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第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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MarkeZine BOOKS(マーケジン・ブックス)は、激動の時代を生き抜くビジネスパーソンに向けた、マーケティング分野の新しい定番書シリーズです。

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【特集】拡大中の注目市場「フェムテック」の現在地

目指すのは「フェムテック」という言葉のいらない世界。電通の専門チームに聞くフェムテック市場の動向

 日本でも「フェムテック」という言葉が、一般に浸透し始めた。既に拡大傾向にあるフェムテック市場は、今後さらなる成長が見込まれている。注目したいのは「フェムテック」という枠組みに内包される、テーマ・キーワードの幅広さ、多様さだ。「自社には関係ない」と思っていても、意外な切り口から女性の課題解決に貢献できる可能性は大いにあり、そこにビジネスチャンスが隠されているかもしれない。本稿では、電通で「Femtech and BEYOND.」というフェムテックをテーマにしたチームを立ち上げた奥田涼氏に、フェムテックという言葉の定義から、フェムテック市場の現状、目指す将来について伺った。

元々、ビジネス視点で生まれた「フェムテック」

MarkeZine編集部:このところ、日本でも「フェムテック」という言葉が一般に浸透してきた印象があります。改めて「フェムテック」の意味や定義を教えてください。

奥田:フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語です。もともとは2016年、「Clue(クルー)」という生理管理アプリを立ち上げた女性起業家のイダ・ティンさんが作った言葉とされています。

 当時はまだ生理の話題がタブー視されていた中で、シリコンバレーの投資領域で注目され始めていた「○○テック」という言葉を効果的に使うことによって、ファンドからの投資を獲得したそうです。

株式会社電通 ソリューション・デザイン局 ビジネスアクセラレーション部 奥田涼氏
株式会社電通 第7マーケティング局 未来シナリオコンサルティング部 奥田涼氏

MarkeZine編集部:ビジネス視点から生まれた言葉とは意外でした。フェムテックというと、性教育から更年期障害まで様々なテーマが考えられますが、概念としてはどう捉えるのがよいでしょうか。

奥田:私は「初潮以降、女性の一生を通じて、女性ホルモンのゆらぎによって起きる女性特有の課題をテクノロジーで解決する商品やサービス」 として、フェムテックを捉えています。企業や人によって解釈は大きく異なり、課題の中に美容やダイエットを含めない場合や「女性の働き方」といった社会的背景を含める場合などもあります。

「Femtech and BEYOND.」公式HPより
「Femtech and BEYOND.」公式HPより

大手参入で日本のフェムテック市場も一気に拡大

MarkeZine編集部:フェムテックという概念が、日本に持ち込まれたのはいつ頃でしょうか?

奥田:日本における「フェムテック元年」は2019年ごろと言われています。2024年で5年目となりますが、現在の市場規模は700億円弱で、年間約10%増加している成長市場です。

MarkeZine編集部:日本でフェムテックが広がり始めたのには、何かきっかけがあったのでしょうか?

奥田:1つのきっかけとして、アパレルブランド「GU」の動きは影響が大きかったと思います。

 今では様々な選択肢のある生理用品ですが、従来はナプキンかタンポンかのほぼ2択でした。そんな中、注目され始めたフェムテック商品が吸水ショーツです。とはいえ、吸水ショーツも当初は、クラウドファンディングサイトでしか買えないような、希少かつ高額なものでした。

 吸水ショーツ1枚7,000円以上というのが当たり前の状況を、一気に変えたのがGUです。GUが1枚1,000円台の価格で吸水ショーツを販売し始めたことをきっかけに、様々な企業が参入。競争が高まるにつれて吸水ショーツは手の届きやすい価格となりました。大企業が入ることによって低価格化し、プロダクトが急速に世の中へ広がった事例と言えるでしょう。

MarkeZine編集部:吸水ショーツを広めたのは意外にも、生理用品メーカーではなくアパレルブランドだったのですね。最近では、ほかにどんな企業がフェムテック市場に参入していますか?

奥田:本当にありとあらゆるジャンルの企業が参入しています。製薬会社やビューティー関連企業はもちろん、商社、食品メーカー、金属加工メーカーまで、幅広いですね。

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安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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