カテゴリー「音楽」の15件の記事

2018年10月 9日

Apple MusicやYouTubeをHPL2で気持ちよく聴く(Windows編)

HPL2 Processorは、ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴いても、スピーカーで聴くのと同じようなミックスバランスで気持ちよく聴けるようにするVSTプラグインソフトウェアである。

HPL music source
https://www.hpl-musicsource.com/

VSTに対応した音楽プレイヤー(foobar2000、Music Bee、JRiver Music Centerなど)でプラグイン使用する方法はネットで探せば見つかるが、再生できるのは自分で音源ファイルを持っているものだけだ。このブログ記事では、Apple MusicやSpotifyなどの定額配信サービスやYouTubeなど、ストリーミング再生でもHPL2 Processorを使えるようにする方法を説明する。

通常のPCでの音楽再生は以下のような経路で行われる。

  アプリ → 再生デバイス(内蔵オーディオアダプタなど)

foobar2000などにVSTプラグインを組み込んだ場合は以下のような経路となる。アプリ内部でHPL2化の処理を施した音が再生デバイスから出力される。

  アプリ(VSTプラグイン) → 再生デバイス

この記事で説明するのは以下のような仕組みである。アプリの出力を仮想ケーブルデバイスに送り込み、DAWに流し込む。そこでVSTプラグインによるHPL2処理を施し、再生デバイスから音を出す。

  アプリ → 仮想ケーブル → DAW(VSTプラグイン) → 再生デバイス

PCのオーディオアダプタにステレオミキサー機能があれば、それを使用してDAWに流し込むことができるが、あいにくオーディオアダプタやドライバによってはステレオミキサーをサポートしていない。その場合は仮想ケーブルのソフトウェアをインストールする。ここではVB-CABLEを使用する。このソフトはフリーウェアではなくドネーションウェアである。寄付額は任意。

https://www.vb-audio.com/Cable/index.htm からZIP形式のパッケージをダウンロードし、解凍してインストールする。VBCABLE_Setup.exeが32ビットOS用、VBCABLE_Setup_x64.exeが64ビットOS用である。.exeファイルを右クリックし、管理者として実行する。インストール後はPCのリブートが必要である。

1_vbcable_3

Windowsのサウンド設定の「再生」タブを開くと、「CABLE Input」というデバイスができているはずだ。それを既定のデバイスにする。プロパティの詳細タブでサンプルレートとビット深度を設定する。ここはデフォルトでも音は出ると思うが、私はここを含め、設定できる箇所は全て44.1kHz/24ビットにしている。余分なサンプルレート変換がない方が音がいいという推測なのだが、劇的に変わるわけではない。

同様にサウンド設定の「録音」タブに行き、「CABLE Output」を既定のデバイスにし、プロパティの詳細タブでサンプルレートとビット深度を設定する。DAWで入力デバイスを明示的に設定できる場合は、既定のデバイスにする必要はないと思うが、念のため。

次にVSTプラグイン対応のDAWをインストールする。ネットで探すとフリーのものがいくつか見つかる。ここではREAPER v0.999を使う。REAPERは有料ソフトウェア(60ドル)なのだが、v0.999は無料で使える。もっとも2006年の古いバージョンなので、そこは自己責任で。

REAPER | Old Versions
https://www.reaper.fm/download-old.php?ver=0x

起動後に出てくるREAPER New Version Notificationのダイアログでは、Check for new versionsのチェックを外し、Closeボタンを押す。

HPL2 Processorは https://www.hpl-musicsource.com/software からWindows用ファイルをダウンロードする。ZIPファイルを解凍し、HPL2 Processor.dllをC:\Program Files (x86)\REAPER\Plugins\FXにコピーする。REAPER 0.999は32ビットソフトウェアなので、VSTプラグインも32ビット版を使う。ちなみにREAPERの最新バージョンは64ビット版も出ていて、その場合は64ビットのHPL2 Processor.dllを使う。コピー先ディレクトリがプラグインのパスに含まれているかどうか確認しておく。もしなければ追加する。

REAPERのOption→Preference→Audio→Devicesで入出力デバイスを以下のように設定する。

Audio System:DirectSound
Input Device:CABLE Output(VB-Audio Virtual Cable)
Output Device:PCの再生デバイス
Sample Format: 24 bit
Samplerate: 44100 hz
(注)サンプルレートとビット深度はデバイスの設定と合わせた。

3_audio_device

さらにFX Plug-insのRescan directoryボタンをクリックして、HPL2 Processorプラグインを認識させる。

メイン画面左下のMASTERにある「fx」ボタン(Show Master FX Window)をクリックすると、プラグインを選択する画面(Add FX to: MASTER)が表示される。VSTツリーの中に「HPL2 Processor」があるはずだ。それを選択してOKを押すとHPL2のUIが表示される。UIは右上の×ボタンで閉じておいてよい。

4_master_fx

5_hpl2

メイン画面TrackメニューのAdd new trackを選択し、新しいトラックを追加する。トラック名は「Virtual Input」とでもしておく。スライダーボリュームの左の赤丸をクリックして録音状態にする。Leftという文字が書いてあるバーを右クリックし、メニューからStereo Input→Left/Rightを選択し、さらにRecord: disable (input monitoring only)を選択する。

6_new_track

この状態でブラウザやiTunesで音楽を再生すると、PCの再生デバイスから音が出て、ミキサーのレベルメーターが上下するはずである。MASTERのfxボタンの下の「ON」ボタン(Toggle Master FX Enabled)をクリックしてHPL2のオンとオフを切り替えられるので、実際にプラグインの処理が行われているかどうか確認できる。HPL2をオンにしたときは音量がやや下がり、音の広がりが狭く感じられるはずである。

7_playing

再生が確認できたら、File→Save Project Asでプロジェクトを保存しておく。

再生時にプチプチとノイズが入る場合は、Audio SystemをDirectSound以外に設定してみたり、Buffersの数字を大きくしてみたりすると改善するかもしれない。ただしBufferを大きくしすぎると、再生遅延が大きくなり、ビデオ映像と音声がはっきりずれて気持ち悪いので、違和感のない範囲で調整する。

fxボタンをクリックするとHPL2のUIが表示される。再生中のスクリーンショットと感想をブログやSNSで公開して、開発者のアコースティックフィールド久保二朗さんに感謝するとともに、HPL2を広めよう。

(補足)REAPERの最新バージョンにはOS X版もある。OS XではRogue AmoebaのLoopback(有料)が仮想ケーブルとして使える。

Rogue Amoeba | Loopback: Cable-Free Audio Routing
https://www.rogueamoeba.com/loopback/

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2016年7月20日

iCloudミュージックライブラリの諸問題~Apple Muscは曲名とアーティスト名だけでマッチ

以下の記事は2016年夏までの仕様で、現在は音紋(Acoustic fingerprinting)による高精度のマッチ処理になっている。

 

iTunes Matchは音楽ファイルのAcoustic fingerprintingでマッチしているが、Apple Musicのマッチはメタデータだけを使っており、これをiTunes Matchと同じアルゴリズムに変えようとしているという噂が出てきた。

Apple begins rolling out iTunes Match with audio fingerprint to Apple Music subscribers
http://www.loopinsight.com/2016/07/18/apple-begins-rolling-out-itunes-match-with-audio-fingerprint-to-apple-music-subscribers/

iCloudミュージックライブラリはもう使っていないが、テスト環境でいろいろ試してみた。以前調べたときは、メタデータでマッチングしているように見えなかったのだが、曲名とアーティスト名でマッチしている。しかし日本語の処理に問題があるようだ。

Apple Music Matches Files with Metadata Only, not Acoustic Fingerprinting | Kirkville
http://www.mcelhearn.com/apple-music-matches-files-with-metadata-only-not-acoustic-fingerprinting/

Apple Musicに存在しない適当な曲のAACファイルをiTunes 12に取り込み、曲名を「Can’t Feel My Face」、アーティスト名を「The Weeknd」に変えてiCloudミュージックライブラリを更新した。いったんiCloudの状況が「アップロード済み」になってマッチしなかったように見えるが、再度iCloudミュージックライブラリを更新すると「Apple Music」になった。iPhoneからiCloudミュージックライブラリの曲を聴くと「Can’t Feel My Face」が流れる。アートワークも収録アルバム「Beauty Behind the Madness」になった。アルバム名や作曲者名などが空白でもマッチする。要するに曲名とアーティスト名しか見てない。

iTunes 12でApple Musicのカタログを見ると、アーティスト名が「ザ・ウィークエンド」と表示される。しかしアーティスト名を日本語表記にすると、全然マッチしない。マッチに使っているメタデータと、iTunes 12やiPhoneミュージックアプリに表示するデータが必ずしも一致しない。原語表記と各国語表記を処理やUIによって使い分けているようだ。

曲名やアーティスト名が全然違う曲にマッチしているのは、日本語処理のバグ、もしくはバグではないが不適切な仕様によるもののようだ。例えば以下のような誤マッチがある。

  • 「CLOSE YOUR EYES」(山下達郎)が「CLOSE YOUR EYES」(山下久美子)にマッチ
  • 「明日の記憶」(宮本文昭)が「明日への路 (feat. 上間綾乃)」(宮本笑里)にマッチ
  • 「風笛」(宮本文昭)が「風笛」(宮本笑里)にマッチ
  • 「風と少年とタマゴ(宮本文昭)が「風の伝説」(宮本由利子)にマッチ。
  • 「運命の対決」(大島ミチル)が「運命の扉」(大島はるな)にマッチ
  • 「ローマの松 I. ボルゲーゼ荘の松」(小澤征爾/ボストン交響楽団)が「ローマの平日」(小森田実&ALPHA)にマッチ。

この6パターンをじっくり見ると、日本語の曲名やアーティスト名は最初の数文字しか使ってないように思える。ひらがなを無視しているかもしれない(中国語と処理を共通にするため?)。2015年11月に誤マッチしたのと同じことが現在(2016年7月)にも起きるから、Apple Musicのマッチ処理はこの半年で全然変わってない。

さて、噂通りAcoustic fingerprintingでマッチするようになるのだろうか。当のニュース記事は、一部のユーザから徐々に広げていくと書いてある。しばらく経ってiCloudミュージックライブラリを更新すると、誤マッチした上記の曲が正しくマッチもしくはアップロードに変わるのだろうか。ついでにアルバム名もマッチに使ってくれれば、オリジナル盤とベスト盤の曲が混在することもなくなると思うのだが。

(2016年8月2日追記)
私のアカウントがAcoustic fingerprintingでマッチするようになっていた。上に挙げた誤マッチが全て修正され、正しい曲が流れるようになった。以前はマッチした曲のiCloudの状況が「Apple Music」だったのが、いまは「マッチ」と表示される。

アタッカでつながるトラックの片方だけがマッチすると、つなぎの部分が音飛びしたり不自然だったりするものがある。そもそもつなぎ目のないマスターからトラックを切り出しているから、手持ちCDと配信ファイルで違うことがあるんだろう。つなぎ目の不自然さは、真剣に聞いてなければたぶん気付かない。ただしゲルギエフ指揮ウィーンフィルの「展覧会の絵」は、CDとApple Musicでトラックの切り方が完全に違ってて、マッチした「バーバ・ヤガー」とアップロードした「キエフの大門」の間の上昇音型が2回流れる。

(2016年9月21日追記)
トラックの継ぎ目の他に、トラック間の音量差が気になることもある。Apple Musicは全体的に音量が大きめだ。CDから取り込んだファイルはそれに比べて音量が小さめ。アルバムを頭から順に聴いていると、音量が急に大きくなったり小さくなったりする。

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2015年11月16日

iCloudミュージックライブラリの諸問題(再生回数・日時が反映されない)

再生回数や最後に再生した日をベースにスマートプレイリストを作り、今日聞いた曲を振り返ったり、最近あまり聞いてない曲を掘り返したりしている。iCloudミュージックライブラリを使ってない場合は、iPhoneやiPodを母艦iTunesに同期したときに、デバイスから再生情報がiTunesライブラリに反映されていた。

iCloudミュージックライブラリをiPhoneでオンにした場合、再生回数と最後に再生した日時は、すぐにはiCloudミュージックライブラリに反映されない。2015年11月現在、12時間の反映中断期間がある。例えば9:00に曲を再生してiCloudに反映したとすると、21:00まではiPhoneで再生してもiCloudに反映されず、iPhone内にキューイングされる。21:00過ぎに何か再生すると、それまでの未反映分がまとめて反映される。反映中断期間は、以前は24時間だったらしい。

iTunes Match vs. Play Counts | Apple Support Communities
https://discussions.apple.com/thread/3495653?start=450&tstart=0

再生情報がキューイングされているときにiCloudミュージックライブラリをオフにすると、当然のごとく情報は消失してしまう。

なぜこんな期間を設けてバッチで反映しているのか。トランザクションを減らしてクラウド側の負荷を減らしたいのか?面白いことにラブやレートをiPhoneで変更すると、それは即座にiCloudに反映される。これができるのに、なぜ再生情報を反映しないのか。全くAppleのやることはよく分からない。

iTunesとiPodが出たときは、そのシンプルさに感動したものだ。iCloudミュージックライブラリで一気に複雑になり、思うようなライブラリ管理ができなくなった。CDから取り込んでiTunesライブラリを育てるような面倒なことはするな、Apple Musicのストリーミングで聞き、Apple MusicになければiTunesで買えということなんだろうか。最近のMacにはCDドライブすら付いてないから、あながち的外れではないような気がする。

確認したバージョンはiTunes 12.3.1.23 (Windows 7)とiOS 9.1。

(2015年11月28日追記)
マイミュージックに登録してないApple Musicプレイリストを再生しても、iPhoneの中に溜まっている再生情報をiCloudに反映できるようだ。ステーションの再生ではだめだった。

(2016年8月23日追記)
2016年夏のApple Music仕様変更でマッチ精度が上がったのだが、再生回数・再生日時の反映は相変わらずリアルタイムではなく、一日2回のバッチ処理だ。

(2016年9月21日追記)
iOS 10でも一日2回のバッチ反映のままだ。タイミングはiOSアップグレード時刻(とその12時間後)に移動した。

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iCloudミュージックライブラリの諸問題(アートワークが違う)

iCloudミュージックライブラリで違う曲にマッチすると、アートワークも別のアルバムのものが表示されてしまう。曲ファイルのタグ情報にアートワークを自分で埋め込んでいても、マッチした曲にはApple Musicのアートワークが使われる。そのため、オリジナルアルバムなのにコンピレーション盤のアートワークが表示されたり、ベスト盤のトラックなのにオリジナルアルバムのアートワークが表示されたりする。

せっかく時間を掛けてアートワークを設定してきたのに、一枚のアルバムの中で曲毎にアートワークがバラバラという残念なことになってしまう。アルバム一覧で表示されるアートワークは、複数あるアートワークのどれかが自動的に選ばれる。見慣れないジャケ写がアルバム一覧に並ぶわけだ。

さいわいiCloudミュージックライブラリ側に違うアートワークが表示されていても、母艦iTunesのアートワークは上書きされてないようだ。もっとも、アートワークをファイルに埋め込まずにiTunesからダウンロードした場合、それがめちゃくちゃにされたという事例もあるから安心はできない。

Apple Music によってめちゃくちゃにされた iTunes のアルバムアートワークを修正する方法 | R
http://wp.me/p4kidi-1nj

解決策は今のところ見つかってない。強制アップロードさえできれば、自分で設定したアートワークも一緒にiCloudに反映されるのだが・・・

(2015年11月17日追記)

解決策を見つけた。アルバムの一部の曲がアップロードされ、一部がApple Musicにマッチして別のアートワークが設定されている場合には、マッチした曲のアートワークをiCloud側で削除すればよい。アートワークが設定されてない曲には、同じアルバムの別の曲のアートワークを使う仕組みになっているのだろう。

母艦iTunesと別のPCにiTunesをインストールし、Apple IDでログインして、iCloudミュージックライブラリをオンにする。このiTunesはiCloudミュージックライブラリ管理専用だ。意図しないアートワークが付いている曲のプロパティを開き、アートワークを削除すると、iPhoneに表示されるアートワークが、マッチしてない曲と同じものに置き換わる。念のため母艦iTunesのアートワークを確認したが、ファイルに埋め込んだものがそのまま残っている。母艦の曲ファイルの更新日付が書き換わるが、それ以外のメタデータや曲データ以外に変化はない。

確認したバージョンはiTunes 12.3.1.23 (Windows 7)とiOS 9.1。

(2016年8月2日追記)
Acoustic fingerprintingでマッチするようになったので再度テストしてみたら、マッチしてもしなくても、ファイルに埋め込んだアートワークが表示されるようになっていた。ファイルに埋め込んでない場合は、Apple Musicで見つかったアートワークをあてがっている。改めて埋め込むと、それが表示される。面倒なことは考えず、iTunesライブラリでアートワークをファイルに埋め込めばよいので楽だ。

これを応用して、マッチ先を探すこともできる。マッチした曲の聞こえ方がなんかおかしいときは、いったんiCloudミュージックライブラリから削除し、ファイルに埋め込んだアートワークをiTunesで削除し、再びiCloudミュージックライブラリに登録する。マッチしたアルバムのアートワークが使われるはずだから、それを手がかりに、マッチしたアルバムを調べられる。
確認したバージョンはiTunes 12.4.3.1 (Windows 7)とiOS 9.3.3。

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iCloudミュージックライブラリの諸問題(違う曲にマッチする)

Apple Musicで見つけた曲やプレイリストを保存するには、iCloudミュージックライブラリが必須だ。iCloudミュージックライブラリをiPhoneでオンにすると、iTunesとの同期はiCloud経由になる。USBケーブルで接続しても音楽は同期しない。iTunesからiPhoneに曲を転送するには、iTunesでもiCloudミュージックライブラリをオンにしなければならない。すると母艦のライブラリをスキャンして、Apple MusicにマッチしたものはアップロードせずにiPhoneで聴けるようになるし、マッチしないものは曲ファイルをiCloudにアップロードして、やはりiPhoneで聴けるようになる。便利だ、素晴らしい。もしマッチがうまくいけば。

実際にはマッチ精度が低くて、別の曲にマッチすることがよくある。これはiTunes Matchの頃からの問題で、Appleのディスカッションフォーラムにいくつもスレッドが立っている。ビートルズのモノラル録音がステレオ盤にマッチするというのが有名のようだ。

私が経験したのは次のようなパターンだ。同じ曲の別録音や別のライブ音源にマッチする。例えばカラヤンとベルリン・フィルがEMIで1971年に録音したチャイコフスキー交響曲第4番の第4楽章が、グラモフォンでの1966年の録音にマッチしたり、佐野元春「Heartland」の「インディビジュアリスト」が、「THE GOLDEN RING」収録の別のライブ音源にマッチしたりした。全然違う曲にマッチすることもある。宮本文昭の「明日の記憶」が娘・宮本笑里「明日への道」にマッチしていて、ちょっと笑ってしまった。

おそらく音楽の波形を部分的に採取してハッシュを取って比較しているのだろう。ビットレートを高くしておけばマッチしやすいという噂もあるが、AAC 256kbpsでも起きた。

iCloud側の曲をiPhoneで削除して、母艦iTunesでiCloudミュージックライブラリに追加すると、再びマッチング処理が始まって、こんどは誤マッチせずアップロードすることもある。おかしな曲を見つけたら、とりあえずiPhoneで削除しておくというのも手である。母艦iTunesでiCloudの状況が「削除されました」になるから、そういう曲を自動抽出するスマートプレイリストを作っておけば、あとでまとめて処理できる。運が良ければ、誤マッチを訂正できる。運が良ければ、というのが玉に瑕だ。

波形編集ソフトでファイルを編集してマッチしないようにし、アップロードが始まる前に元のファイルに差し替えるという力業を考え出した人もいるが、これを全ての曲でやるのはとても無理。

WORKAROUND — Found a Way to Force iTunes ... | Apple Support Communities
https://discussions.apple.com/thread/4544764?start=0&tstart=0

強制アップロードするオプションが必要という声が海外でも上がっている。しかしAppleがわざわざiTunes Matchの仕組みを捨てるようなことをするわけがない。

Some User Tips (April 2015) | Apple Support Communities
https://discussions.apple.com/docs/DOC-4113

いろいろ調べてようやく編み出したのが、iPhoneに曲を転送したあとiCloudミュージックライブラリで置き換えるという方法だ。

  1. 母艦iTunesからiCloudミュージックライブラリに曲を全てアップロードもしくはマッチしておく。
  2. iPhoneでiCloudミュージックライブラリをオフにする。Apple Musicの曲やプレイリストがiPhoneから消える。もしiPhoneに曲が残っていたら、それも削除する。もちろん原本が母艦iTunesにあることが前提だ。これでiPhoneの音楽ライブラリが空っぽになった。
  3. iPhoneをUSBケーブルで母艦に接続し、曲をiPhoneに転送する。
  4. iPhoneを母艦から取り外し、iCloudミュージックライブラリをオンにする。「結合」か「置き換え」かを聞いてくるので、「置き換え」を選ぶ。

これで、母艦から転送したファイルはそのまま残り、ライブラリの曲情報がiCloudからダウンロードされて曲と紐付けられる。曲毎にダウンロード済みのアイコンが表示されていて、ファイルがiPhoneに存在することが分かる。

母艦iTunesにCDから曲を追加したときは、上の手順を頭からもう一度やり直せば良い。面倒だが、おかしな曲が流れるよりよほどマシだ。

確認したバージョンはiTunes 12.3.1.23 (Windows 7)とiOS 9.1。

(2015年12月5日追記)

再アップロードで「アップロード済み」になったのでしめしめと思っていたが、iTunesで「iCloudミュージックライブラリを更新」を実行したら「Apple Music」になってしまった。そしてアートワークは母艦iTunesのもの、曲自体はApple Musicにマッチしたもの(モノラル録音)というおかしなことになっている。

(2016年7月20日追記)

Apple Musicのマッチの仕組みが分かったので、別ブログ記事に書いた。

iCloudミュージックライブラリの諸問題~マッチは曲名とアーティスト名だけで比較
http://raven.air-nifty.com/night/2016/07/apple-music-34d.html

(2016年8月23日追記)

2016年夏のApple Music仕様変更でマッチ精度がかなり上がり、トラック間のつながりがおかしいのがたまにあるだけで、違う曲が流れてくることはなくなった。

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2006年11月16日

iPodを復元(リストア)

最近iPodの調子がよくないので、復元(リストア)してみた。結果は良好。3つの問題で快適さが損なわれていたのだが、どちらも一気に解決した。

問題の1つは音飛び。曲の初めで1秒くらい音が途切れることがある。特に顕著なのが、J-Waveのポッドキャスト「GOOD MORNING TOKYO J.LEAGUE INTO THE PITCH」。「ゴ~~~ル!」という別所哲哉の雄叫びで、必ずと言っていいほど音飛びしていた。復元後、数回聴いたが、まだ起きていない。

20061115itunes
もう1つはiTunesと同期した後の状態。iTunes 7にアップグレードした後から、iPodの更新が終了しても、取り外せなくなった。「接続を解除できます」というメッセージが出ず、「取り出し」を実行すると「他のアプリが使用中」といったメッセージが出て、取り出し可能にならない。しばらくそのままにしておくか、ウイルススキャンソフトを一時的に無効にする必要があった。iPodをディスクとして使うように設定しているときに起きる現象に似ている。iTunes 6まではこんなことがなかったので、iTunes 7での不具合かと思っていた。

3つめは、iPodの電源が切れなくなる問題。クリックホイールの再生/一時停止を押し続けても電源が切れないことがたびたびあった。このときは、どうやらハードディスクが回り続けているらしく、電池の減りがいつもより速い。リセットすれば復帰するが、出張などの長時間の移動中にこれが起きると、現地に着くまで電池が持たない。どうしたものかと思案していたところだった。この問題もiPodの復元で直ったようだ。もうしばらく経過を観察する必要があるが。

結果的には、iPodの復元ですべての問題が解消したわけだ。このiPodを使い始めて1年と数ヶ月。Windows PCと同じく、たまに初期化してきれいにした方がいいのかもしれない。

Windows PCの再インストールは一仕事だが、iPodの復元操作は簡単。しかも、iTunes 7でとてもわかりやすく改良された。iPodを接続して「復元」ボタンを押すだけだ。復元用のパッケージを自動的にダウンロードし、iPodを初期化する。あとは画面の指示に従ってiPodの名前や地域などの初期設定を行えばよい。再びiTunesと同期すれば、PCのライブラリをiPodに転送してくれる。30GB近いライブラリの全転送はUSB 2.0でも相当時間がかかるが、寝る前に始めてほったらかしておけば、朝には終わっている。

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2006年10月22日

ソニーのヘッドホンMDR-EX90LP

いま愛用しているヘッドホン(イヤホン)は、ソニーのMDR-EX90LP。発売直後から好評を博しているモデルだ。発売直後の品薄なときにビックカメラで見つけて、迷わず買った。MDR-EX90LPは、ロングコード(1.2m)のモデルだ。コードの短いMDR-EX90SPが日本では主力商品のようだが、ショートコードのイヤホンを2機種使った経験から、ロングコードモデルを選んだ。ショートコードのイヤホンは、iPodを胸ポケットに入れて使うにはよいのだが、延長コードを使うと接続プラグが少々邪魔で、全長も長すぎる。自分にはロングコードが合っていると考えた。

 

音質は評判通りの素晴らしさだ。特筆すべきは中音域である。ソニーのヘッドホンは、いわゆる「ドンシャリ」型、つまり高音域と低音域をやたらと強調した音質の製品が多い。MDR-EX90LPを聞いてしまったいまでは、当時最高だと思っていたMDR-E888は高音がシャリシャリしすぎだし、MDR-EX70は低音がもわっとして気持ち悪いくらいだ。MDR-EX90LPは、厚みのある中音域がクラシック音楽にうってつけである。

 

低音域も十分だ。押しつけがましくなく、それでいてしっかりと主張する中低音域が実に気持ちいい。うまいたとえが浮かばないが、完璧なアルデンテにゆであがったスパゲッティはどうだろう。全体は柔らかく、かといってべとべとしているわけではない。それでいて歯ごたえがある。

 

この心地よさを堪能しようと、クラシックのCDを立て続けに数枚買ってしまった。そのうちの1枚がカルロス・クライバー指揮のベートーベン「運命」。私が好きな第3楽章から第4楽章にかけての盛り上がりを、MDR-EX90LPは迫力をもって聞かせてくれる。

 

iPodのヘッドホンジャックとの相性がよいのも気に入った。MDR-70やオーディオテクニカのATH-CK5は、プラグが少々細いようだ。ちょっとした拍子にプラグが回ったり横方向の力がかかったりすると、プラグが抜けたとiPodが検知してしまい、一時停止状態になる。MDR-EX90LPは、これまで数ヶ月使って一度もそれが起きない。

 

難点をひとつあげると、耳栓型(カナル型)イヤホンにしては遮音性があまり高くないことだ。地下鉄の騒音の中では少々聞きづらい。遮音性と音質を両立させようとすると、たとえばBose TriPortのような密閉型ヘッドホンが必要だろう。そうすると今度は携帯性が損なわれる。スーツにTriportというのも、私としてはあまりかっこいいと思えない。通勤時に主に使うには、MDR-EX90LPが今のところベストだ。

 

 

(関連記事)
iPodのヘッドホン
http://raven.air-nifty.com/night/2006/02/ipod_c45a.html

 

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2006年2月19日

iPodのヘッドホン

iPodなどのディジタル音楽プレイヤーが売れるにつれて、関連アクセサリー市場も活気を呈している。ケースはもちろんのこと、どれを使うか悩むのがヘッドホンだ。

私は、ソニーMDR-EX70を常用している。耳栓型(力ナル型)の初期モデルだ。EX70の前に使っていたのはソニーのMDR-E888LP。MDR-888LPは値が張るだけあって、音質は申し分ない。しかし、外部の騒音が侵入してきて音楽が聞こえにくい。いきおいボリュームを上げて、音が外に漏れることになってしまう。

その点、耳栓型のMDR-EX70は遮音性が抜群である。音質に関しては、もわっとしてしまりのないのが不満だ。もうひとつ困ったのが、iPodで使った時の「びびり音」だ。この「びびり音」はコンサートホールや教会で収録した、ホールリバーブの効いたブラスアンサンブルで顕著だ。音の回りにチリチリとした雑音がまとわりついて聞き苦しい。

MDR-EX70に限らず、イヤホン型高級モデルのソニーMDR-888LPやRP-HJE70-Sでも同様だ。逆にiPodの付属イヤホンは問題ない。ポータブル音楽プレイヤーの付属イヤホンは安物だと考えて、必ず別売のものを使ってきたから、少々複雑な気分だ。

ネットで調べると、ヘッドホンのインピーダンスが関係しているという意見がある。日本メーカの小型へッドホンのインピーダンスはほとんどが16Ω。海外メーカは32Ω以上が多い。これを裏付けるように、家にある密閉型へッドホン中級モデルのMDR-Z600では「びびり音」がない。この機種のインピーダンスは45Ωだ。ちなみにiPodの付属イヤホンは32Ωである。iPodとのマッチングを考えたものになっているのだろう。

ポピュラー音楽を聴いている限り、この「びびり音」は気にならない。神経質になることはないが、iPod用のヘッドホンを買うなら、インピーダンス32Ω以上のものにした方がいいだろう。なお、インピーダンスが大きいほど音量は小さくなり、それを補おうとしてボリュームを上げるとiPodのバッテリ消費が増える。

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2005年10月 5日

ポッドキャストの連続再生

iPodの欠点は、ポッドキャストのエピソードをひとつずつしか再生できないことだ。

たとえば「Wall Street Journal Tech News Briefing」は、ひとつのエピソードが3分くらいと短い。これをまとめて聴こうとすると、エピソードが終わるごとにiPodのクリックホイールを操作して次のエピソードを選択しなければならない。満員電車の中では無理。

iPodソフトウェアのアップデートで改善されないかと思っていたら、意外な解決策があった。プレイリストを使えばいいのだ。プレイリストに登録したポッドキャストは、曲と同じように連続再生される。

しかもiTunes 5.0から、スマートプレイリストの条件にポッドキャストを指定できるようになった。J-Waveのポッドキャストだけのプレイリストを作ったり、未再生のポッドキャストだけを集めて連続再生したりできる。しかも、エピソードをいちいち選んでプレイリストを作る必要がなく、iPodをパソコンに接続して同期するだけだ。

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2005年9月15日

ヤンキース観戦旅行(6) ~ ディジタル=ガジェット

シリコンバレーが近いためだろうか、ディジタル=ガジェット(小道具)をよく目撃した。

まずiPod。往復の飛行機の中でも、サンフランシスコ市内や郊外へ行く電車の中でも、iPodを使っている人をよく見かけた。往路はボーイング747の中央4列に座ったのだが、4人中3人がiPod使用。隣の外国人は、乗って来るなりiPod Miniの電源をオン。離陸して10分たつまで電子機器は御法度のはずなのにお構いなしだ。着陸直前には、どうやらiPod Miniのバッテリが切れたらしく、こんどは携帯電話で音楽を聴こうと、飛行中なのに携帯の電源をオン。客室乗務員も特に注意しなかった。これでいいのか?

ホテルのコンシェルジェは、PCでレストランの情報を検索した後、Bluetoothのヘッドセットを装着して電話をかけていた。ホテルから空港へ向かうシャトルの運転手もBluetoothのヘッドセットを使用。日本ではほとんど見かけないBluetoothだが、サンフランシスコでは普及しているようだ。聞くところによると、ヨーロッパではさらに普及しているとか。

展示会場や電車のホームなどうるさい場所で携帯電話を使うときに備えて、カバンの中にいつもイヤホンマイク(ソニー DR-EX150)を入れている。しかし、これはコードが邪魔だ。ワイヤレスのBluetoothならすっきりと使えそうで、以前から興味を持っている。残念ながら日本では、Bluetooth対応携帯が数機種のみ。auだと東芝しか品揃えがなく、いまのところ普及する気配すらみえない。通話よりメールが主体なため、需要がないということだろうか。

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