こんばんは、すいもうです。
梅雨に入り、雨が多くなりましたね。
雨の音を聞いて、日長一日ぼーとしていたいなぁと思います。
晴耕雨読な生活ですね。
本当にやるとすると、いろいろと問題はあるんでしょうけど←汗
まぁ、それはさておき。
今回もレヴィです。
なにげに、最初から。
どういうことなのかは、追記にて。
では、お黄泉ください。
夢、吹きすぎし~月想う~ 百六十話
『──で、これからどうするの?』
ボクが直接的に介入するのをやめることにしたのはいいけれど、状況はまるで進展していない。
ボクが思う、一番手っ取り早い方法は、シンシアを怒らせること。でもシンシアを怒らせて、本音を言わせたところで、同じことの繰り返しになってしまう。だからこそ介入をやめることにした。そこまではいい。問題はここからどうするべきか、ということ。怒らせて本音を言わせずに、どうやってシンシアを論破するのか。その方法はまだ見つかっていなかった。あくまでもボクとしてはだけど。
『そうだね。もともとやれることはひとつしかないから』
「高町なのは」は覚悟のこもった目でボクを見つめる。それがどういう意味であるのかは、考えるまでもない。どうやら彼女は愚直にいままで通りの方法を取るみたいだ。そう、まっすぐにシンシアと意見をぶつけ合う。一番シンプルかつスタンダードであり、一番分が悪く、そして非効率的な方法を選んでしまっている。正直、結局それなの、と言いたくなる。
だってボクの考えた方法を、一刀で切り捨てたくせに、自分はボクが即座に切り捨てた方法を選ぶなんて、どう考えてもボクに喧嘩を売っているようなものだ。まぁ喧嘩を売られたところで買う気はないけどね。だって勝てる見込みなんてまるでないもの。完全にないわけではないだろうけれど、それにしたって博打にすらならない、あまりにも確率の低い方法だった。そんなものを選ぶ気にはならない。
そうあまりにも見込みの少ない方法なんて、普通誰も選ばない。誰しももっとも見込みのある方法を選ぶ。ボクは少なくともそうだ。でも「高町なのは」はまるで見込みのない方法を迷わず選んでいる。あまりにもバカバカしかった。というか頭大丈夫と心配したくなるよ。でも本人は至って真面目で、大マジなのだから、性質が悪かった。
だけど、そんな性質の悪い彼女をボクはどうも嫌いにはなれない。シュテるんにもこういうところがあるから、嫌いになれないんだと思う。だってそんな「高町なのは」を嫌いになれば、ボクは同時にシュテるんも嫌いになることになってしまう。それだけは絶対に避けたいし、認めたくないことだった。だからボクにできるのは、ひとつだけだった。
『好きにやってみればいいんじゃない? ボクは反対しないからさ』
ボクにできるのは、彼女を肯定することだけ。シュテるんに対しても、同じことをする。もっともシュテるんがわけわかんないことを言って、ボクを押し倒してくる時以外はだけど。どうにもシュテるんは、ボクを食べ物かなにかと勘違いしているみたいだ。ボクをどうやって食べるというのか。まるで意味がわからないよ。
まぁ、それはいいや。いま大事なのは、無謀な挑戦をやらかそうとしている、「高町なのは」への支援をどうするべきかだ。ボクとしては協力するのはやぶさかではないのだけど、あまりにも協力しすぎるのもどうかと思う。いまさらな話だとは思うけれど、これは高町家の問題であって、ボクが首を出す筋合いではないんだ。本当にいまさらなことだし、「高町なのは」や「フェイト・テスタロッサ」に言わせれば、いまさらすぎる、と言われるであろうことだけど、それでも本質としては、ボクが首を出すことではないことだけは明らかだった。
『なんだかいますさらすぎることを考えていない? レヴィ』
『ん~。まぁね。だってボクは正真正銘部外者だしなぁ』
『いまさらそんなことを言われても、逆に困るよ。ねぇ、フェイトちゃん?』
『そうだね。少しいまさらすぎる、かな?』
え、と思ったときには、くすくすと笑う声が聞こえてきた。いつのまに念話を繋いだんだろうか。そんな素振りなんて一切なかったはずだったのに。恐る恐ると見上げれば、「フェイト・テスタロッサ」がおかしそうにボクを見下ろしている。その目はとても優しく穏やかだった。お母さんという存在がボクにもいれば、いまの彼女みたいな目をしてくれるのだろうか。よくわからなかった。わからなかったけれど、いまの「フェイト・テスタロッサ」の雰囲気はとても好ましいものだった。ただそれをどうこう言う前に、言わせてもらうことがある。
『えっと、いつのまに繋いだの?』
『ん? 最初から』
「高町なのは」はあっさりとそんなことを抜かしてくれた。いや最初から、って。そんな雰囲気なんてなかったじゃんか、なんて言っても無駄そうだ。これだから高ランク魔導師は。本当に理不尽すぎるよね。そうしみじみと思いつつも、「フェイト・テスタロッサ」にも話を聞くことにした。まぁ「高町なのは」がああいった以上、彼女も同意見なのは考えるまでもないことなのだろうけどね。
『えっと、話を最初から聞いていたってことでいいのかい? 「フェイト・テスタロッサ」』
『いままで通り、「へいと」でもいいよ? そっちの方がレヴィらしい気がする』
『いや、舌足らずな言い方ってわりと疲れて』
『「へいと」でいいよ、レヴィ』
にこにこと「フェイト・テスタロッサ」が笑う。どうやら許してくれそうにない。まぁ別に舌足らずな言い方でも別にいいけどさ。なんとなく釈然としないものを感じつつも、ボクはとりあえず頷いた。
『はいはい、へいとでいいんでしょう? それで君は』
『なのはなら大丈夫だよ。だっていままでもそうしてきたんだ。だからまっすぐにぶつかっていく。それだけでいいんだよ』
予想通りの答えが返ってきた。本当にこの万年新婚夫婦は。そうしみじみと思いつつも、ボクは深く、でもどこか嬉しくため息を吐いたんだ……。
テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学
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