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電波女と青春男

電波女と青春男 #03 『地を這う少女の不思議な刹那』 感想

 電波3話 シーン1


はーいみなさん。地球へ転校してきた藤和エリオさんでーす。
みんな仲良く、彼女を支えて、そして愛してあげて下さいね。



記憶がないことへの恐怖と、それにより起きてしまう自己暗示という名の現実逃避。

誰の責任でどうなったとか、何で半年もの間失踪したのかとかそいう具体的なことは
一切分からないのだけれど、でもだからこそ彼女はそうすることでしか
今を生きていく術を見出せなかったのだろうし、彼女自身もおそらくそう悟ってしまった。

そして周囲から身を守り、また自分の思考と自身の存在意義を打ち消されないために
布団を身体に巻き付ける。

触れられたくないわけじゃない。宇宙協定に反した友好を結びたくないわけでもない

でもそうすることでしか彼女は自分を守り切れないから、そうするしか方法がない。
自転車に乗れないというあからさまに無理のある論理と布団を武装にして
そうやってエリオは望みもしない現状を淡々と過ごして、生きてきたというわけなんです。


 電波3話 シーン2


でもそれだって、決して当事者以外の誰かが批判できるようなことではないんですよね。

むしろ彼女はそうやって心の拠り所を自ら作り上げることで気持ちを安定させているわけで
その唯一無二の彼女だけの居場所を踏み荒らす権利なんて誰にだって与えられるわけがない。

それは例え、その場所が張りぼてで組み立てられた城であったとしたってそれは同じで
だからこそ、女々さんだってああやってあまり干渉はせずにエリオの好きなようにさせて
余計に彼女を傷つけないようにそっとしておいてあげているのだと思うんです。

それだって、エリオに対する愛情の注ぎ方であることには変わりないですよね。
彼女の言うとおり、それがいいお母さんであるかどうかはまた別として
寄せては返す波のように一定の状況を保ってあげることだって彼女には必要だったはずなんですから。


 電波3話 シーン3


そしてもちろん真自身もそのことには気付いていて、だからこそ女々さんの言うことも理解できるし
エリオを自転車でのフライトへと誘い出した時だって 「相手の考えを自分の考えで塗り潰す」 と、そういう気持ちを抱けていたのだと思います。

エリオの意見や気持ちを全否定するわけではなく、自分の意見を相手に押し付けようと試みるだけなんだと

だからあくまで彼もエリオの言い分をしっかりと聞き入れてはいるのですよね。
でも “受け入れる” ことは出来たとしても “共感” は出来ない。

それはエリオが宇宙へ希望のように見える何かを見出すのと同じように、彼もまた深海という
一つの空間に対し希望と夢を馳せて生きている人間であるから。だから気持ちは分かる。


電波3話 シーン4電波3話 シーン5


けれど、エリオが抱いているそれは先程も述べたように “希望ではない何か” に過ぎなくて
だからこそ真は彼女に対し苛立ちを覚えるし、無性に腹も立ってしょうがなくなってしまう。

それは流子の言葉を借りて言えば、まさに仕組みという論理的な希望と夢

自分が宇宙人であるという希望が現実となれば、失われた記憶も戻ってくる可能性があるし
おおまかには辻褄が合うものだから恐怖と不安も取り除けて、自分の存在を肯定できる。
だからエリオは希望を抱くわけですよね。自分が宇宙人でありますようにと。そういう仕組みの中で存在する生物でありますようにと。

でもそれって全然、神秘的なことではないですよね。ただ現象をこじつける為の仕組みとして利用しているだけで、希望と言うにはあまりに輝きが足りないし夢というのはあまりにもスケールが小さ過ぎる。

そしてだからこそ、真はそんなのを希望とか夢だと言って欲しくないし、認めたくない。
故に射出することとなるに至った自己満足に満ちたフライトという名の優しさに満ちた挑戦。


 電波3話 シーン6


もちろん、エリオに対しそんな真の真意が伝わったのかと言えばそれは分からないし
むしろ個人的には伝わってはいないのだと思います。
何が夢で何が希望だとか、そんな難しい話は彼女自身、考えてもいないわけですから。

けど、その熱く優しい想いというのはどんな形にしろ彼女の心の届いたのですよね。

そして今までは “自分は宇宙人である” という張りぼて的な弱い支えしか持てなかった彼女が
真という名の力強くて温かい支えを手に入れることが出来た。
きっとエリオに今、一番必要だったのってこういう人の優しさとか支えだったのでしょうね。

女々さんのやっていたことだって間違いではなかったわけですけど、でも正解でもなくて。
一人で不自由な夢の中を彷徨っていた彼女だったわけですけど、本当は今までのように
一人切りにさせるべきではなかったのだということなのでしょう。

故に、やっと彼女が心の拠り所を見つけられた瞬間に流した涙はもう喜びに満ち溢れていたというかね。あの笑顔共々、本当に輝いていて。
加えて、凄く神秘的でもあったからこそ、これがまさしく彼女が希望を見出した瞬間なんだろうなぁ
なんてことを想うとこっちの心まで温まってしまって、もう凄く素敵な話に感じられましたね。


 電波3話 シーン7


というわけで、エリオって本当は電波になりたくないけど電波を装うしかしょうがなかった
女だったんだなぁということが発覚した今回の話はもう作品に対する見識から評価まで
全てを覆さえざる終えないような、そんな素晴らしい話でもありました。

そしてだからこそ、これからの展開も一層のこと楽しみというかね。

彼女がこの悪夢から解き放たれたことで、これからさらにどういった夢を抱いていくのかとか
どんな変化を見せてくれるのかとか、そういった色々なことに対しての期待はやはり強いです。

だって今の彼女の目には全てのことが新鮮で、あらゆることが希望の光のようにも見えている
ことでしょうから。


無限の可能性を秘める藤和エリオ。もしかしたら本当に将来は空をも飛んで、
宇宙に飛び立つような立派な人間に成長しているかも知れませんね。




次回  「右腕骨折全治一箇月



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