写真●EtherHaul-600Tの外観
写真●EtherHaul-600Tの外観
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 理経は2014年9月3日、ビル間のLAN接続やイベント会場のLAN接続に利用できる無線通信機器の新モデル「EtherHaul-600T」(写真)を発表、同日販売を開始した。9月15日に出荷する。無線周波数帯としてVバンド(57GHz~66GHz)を採用したことで、既存の上位モデルよりも通信可能距離が短くなった一方で、免許を不要とした。価格はオープンだが、市場推定価格は1セット2台で150万円から200万円程度。販売目標は初年度500万円、次年度3000万円。開発会社は、イスラエルのSiklu Communication。

 EtherHaulは、ビル間やイベント会場などのように距離が離れたLAN同士を無線通信で接続するイーサネットブリッジ機器である。2台のEtherHaulをネットワーク対向型で設置して使う(指向性が強く、ビームの角度はEtherHaul-600Tの場合で2.5度)。これにより、拠点をまたいだLANセグメントを実現する。電源はDCのほか外部のスイッチからPoE(LANケーブル経由)で供給できる。EtherHaul自身も、パソコンなどを直接収容できるようにスイッチを内蔵する。

 これまで理経は、既存モデルとして「EtherHaul-1200シリーズ」を提供してきた。同モデルは、無線周波数帯としてEバンド(70~80GHz)を使うため、使用に当たっては免許が必要になる。これに対して今回発表した新モデルのEtherHaul-600Tは、Vバンドを採用して免許を不要とした。これにより、既存モデルよりも手軽に導入できる。

 無免許で利用できる一方で、Vバンドには周波数の特性上、酸素吸収によって1キロメートル当たり15dBの減衰が発生するというデメリットがある。このため、通信可能距離は200~500メートル程度に限られてしまう。これに対してEバンドは、免許が必要になるものの、1キロ~3キロメートル程度の距離まで通信できる。

 EtherHaul-600Tの外形寸法は、アンテナ一体型で幅15.5×高さ15.0×奥行き8.8センチメートル。重さは1.8キログラム。動作環境は摂氏マイナス45度からプラス50度。防塵防水の仕様はIP67(粉塵が内部に侵入しない防塵性と、水中に漬けても影響がない防水性を備える)。運用管理機能として、CUIコンソール画面、Web GUI画面、SNMPエージェント機能を備える。