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『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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MarkeZine BOOKS(マーケジン・ブックス)は、激動の時代を生き抜くビジネスパーソンに向けた、マーケティング分野の新しい定番書シリーズです。

書評

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MarkeZine Day 2024 Autumn

全国放映CMの効果を“見込み売上”まで可視化 Pocochaに学ぶ4種のデータを掛け合わせた仮説検証

 マーケティング活動の一環として多くの企業が実施しているデータ分析や市場調査。ディー・エヌ・エーが運営するライブコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」では、4種類のデータを掛け合わせて仮説検証を繰り返すことで、マーケティング施策の効果検証や推定に成功。効果的な施策を行えるようになったことで、累計ダウンロード数は600万を突破し、事業のグロースに成功している。2024年9月11日に開催された「MarkeZine Day 2024 Autumn」には、同社でマーケティングを手掛ける村口賢一郎氏と川口隆史氏が登壇。同社が行うデータ活用の方法を具体的に解説した。

Pocochaが活用する4種類のデータとは?

 マーケターが業務を遂行する上で重要になる市場リサーチやデータ分析。業界問わず様々な企業が外部のリサーチ会社などと連携して情報収集を行い、マーケティング施策に活用している。しかし、予算の兼ね合いなどから、リサーチの頻度は半年に一回程度にとどまっている企業が多い。

 そんな現状に対して、ディー・エヌ・エーのライブコミュニティ事業本部 Pococha事業部でCMOを務める村口賢一郎氏は、次のように問題提起を行った。

株式会社ディー・エヌ・エー ライブコミュニティ事業本部 Pococha事業部 マーケティング部 部長/CMO 村口 賢一郎氏

「モバイルが普及したことで常に情報収集が可能になった現在、市場の変化は以前にも増して激しくなっています。そんな中で、3ヵ月~半年に一回ほどのリサーチでは十分に市場の状況を把握できていると言えないのではないでしょうか」(村口氏)

 さらに村口氏は、自社プロダクトに対する広告での接触や検索などの行動データを、把握できていないマーケターが多い点も指摘。それらのデータを広告代理店や媒体社に丸投げしてしまい、プロダクトにとって本当に効果的な施策やメディアの選定ができなくなっているのだという。

 そこで村口氏は、重要なこととして「自社でのデータの取得」を挙げる。データ収集を外部だけに頼るのではなく、自社でユーザーの行動データを取得し分析することが大切なのだ。

 Pocochaでもユーザーの行動データ分析は行っており、外部データを活用しつつもアプリ内データの取得には注力しているのだと村口氏は語る。

「当社では、アプリ内でユーザー数や継続率、課金率といった顧客の『ログデータ』を取得。その上、『ユーザーアンケート』も頻繁に実施することで、満足度や利用状況などを把握しています。これらプロダクト内で取得したデータと、外部に依頼して取得した『外部データ』や『市場調査データ』の四つを適宜組み合わせて活用することで、ユーザーのニーズを捉えたより効果的なマーケティング活動を展開できます」(村口氏)

【クリックすると拡大します】

データの掛け合わせでユーザーインサイトを深堀り

 では、具体的にPocochaはそれぞれのデータをどのように掛け合わせて活用しているのだろうか。同じくPococha事業部 マーケティング部でストラテジー・リサーチグループのグループマネージャーを務める川口隆史氏は次のように語る。

株式会社ディー・エヌ・エー ライブコミュニティ事業本部 Pococha事業部 マーケティング部 ストラテジー・リサーチグループ グループマネージャー 川口 隆史氏

「たとえばログデータ上でユーザー継続率の変化を察知した場合、すぐにユーザーアンケートを実施。変化の理由を深掘ります。他にもメディアプランニングを行う際に、各媒体での広告接触数は外部データから取得し、その接触者の利用意向の変化を、外部リサーチ会社に協力を得て取得する市場調査データにより導き出すといったこともしています」(川口氏)

 このようにPocochaでは、4種類のデータを効果的に掛け合わせて活用することで、一つのデータだけでは導き出すことが難しいユーザーのインサイトを発掘している。とはいえ、これらのリサーチの結果を効果的に使って売上に直結させていくことは決して容易なことではない。そこで村口氏は、同社が実際に行ってきた手法を手順に沿って紹介した。

 まず挙げられたのは、同社が取り組んできた理想的なユーザー認知の獲得とそのためのリサーチデータの活用だ。

次のページ
市場調査×ユーザーアンケートでユーザー認知とのギャップを埋める

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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