マイクロソフトは2008年3月25日、国立高等専門学校機構(高専機構)と共同で、Windowsを使ったグリッド・コンピューティング構築を推進する取り組み「高専連携グリッド プロジェクト」を開始した。高専機構に所属する全国55校の国立高等専門学校にあるパソコン、約6500台を結んだグリッド・コンピューティング環境の構築と、各種の教育・研究活動への活用を目指す。グリッド環境に接続されるパソコン台数としては、国内最大級になるという。
同プロジェクトでは、まず高専単位でグリッド環境を構築。夜間や休日の空き時間を使って、計算処理を実施する。各高専での安全性を確認できたら、高専同士のグリッドを接続して、さらに広域のグリッド環境を構築する。グリッド同士の接続にはVPN(仮想私設網)などを利用する。
既に岐阜高専、徳山高専、豊田高専の3校が、先行してグリッドの構築・運用方法やアプリケーション開発方法の検証を実施中。4月から始まる2008年度は、グリッド接続する高専を全国25校に拡大。2009年度にも、数千台規模のグリッド環境の実現を目指す。
グリッドの構築には、高性能コンピューティング(HPC)用Windows Serverである「Windows Compute Cluster Server(CCS) 2003」を採用。既存のパソコンやネットワークを利用するため、システム構築費用はWindows CCS 2003の購入費用のみで、3000万~4000万円(本誌推定)とみられる。
高専機構は2004年に発足した独立行政法人。同プロジェクトの発端は、岐阜高専が2005年に構築したグリッド環境である。岐阜高専は同地域のパソコン1300台を結合したグリッド環境を構築した。
岐阜高専の柴田良一 准教授は「高速なコンピュータ処理能力に対するニーズは、学生や教員にいくらでもあるが、これまではシステム環境が得られなかった」と話す。「Windowsは教育現場でも広く使われているため、学生や教員が違和感なく利用できる」(同)。将来的には高専で利用するだけでなく、地域の企業や大学との共同研究のプラットフォームとして生かしていきたいとしている。