全社ブロガー化計画でこれまでブレーキになりがちだったのは,忙しく外商をしている営業パーソンでした。最もブログ記事のネタを簡単に探せる現場にありながら,パソコンを持ち歩かなかったり,ブログと縁遠かったりしたのです。

 たとえ出社直後や帰社後にパソコンの前に座っても,メール対応や見積書・伝票作成に追われて,とてもブログどころではなかったはずです。また,パソコンを持ち歩く担当者であっても,社外で仕事中にわざわざブログを書く気にはならないでしょう。

 しかし,全社ブログのコンテンツを量質ともに豊かにしつつ,お客様との絆を深めるには,現場に最も近い外商営業ブログが欠かせません。

 そこで,ぜひお勧めしたいのが,ケータイを使った「たった5分のブログ習慣」を営業パーソンに身につけさせる試みです。CRM(顧客関係管理)というと,とかく高機能データベースと分業的組織での対応を整備することを考えがちです。しかし,ケータイと営業スタッフのちょっとした心がけで,お客様との関係を強化するばかりでなく,新規顧客の集客にも役立つのです。

ケータイならその場で撮影&掲載のお願い

 昨今のケータイが便利なのは,デジカメ機能が充実していることです。いつでもどこでも,その場で写真を撮れて,撮影した写真を画面で気軽に確認して見せ合うことができます。

 すなわち,訪問先でブログ記事の素材を目にしたら,すぐにポケットからケータイを取り出して撮影できるわけです。ブログの命は,現場で撮った生々しい写真ですので,カメラ付きケータイは大きな武器になります。ブログ用であれば,高解像度は必要ないので,本格的なデジカメを持ち歩く必要はありません。わざわざ,鞄の中身を増やす必要もないのです(ちなみに,最近,私はカシオのEXILIMケータイに買い替えましたが,これは,ちょっとしたデジカメ以上の解像度と機能を備えています!)。

 しかも,外商ブロガーにとって何よりありがたいのは,その写真をお客様にお見せして,「この写真を私のブログでご紹介してよろしいですか?心をこめてPRさせていただきます!」などと,掲載許可と自分のブログの宣伝を同時に済ませられることです。わざわざ,メールや電話でブログ掲載の許可をお願いする手間も不要なのです。

何か話題を一つ観察・拝聴すればOK

 それでは,営業の現場には,どんなブログ記事の話題=カメラ付きケータイの被写体が転がっているでしょうか?

1)店構え

 まずは,お店や会社紹介の王道はお取引先の「店構え」でしょう。お店の魅力は,通行人を惹き付けるディスプレイ=ヴィジュアルマーチャンダイジングによるところも大きいからです。また会社や工場であれば,その大きさや見かけの美しさも信用につながることでしょう。

 ですから,まず訪問したら,お邪魔する前に,最も美しく見える角度,象徴的なアングルから,ケータイで撮影しておきたいものです。

2)会社の看板

 それから,ケータイやブログの小さな画像では「店構え」をうまく表現できない場合は,「看板」を撮るのもお勧めです。看板には,その会社の理念やイメージが宿っている場合が多いからです。しかも,お客様にとって最も大切なブランドの要,社名やマークを読者に効果的に印象づけることができるのです。

 私も,社内のパソコンでブログを書く場合は,その会社の公式Webサイトのトップにある会社ロゴイメージにリンクして紹介することがよくあります。しかし,現場を訪ねて撮った看板写真のインパクトには,とてもかなわないでしょう。

3)イチオシ商品のディスプレイ

 どの会社にも,話題の新商品やロングセラーの定番商品など,今一番販売したい「イチオシ商品」があるはずです。こうした商品は,お店であれば一等地に,会社のショールームなどでも一番目立つところに置いてあるはずです。また,商談の中でも話題になって,目の前で見せていただけることが多いでしょう。

 こうした「イチオシ商品」は,必ずケータイで撮影して,同社の営業パーソンになった気持ちで,ブログに紹介しましょう。きっと喜ばれるはずです。

4)イベント案内ポスターやチラシ

 さらに,商品プロモーションや地域・社会貢献などの目的で,展示会や文化イベントなどに参加している会社も多いはずです。そして,一社でも,一人でも多くの方に,イベントに来てもらいたいと願っていることでしょう。

 こうしたイベント案内のポスターやチラシを店頭や社内で見かけたら,ケータイで1枚押さえておきましょう。イベント担当者になったつもりで,ケータイブログを使ってPRをするのです。ポスターやチラシの中には,日程や場所などの必要情報も掲載されているので,後でわざわざ文字入力をする必要もありません。

5)ご担当者の笑顔

 魅力的な「ご担当者の笑顔」も最高の被写体です。例えば,楽しいお話や,素晴らしいメッセージをいただいた時や,イチオシの商品を直接ご紹介いただいた時には,ぜひご担当者も一緒に撮影したいところです。

 もちろん無理強いはいけません。おそらく,写真に撮られたり,ブログに出たりするのがイヤな方が,数多くいらっしゃるでしょう。ネットに対する漠然とした恐怖感もあるはずです。そんな時は,過去のブログ事例を印刷してお見せしたり,ブログの読者になって親密な関係を築いてから,ご紹介するようにいたしましょう。