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MarkeZine Day 2015 Autumn

ブランド体験の提供・売上最大化を目指して、メガネスーパーとギャップジャパンが進めるオムニチャネル

 「オムニチャネル」の考え方が定着しつつある一方、“完璧にできている”と胸を張る企業はほとんど存在していないだろう。10月14日に開始されたMarkeZine Day 2015 Autumnでは、ネットイヤーグループの石黒 不二代氏をモデレーターに、メガネスーパーの川添 隆氏と、ギャップジャパンの遠藤 克之輔氏がオムニチャネルに挑み続ける様子を語った。

メガネスーパーが進める「オムニチャネル完成の5段階」

 10月14日に開始されたMarkeZine Day 2015 Autumnでは、ネットイヤーグループの石黒 不二代氏をモデレーターに、メガネスーパーの川添 隆氏と、ギャップジャパンの遠藤 克之輔氏が登壇。オムニチャネルに挑み続ける様子が語られた。

左からネットイヤーグループ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 石黒 不二代氏、株式会社メガネスーパー 店舗運営本部 EC・WEBグループ ジェネラルマネージャー 川添 隆氏、ギャップジャパン株式会社 Gapマーケティング シニアディレクター 遠藤 克之輔氏
左からネットイヤーグループ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 石黒 不二代氏
株式会社メガネスーパー 店舗運営本部 EC・WEBグループ ジェネラルマネージャー 川添 隆氏
ギャップジャパン株式会社 Gapマーケティング シニアディレクター 遠藤 克之輔氏

 パネルセッションに入る前に、各社の取り組みについて、簡単に紹介しておこう。川添氏がメガネスーパーに入社したのは2013年。これまでに、自社ECの売上を3倍以上にするなど、同社のデジタル化を進めてきた。今でこそ川添氏率いるEC・WEBグループが、Webに関するすべてを取り仕切っているが、川添氏の入社時には会社の経営計画に、ECやWebは全く含まれていなかったという。そこで、川添氏はオムニチャネルの実現に向けて、5つの段階を設定した。

 まず着手したのは、「店舗もWebも理解できる人材・チーム作り」だ。その後、「自社のECをリプレイスして、しっかりと売上を作っていく」と同時に、「ECと店舗のサービスの同期」を行った。サービスの同期とは、例えばコンタクトレンズの定期購入サービスを店舗でやっているなら、ECでもできるようにするということだ。

 現在は第4段階の「テクノロジーの活用」に取り組んでいる。川添氏はオムニチャネルを実現する上で、「プラットフォーム作り自体の難易度はそれほど高くないと考えています。注力しなければならないのは、実際に店舗で活用するために必要な店舗スタッフのリテラシーの底上げです」と語る。50~60代の店舗スタッフもWebやECを接客に活用し、各店舗でエンドユーザー向けのスマホ教室ができるレベルにする。それが達成できたときに、初めてメガネスーパーのオムニチャネルは完成を迎えると川添氏。そのために、EC部門主体で店舗スタッフやエリアマネージャー向けにPC教室を実施するなど、草の根的な活動も行っている。

 「最終的なオムニチャネルの目的は、お客様と当社があらゆるシチュエーションで接点を持ち、購入いただいたデータを活用してコミュニケーションを取りながら、売上を最大化すること」と川添氏。様々な取り組みを進め、今期の最後には店舗のデータベースとECのデータベースの統合を予定しているという。

全タッチポイントでストア同等の体験を目指す「Gap」

 Gapがマーケティングで一番大事にしていることは、「ブランドの持つ“自由・自分らしさ・着るだけでクールに見える”といったアメリカンカジュアルのベーシックで素敵な部分を、どうやって体感してもらうか」と語るのは、日本におけるGapのマーケティングを統括する遠藤氏だ。

 例えば今年、日本上陸20周年を記念したキャンペーンを行った際に、広告クリエイティブに「#GAPJAPAN20周年」のハッシュタグを加え、オンライン・オフラインを横断したアニバーサリームードを演出した。しかし、Gapにとって重要なものは、ECよりもストア(リアル店舗)だと遠藤氏は断言する。

 「我々のブランドのストーリーを通じてリッチな体験をしていただける場所は、やはりストアです。オムニチャネルの考え方としては、ストアで得られるリッチな体験と同じくらい、ほかのチャネルでも一貫した体験を提供できるか」(遠藤氏)

 そのために、LINEの運用も開始。新しいタッチポイントでGapの魅力を感じてもらう方法を模索しているという。

 では、店舗とオンラインをどのように結び付けているのだろうか? Gapには数百万の会員が参加する「GAP MEMBERSHIP」というロイヤルティプログラムがある。購入前にモバイル会員証のスキャン等を行うことで、購買データと個人情報をCRMで紐付け、データを活かしてブランド体験の統一と向上を図っている。

 「個人的には、流通企業は今後ダイレクトマーケティングの領域にどんどん近づいていくのではないかと考えています」と遠藤氏。顧客がコンタクトしたら、チャネルが何であれ、パーソナライズされたコミュニケーションが始まる必要があると考えを示す。同社でも、タッチポイントごとに取得したデータをまだ統合しきれていないのが現状と語りつつ、データの統合に意欲を見せる。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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