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『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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MarkeZine BOOKS(マーケジン・ブックス)は、激動の時代を生き抜くビジネスパーソンに向けた、マーケティング分野の新しい定番書シリーズです。

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CES 2025より、マーケ領域のNewテクノロジー情報

「CES 2025」スタート 2025年のテクノロジートレンドからマーケ情報をレポート

 テクノロジーカンファレンス「CES(Consumer Electronics Show)」が、1月7日(米国時間)に幕を開けた。家電の見本市として始まったCESは、テクノロジーの進化とともにその規模を拡大させ、現在では世界最大のテクノロジーカンファレンスとなっている。本稿ではCESの一般公開に先立ち、メディア向けに公開された情報の中から、マーケティング関連のトピックスをピックアップしてレポートする。

テクノロジーの祭典「CES 2025」がスタート

 世界最大規模のテクノロジーカンファレンス「CES 2025」がスタートした。1月7~10日(米国時間)の4日間にわたり、ラスベガスで開催される。

 スタートアップからグローバルのトップ企業までが世界各国から集まり、最新技術や新製品、プロトタイプを発表するこのカンファレンスには、160ヵ国以上から10万人以上が参加。テクノロジーと一口に言ってもその内容は実に多様で、ホットトピックのAIをはじめ、ヘルスケア、AR/VR/XR、ロボティクス、モビリティ、エネルギー、サステナビリティなどあらゆるカテゴリの最新技術をキャッチすることができる。

1日早くスタートしたメディアDAYには、テレビ局、新聞社、各種メディアのプレスだけでなく、インフルエンサーやYouTuberも参加していた
1日早くスタートしたメディアDAYには、テレビ局、新聞社、各種メディアのプレスだけでなく、YouTuberやライブ配信者などのインフルエンサーも多数参加していた

 もちろん、広告・マーケティング領域の企業も多数出展する。テクノロジーの進化とともに大きく変化しているライフスタイル、メディア環境を踏まえ、これからの広告やブランド体験の在り方を議論するセッションが多く、日本国内で言う“最先端”とは違う、さらに先を見据えられるカンファレンスとしてマーケターも要注目である。

2025年のテクノロジートレンド

 一般公開に先立ち行われたメディア向けのイベントでは、主催団体のCTAからフューチャリストのBrian氏が登壇。テクノロジー市場のトレンド予測を解説した。大きかったトピックスは以下の2つだ。

先が読めない米国のテクノロジー市場

 まずは米国のテクノロジー市場の概況。CTAは、消費者向けテクノロジー市場の小売市場規模が2025年に過去最高の約5,370億ドルに達すると予測。これは2024年から3.2%の増加であり、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアサービスも成長傾向にあるとした。

 ただ、この予測はトランプ次期大統領の関税政策の影響を大きく受ける可能性があるとブライアン氏。テクノロジー製品への関税により米国消費者の購買力が低下すると、900~1,430億ドルの損失に繋がると話す。なかなか先が読めない状況であり、今後数年間は注意深くウォッチする必要があるようだ。

Z世代の重要性

 そうした中、講演の中で繰り返し強調されていたのが、テクノロジー業界におけるZ世代の重要性である。米国のZ世代は平均すると13台のテクノロジー機器を家庭で所有していることがわかっており、製品の速い交換サイクルも受け入れる傾向にある。ブライアン氏はZ世代を真のデジタルネイティブだと言う。

 また、Z世代はサステナビリティを重視するという特徴もある。調査によると、Z世代は「リサイクル可能」「エネルギー効率が良い」など持続可能性において価値があることがわかると、その製品を買う可能性が2.5倍高くなるそうだ。テクノロジー関連製品を企画・開発する際、マーケターはこうした傾向をよく理解しておく必要がある。

 なお、米国の消費者のうち、持続可能性に焦点を当ててテクノロジー製品を購入したことがある人はまだ47%に過ぎない。利便性などの製品価値と持続可能性を両立させたイノベーションの重要性は、Z世代に限らず、他の世代にも共通するテーマである。

マーケター向けにキーワードをピックアップ

 続いて以下では、多数紹介されたテクノロジートレンドの中から、マーケターが掴んでおくべき情報をピックアップして紹介する。

1. リテール市場の変化:2024年のAI小売市場とバーチャル試用市場の規模は、それぞれ約70億ドル、約20億ドルだった。これが10年後には、300億ドルと180億ドルにまで成長するという予測がある。この5年で若年層を中心にバーチャル試着市場が拡大しており、AIやバーチャル試用による購入体験のパーソナライズ化は、購入品の廃棄を減らすなどサステナビリティの推進にも繋がる。

2. 生成AIは投資対効果への注目が高まる:昨年のCESに引き続き、2025年のCESでもAIは欠かせない重要なキーワードだ。ただ、昨年と異なるのは、生成AIへの投資に対するリターンに関心が寄せられるようになっているということ。CES 2025に登壇するNVIDIAのデジタルツイン技術は、開発コストの削減に繋がるという点でも注目である。

3. デジタルデバイスがインテリジェント・プラットフォームに:スマートフォン、ノートPC、テレビ、さらには自動車やスマートグラスに至るまで、次世代の消費者向けハードウェアにはAIが標準搭載されるようになっており、もはやハードウェアは単なるデバイスではなく、インテリジェント・プラットフォームへと変貌しつつある。さらに、いくつかのデジタルツールやサービスが連携するようになると、これらのプラットフォームは消費者によりパーソナライズな体験を提供するものとなる。

4. テレビの役割の変化:テレビが「エンタメ機器」から「家のハブ(Smart Home Hub)」へと変化していく未来もある。ここで言うテレビとは、テクノロジーと人間のシームレスな共存を助けるスマートホームのハブのようなもの。テレビだけでなく、ロボット掃除機などスマートホームのエコシステムを管理できるソリューションもここに含まれる。

5. ヘルスケア領域は“長生き”の追及へ:ヘルスケア領域のテクノロジーは、長寿の追求に向かっている。長寿=寿命ではなく、健康寿命を指しており、健康により良い生活を長く送ることを目指すもの。このテクノロジーカテゴリを「Age Tech」と言う。米国消費者のおよそ80%がスマートフォン製品をAge Technologyと捉えているという調査データもあり、スマートホームとAge Technologyの境界線も曖昧になりつつある。

減塩をサポートするキリンの「エレキソルト」の展示の様子。会場の中でもひときわ賑わっており、取材者が途切れなかった
減塩をサポートするキリンの「エレキソルト」の展示の様子。会場の中でもひときわ賑わっており、取材者が途切れなかった

 講演の中でBrian氏は、「最先端のテクノロジーを知ることは、私たちの生活を再発見すること。その意味でCESは明日の世界への窓でもあります」と話していた。現状の突破口や考えもつかない新しいアイデアのヒントが、CESにはたくさんある。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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