とてもきれいにまとめられた最終回でした。
ノイズに吸収されたダメージが大きいのか、最後に全ての音符を浄化した疲労が大きいのか、最終決戦後も眠り続けるハミィですが、その眠りを呼び覚ましたのはセイレーンの歌声でした。セイレーンの歌声に響、奏、アコの歌声も重なって、遂にハミィが目覚めます。ハミィとセイレーンの友情の深さはこれまで何度も描かれてきましたが、最後にそれが響、奏、アコにも友情の輪が拡がる形で描かれていたのが実に印象的でした。
そして、遂にハミィが幸せのメロディを歌います。メロディラインそのものは不幸のメロディと似ているんですね(笑)。しかし調が異なれば印象も全く違うのが音楽というもの。その明るい歌が響き渡ると、石化されていた人々が次々に元に戻っていきます。アフロディテ様やトリオ・ザ・マイナーも無事元通り。セイレーンに飛び付くトリオ・ザ・マイナーが微笑ましい(笑)。久しぶりの「やっかましいわ」も聞けて大満足です(笑)。メイジャーランドの音楽隊も石化が解除されるとそのままハミィと一緒に幸せのメロディを演奏する辺り、実に素晴らしいプロ根性ですね(笑)。
圧巻なのはラストシーンです。日が暮れそうになっても帰ろうとしない4人組に音吉さんがまだ帰らないのかと声をかけますが、4人組は何かを待っている様子。そして、夕日の中に姿を現したものは、なんと、白いピーちゃんです!!音吉さんは思いっきり驚いてピーちゃんに対し警戒の構えを取りますが、4人組はまるで古い友人を出迎えるかのようにピーちゃんに駆け寄ります。幸せと悲しみは表裏一体、悲しみから目を背けるのではなく、それを受け入れて生きていく。それが4人がノイズとの最終バトルから見いだした答えなのでしょう。ラスボスの心を理解し、共感し、そして、共に寄り添い生きていくという結論を見いだすとは、なんと見事な着地でしょうか。今作のプリキュア達も、この1年間で実に大きくなりました(感涙)。
悲しみの感情、それ自体は悪でも何でもなく、もしそれが悪いものに見えるならば、それは私たちがそのように見ているからだ、と、スタッフが語りかけているように思えます。悲しみを無理に消し去るのではなく、共に寄り添っていくことの大切さを訴えるこの作品が、昨今の国難とも言えるこの大激動の時期に、世に送り出されたのは決して偶然ではないのでしょうね。
今シリーズのおかげで、1年間、日曜日の朝を非常に楽しく過ごすことが出来ました。このような素晴らしい作品を制作したスタッフの皆さんに改めて感謝の意を表します。どうもありがとうございました。