、
高齢者医療の円滑運営など生活者の不安解消に3518億円
災害復旧・防災や学校の耐震化に7296億円
原油や原材料の価格高騰が経営を直撃している中小企業に対する資金繰り支援などで4469億円
道路特定財源の暫定税率が4月に失効したことに伴う自治体の減収を埋める特例交付金656億円
(2008.9.29 産経 より抜粋)
くらいのことしか書いていない。
いったい、どこにどれだけオカネが払われるのか、それがどのように国民の懐に還元されるのか、皆さんイメージできるだろうか?
この鳴り物入りの補正予算案だから、内閣府や財務省のホームページに大きく紹介されているのかと思ったら、期待はずれだ。
ちょっとやそっとでは見つからない。
財務省のホームページを奥深く掘っていって、やっとこさ見つけたのがこれ。
平成20年度補正予算(第1号、特第1 号及び機第1 号)等の説明
だいたい、この表題からして、素人には何のことだか分からないようになっている。
気を取り直して、中身を見ていくと、どうやら今話題の補正予算の説明らしい。
ついに、具体的な支出先を発見。
ひとつで50億円を超えるくらいの項目だけ拾ってみる。
(1)生活者の不安の解消 (計3518億1900万円)
医療施設運営費補助金 76億4900万円
新型インフルエンザ用の医薬品買上費等 460億9700万円
年金記録問題対策費 139億600万円
保育所施設整備費等 61億6900万円
(2)住まいと防災対策 (計7296億1200万円)
公立学校の耐震対策 1138億7800万円
公立大学の耐震対策 688億9900万円
私立学校振興費 80億円
法務省施設の耐震対策 80億2300万円
災害復旧事業 2113億4500万円
治水事業 506億9900万円
治山事業 174億9500万円
道路整備 915億4700万円
港湾整備 90億1600万円
住宅都市環境整備 375億4800万円
森林整備 123億1800万円
油購入費 120億7200万円
警察装備費 96億7100万円
海上保安庁警備救援対策費 94億円
(3)低炭素社会の実現と強い農林水産業創出 (計1881億3300万円)
バイオマスエネルギー実用化のための国立大学の設備整備 47億2400万円
iPS細胞の研究振興費 73億5800万円
肥料燃料高騰対策 500億円
配合飼料価格安定 85億円
省エネ低コスト経営支援 80億円
施肥体系緊急転換 69億9400万円
漁船漁業構造改革 300億円
水産業燃料高騰 255億円
(4)中小企業等の活力向上 (計4469億1000万円)
(株)日本政策金融公庫への出資 3830億4000万円
経営安定保証対策 297億円
産業廃棄物適正処理の推進 72億円
ブロードバンド網の整備支援 95億1100万円
(5)地方公共団体に対する配慮 (計916億1900万円)
地方公共団体の総合対策への取り組み費用 260億円
ガソリン税減収の補填 656億1900万円
という具合だ。
これでもまだ、何になるのかよく分からないものもあるけれども、少しはわかりやすい。
これを、高額順に並べ直してみたものが、下の表。(クリックで拡大)
上位6項目で,予算の半分を使っており、16項目で7割を超える。
信用保証や耐震改修はまあいいとして、効くのかどうか怪しげなタミフルを買い込むのに460億も使うらしい。
また、「住宅都市環境整備」なんて、なにをするのかさっぱり分からない。
ガソリン税の補填なんて、民主党への当てつけのようだ。
それなら先に、三位一体改革とかいう詐欺行為で,毎年何兆円も地方から巻き上げている分を返すべきだろう。
(参考 三位一体改革の基礎知識2008)
そして、16番目の「年金記録問題の対策費」 139億円。
これは、景気対策などと得意そうに言える予算ではない。
自らの失策を取り戻すための費用なのだから、国民に平身低頭、お詫びしながら承認してもらうべきだろう。
それ以外も、いったいこれで景気対策になるのか? と疑問符いっぱいになりませんか。
カッコだけはつけているけれども、実態は、「自民党の地方票を取り戻す」、という意図が見え見えだ。
なにせ、1票の格差が大きいから、人口は少なくても地方の票は貴重品だ。
つまり、かぎられた予算で票を買うならば、人口が少なくて1票の重い、地方を狙うべし ということ。
もちろん、地方や山間部の疲弊は、私も、常日頃目にしているから、経済対策をすること自体には反対ではない。
けれども、生きたオカネの使い方を考えることをせずに、票ほしさに撒かれるオカネは、過去何十年間ばらまかれて消えていった補助金と同じく、山や海とその住人が生きていくカネにはならない。
経済の流れをつくるための補助をするべきなのに、その場限りの現金収入で終わってしまうような対策ばかりだ。
結局、金融公庫の貸付枠が広がるのと、耐震改修工事が増えることくらいが、都市部の人間にとってはちょっとした変化と言うことだろう。
その耐震改修工事も、人口一人当たりに換算すると9000円くらいだから、人口35万の吹田市でも31億円ほど。
地元の○谷工務店ぐらいは喜ぶかもしれない。
それに、耐震改修や災害復旧事業は、早くやること自体は良いことだけれども、経済的に見ると、いずれやらなくてはならない需要の先取りだから、給料の前借りといっしょだ。
ま、こんな程度の景気対策だから、内閣府も財務省も、こっそりと隠しているわけだ。
マスゴミさんも、ぜんぜん詳しい報道をしない。
せめて、野党さん、もうちょっとわかりやすく分析して、批判をして欲しい。
※関連記事
1兆8000億円の補正予算で大量に購入されるタミフル
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(2008.9.29 産経 より抜粋)
くらいのことしか書いていない。
いったい、どこにどれだけオカネが払われるのか、それがどのように国民の懐に還元されるのか、皆さんイメージできるだろうか?
この鳴り物入りの補正予算案だから、内閣府や財務省のホームページに大きく紹介されているのかと思ったら、期待はずれだ。
ちょっとやそっとでは見つからない。
財務省のホームページを奥深く掘っていって、やっとこさ見つけたのがこれ。
平成20年度補正予算(第1号、特第1 号及び機第1 号)等の説明
だいたい、この表題からして、素人には何のことだか分からないようになっている。
気を取り直して、中身を見ていくと、どうやら今話題の補正予算の説明らしい。
ついに、具体的な支出先を発見。
ひとつで50億円を超えるくらいの項目だけ拾ってみる。
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iPS細胞の研究振興費 73億5800万円
肥料燃料高騰対策 500億円
配合飼料価格安定 85億円
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経営安定保証対策 297億円
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(5)地方公共団体に対する配慮 (計916億1900万円)
地方公共団体の総合対策への取り組み費用 260億円
ガソリン税減収の補填 656億1900万円
という具合だ。
これでもまだ、何になるのかよく分からないものもあるけれども、少しはわかりやすい。
これを、高額順に並べ直してみたものが、下の表。(クリックで拡大)
上位6項目で,予算の半分を使っており、16項目で7割を超える。
信用保証や耐震改修はまあいいとして、効くのかどうか怪しげなタミフルを買い込むのに460億も使うらしい。
また、「住宅都市環境整備」なんて、なにをするのかさっぱり分からない。
ガソリン税の補填なんて、民主党への当てつけのようだ。
それなら先に、三位一体改革とかいう詐欺行為で,毎年何兆円も地方から巻き上げている分を返すべきだろう。
(参考 三位一体改革の基礎知識2008)
そして、16番目の「年金記録問題の対策費」 139億円。
これは、景気対策などと得意そうに言える予算ではない。
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それ以外も、いったいこれで景気対策になるのか? と疑問符いっぱいになりませんか。
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なにせ、1票の格差が大きいから、人口は少なくても地方の票は貴重品だ。
つまり、かぎられた予算で票を買うならば、人口が少なくて1票の重い、地方を狙うべし ということ。
もちろん、地方や山間部の疲弊は、私も、常日頃目にしているから、経済対策をすること自体には反対ではない。
けれども、生きたオカネの使い方を考えることをせずに、票ほしさに撒かれるオカネは、過去何十年間ばらまかれて消えていった補助金と同じく、山や海とその住人が生きていくカネにはならない。
経済の流れをつくるための補助をするべきなのに、その場限りの現金収入で終わってしまうような対策ばかりだ。
結局、金融公庫の貸付枠が広がるのと、耐震改修工事が増えることくらいが、都市部の人間にとってはちょっとした変化と言うことだろう。
その耐震改修工事も、人口一人当たりに換算すると9000円くらいだから、人口35万の吹田市でも31億円ほど。
地元の○谷工務店ぐらいは喜ぶかもしれない。
それに、耐震改修や災害復旧事業は、早くやること自体は良いことだけれども、経済的に見ると、いずれやらなくてはならない需要の先取りだから、給料の前借りといっしょだ。
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