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2008年5月

2008年5月15日 (木)

「医療人としていささかも容認できない」――山口県医師会も怒りの決議

 ポチです。
 今朝、早起きしてみたら、朝5時すぎには明るくなりはじめて、5時半にはすっかり明るくなっていました。季節の移り変わりを実感しました。



 さて、後期高齢者医療制度です。
 なぜ、こんなひどい制度を思いつくことができるのでしょうか。なにせ、一国の政府が「いずれ死を迎える高齢者からお金を使うのはムダ」というのですから・・・・・。
 「人道」とか「思いやり」とか「正義」とかいう言葉は、この国からなくなってしまったのでしょうか。

 政府は、医療費を2015年度には3兆円削減すると言いますが、そのうち2兆円を75歳以上の高齢者から、そして、2025年度には8兆円削減のうち5兆円を75歳以上の高齢者の医療費から削減するという目標を達成するために、この制度はつくられたそうです。

 2兆円だとか5兆円。
 たしかに少ない額ではありません。
 しかし、一方で、道路の問題を考えてみましょう。「道路基本計画」は10年間で59兆円。福田首相は、道路特定財源はやめ一般財源化する、そして、これを5年に短縮するとは言っていますが、いずれにしても、何十兆円というお金が「必要な道路は造る」という「錦の御旗」のもとに「不必要な道路」の建設につぎ込まれることになるのでしょう。

 道路につぎ込む「何十兆円」は「必要」で、高齢者の医療費の2兆円、5兆円は「不必要」だということなのでしょう。


 あまりのひどさに、全国の医師会も抗議の声をあげました。
 山口県の医師会も制度の「見直し」を求めました。
 県医師会の「決議」が手に入りましたので、紹介します。

    決   議

 本年4月より後期高齢者医療制度が導入されたが、この制度にまつわる問題は行政の説明不足などとして連日報道されており大きな社会問題となっている。会員間ではこの制度そのものに反対する意見もあり、また一方では運用に問題があるという意見もある。このように多様な意見の中にあって、保険料の徴収を含めた財源の問題に国民の同意が得られていないこと、「後期高齢者診療料」に象徴されるように医療機関へのフリーアクセスを妨げ、医療格差を生じさせる構図にあること、年齢により受ける事のできる医療の内容に違いが生じることの3点において、医療人としていささかも容認できないということで意見が一致した。
 これらの意見に鑑み、国民各層が納得できる制度の構築を目指して、高齢者医療制度の見直しを求めることを決議する。

 平成20年4月24日

            第159回山口県医師会定例代議員会



 非常に良識ある「決議」だと思います。
 自民党の強固な支持基盤と言われていた医師会。その医師会すら、こうした決議をあげざるを得ない、それほど今の日本の政治は道を踏み外しているということでしょう。
 先日、仕事でおうかがいした家は、たまたま元地方議員の方でした。なにかの拍子に「後期高齢者医療制度」の話になり、「ワシもゴリゴリの自民党員じゃが、今度の制度は、本当におかしい。人の道に外れている。自民党という政党はもう信用できん」と怒っておられました。

 自民党政治の終焉は近いのだろうなあと感じているポチでした。

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2008年5月10日 (土)

道路特定財源――片山善博氏にみる「まとも」な考え

 ポチです。
 昼間は、もう夏のようなこの頃、いかがおすごしでしょうか?
 昨日から、長期の休みを終わって更新を再開していますが、昨日、上司から、来週半ばから5月いっぱい、周南市の現場に出張を命ぜられました。
 時々は帰ってくると思いますが、基本的には泊り込みです。現場がネット環境にあるのかどうかわかりませんが、なければ再び更新停止ということになってしまいそうです。
 それで、更新できるうちは一生懸命更新しておこうと思います。


 さて、リーガ・エスパニョーラの話を最初に。
 8日の朝は、早起きして「クラシコ」をTV観戦。バルサが最後の意地を見せてくれるのではと、かすかな期待をもって観ていたのですが、案の定、コテンパンにやられてしまいました。
 レアルはリーガ2連覇を果たしましたが、先シーズンも今シーズンもけっして強いともうまいとも思わなかったのですが、この「クラシコ」のレアルは、最高の出来だったのではないでしょうか。「強く」て「うまい」レアルがそこにいました。
 一方、バルサ。「これがあのバルサなのか」というため息が出てしまいました。メッシが時々「らしさ」を見せてくれる以外は、降格争いをする下位のチームを観ているようでした。
 なぜ、こうなってしまったのでしょうか?
 2年前と今シーズンと、部分的には異なる点は様々ありますが、戦術にしてもメンバーにしても基本的には大きな違いはありません。決定的な違いはただ一つ。ロナウジーニョがいたかいなかったかです。やはり、ロナウジーニョの存在が大きかったのでしょうか?サッカーというスポーツは、一人の天才によって左右されるものではないと信じたいのですが・・・。
 来シーズンのことが取りざたされています。監督はライカールトが解任されて、グアルディオラが就任することが決まりました。ロナウジーニョ、デコらの移籍も確実なようです。誰が入ってくるのかはまだよくわかりません。しかし、かつてのような「勝って当たり前。どう美しく勝つのかが問題だ」というバルサが帰ってくるという期待は、いずれにしても持てそうもありません。






 ということで、本題です。
 昨日付けの「山口新聞」の「現論」というコーナーに前鳥取県知事の片山善博氏が「道路特定財源」について書いています。
 片山氏は、政治的には間違いなく保守の方で、自民党に近い方だと思いますが、地方自治体の首長としてのその姿勢については、知事時代から注目をしていました。
 議会では、執行部に対し、質問する議員との事前のレクチャーを許さず、ぶっつけ本番で答弁することを求め、馴れ合い議会を排しました。また、8年前の鳥取県西部地震の際は、県として被災者への公的支援と個人補償をおこないました。阪神大震災で国が個人補償をかたくなに拒んでいる時、画期的な対応でした。
 片山氏は、東大を出て自治省に入り、そして県知事になったという点で、わが山口県の二井知事とまったく同じです。それだけにその落差に常々がっかりしてきました。
 今回の「道路特定財源」問題で、全国のほとんどの首長が「堅持」を主張する中で、どこかの学者や政治家ではなく、「元首長」である片山氏が、これを正面から批判し、ばっさり切り捨てていることは、首長の政治姿勢という点でたいへん重要だと思いました。

 読んでみて、まったく同感だし、ここに道理があると感じたので、全文を掲載しておきます。少し長いものですが、ぜひお読みいただければ幸いです。


自治体の真の役割とは
 道路よりバスや医療を

Sq3_katayama  ガソリン税などの道路特定財源をめぐっては二つの問題が存在する。一つは、本来の税率に臨時と称しつつ長い間上乗せされてきた暫定税率を維持し続けるかどうかという問題である。もう一つは、税収の使い道を道路に特定したままにしておくのか、それとも教育などの他の経費にも使える一般財源にかえるのかという問題である。
 この問題について全国の自治体の首長は、六人の市長を除いて、暫定税率は堅持し、一般財源化には反対するとの考えを示してきた。これは、政府与党の方針でもあった。
 その後、福田康夫総理が野党や世論の強い反対を背景に、苦し紛れの一般財源化を表明すると、首長の多くもそれまで自分が言っていたことを忘れたかのように、一般財源化に反対しないと言いだした。もっとも、その発言内容を見てみると、総じて「必要な道路が整備されること」を前提にしているようである。
 いずれにしても、首長のほとんどは依然として目いっぱい道路を造り続けることが自らの使命だと考えているようなのだが、本当にそれでいいのだろうか。


病院通いも難儀

 例えば、多くの過疎地に行ってみて気がつくことは、至る所道路がきちんと整備されていることだ。ところが、そこではこれまで走っていた路線バスが廃止される事態も珍しくない。自治体の財政が窮屈になり、赤字バスの運行を補助する余裕がなくなったからだ。皮肉なことに、家の目の前まで立派な道路が整備されているというのに、足を奪われた高齢者は病院に通うのにも難儀をしている。
 若い人はマイカーで病院に行くことはできるが、そこには産婦人科や小児科の医師がいなくなっているケースもまれではない。これでは安心してお産や子育てをすることもままならない。
 こうした地域の住民が強く求めているのは、この上さらに道路を整備することではなく、その道路の上を走るバス路線を維持し、病院の医師を確保することではないのか。もちろん、そのためには自治体の財政支援を必要とする。
 もし、その自治体の財政に余裕がないというのであれば、ある程度まとまった金額として現在確保されている道路特定財源を、これらに振り向けるのが実に合理的であり、それを可能にするのが一般財源化にほかならない。地域の課題を真剣に考える首長であれば、特定財源堅持ではなく、当然一般財源化の方を主張せずにはいられないと思うのだが。
 これに対して、首長の多くは、一般財源化しても意味がないと反論する。道路整備のために必要となる経費は道路特定財源だけでは不足しており、他の財源から回して道路整備に投入している実情だというのである。たしかにそうした財政運営をしている自治体も多い。


図書費まで転用

 では、道路に追加して投入している財源は一体どこから捻出しているのだろうか。その捻出先の一つだと推定されるのが教育費である。例えば、小中学校の学校図書館は子どもたちが読書習慣を身につけ、読解力を養うためにとても重要な役割を果たすが、そこで必要となる図書購入費は地方交付税交付金の算定において相当額が手当てされている。ところが、文部科学省の調査によると、多くの府県で自治体が実際に支出した図書購入費の額は、地方交付税交付金で手当てされた額をかなり下回っており、中には四割に満たない県もあるほどだ。
 さて、そこで全国の自治体、とりわけ過疎地域の自治体にはこの際よく考えてもらいたい。高齢者の足が奪われ、病院の医師の確保にも窮している現状にあっても、何が何でもひたすら道路を造り続けることを優先しなければならないのか。しかも、子どもたちのためにせっかく用意されたお金を出し惜しみ、これをネコババしてまで道路につぎ込む必要が果たしてあるのか。もし首長がそう考えているとしたら、議会においてその当否を徹底的に吟味点検されるようお勧めしておきたい。

          (写真は「NIKKEI.NET」のHPからお借りしました)



 いかがだったでしょうか?
 とても「まとも」だと思いませんか?
 そして、全国の何千人かの首長のうちで、6人の市長以外はすべて「まもと」ではない、という恐ろしい現実を痛感せざるを得ないのです。


 では、また。









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2008年5月 9日 (金)

久々の更新――岩国の話題を2つ

 ポチです。
 たいへんご無沙汰をしていて申し訳ありません。
 仕事はなんとか一段落したのですが、疲れ果てて、何をする気力もなく、連休中はただただぐったりとしていました。
 まだ本調子ではないのですが、気がついてみれば、前回の更新からはや2ヶ月近くがたとうとしているじゃないですか!
 しかも、このまったく更新していないブログに多くの方がアクセスしていただいています。とくに多かったのは、衆院山口2区の補欠選挙の投票日前後で、「コイツは、岩国市長選挙のときにあれだけ騒いだんだから、当然、2区の補選でも何か書いているだろう」と思われたに違いありません。申し訳ありません。ひたすら仕事に埋没しておりました。
 反省を込めて更新してみることにします。


 最初に、先月、仕事の現場の近くで撮った写真からどうぞ。

Cimg0142

 そう、土筆です。
 そのかわいらしい姿を発見し、思わず撮りました。



 さて、仕事に追いまくられている間にいろんなことがおこっています。
 さっきも書いたように、衆院山口2区の補欠選挙があり、民主党の平岡さんが圧勝しました。
 その圧勝の大きな要因でもあると思うのですが、後期高齢者医療制度が4月からはじまり、15日には、最初の保険料の天引きがおこなわれました。
 同じく、平岡さん当選の原動力となったガソリン代。4月に下がって、5月から大幅にあがりました。
 女子高生の殺人事件が相次いで暗い気分にもなります。
 それから、「光母子殺人事件」の差し戻し裁判で、“予想通り”というのでしょうか、死刑判決が出ました。これも暗い気分になりました。


 で、今日は、そのなかでも、岩国の話題を二つ書きます。

 岩国では、連休明けに、新築の市庁舎での業務が始まったそうです。訪れた市民からは「明るくて気持ちがいい」などと好評のようです(「朝日」)。
 まあ、新築の市庁舎なんですから、当然だとは思いますが・・・・。

 その市庁舎の補助金問題で、7日、「瀬戸内ネット」の方々が広島にある中国四国防衛局に質問書を提出されました。
 市長が変わったとたんに、市庁舎建設のための補助金を交付したことについて、防衛局の担当者は、「米軍再編という目的の達成に必要と判断した」と答えたそうです。そこで、「瀬戸内ネット」の方が意地悪質問。「福田市長が心変わりするなどして、最終的に岩国市が艦載機受け入れを拒否したら、補助金の返還を求めるのか?」と聞くと、「仮定の話には回答できない」「肯定も否定もしない」と答えたそうです。
 一度、理屈にあわないことをしたら、自己矛盾がどんどん膨らんでいくんでしょうね。
 市長とその取り巻きのたくらみを跳ね返し、世論の力で、何としても艦載機を岩国に来させないことがいよいよ大切になっていると痛感しました。


 もう一つ、岩国のことを。
 基地に隣接する車第三自治会の方々が、米軍住宅の候補にあがっている愛宕山開発地への集団移転を求める要望書を福田市長に提出しました。
 8日の「朝日」山口版によると、高林自治会長らは、福田市長に対し、「移転で米軍機が120機に倍増するため騒音が大幅に増える」「米兵やその家族が増えることにより生活道路がさらに混雑する」などとして、「抜本的解決は集団移転しかない」と求めたそうです。
 これに対し福田市長は、「市が率先して場所を決める段階にはない」としか答えられませんでした。

 福田市長さん、相当困ったんじゃないでしょうか。
 というのは、もともと基地周辺住民を愛宕山に集団移転させるというのは、福田さんが衆院議員時代に「私案」として出したものだったからです。
 だいたい、1軒の家を移転させる費用は1億円くらいかかるそうです。その費用は、当然、市ないし国が負担すべきものです。もちろん、こんな荒唐無稽な案、福田さん自身、そんなことができるなどとは考えもせず、まったく無責任な「私案」として発表したのでしょう。
 しかし、基地周辺住民の方々は、それにすがりつきたいほど深刻に悩み、集団移転の決断をされたわけです。新聞報道によると、この車第三自治会というのは136世帯。自治会総会をおこない、約70世帯の方が参加した総会で集団移転について話し合って、この要望書を提出されたそうです。

 福田市長の対応に対し、高林自治会長は、「提案した本人の言葉としては弱い。今後も実現に向け、市と意見交換したい」と話されたそうです。

 どうやら、墓穴を掘りましたね。福田さん。
 でも、一度口にされたことですので(しかも衆院議員として)、最後まで責任持ってくださいね。



 久々の更新でした。
 また、がんばって更新していきますので、よろしくお願いいたします。





 

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