「事業の成果を基に会社を設立した人の比率は10.1%に上る。これは、米国の調査による各国の一般事業化率を大きく上回る数字だ」。情報処理推進機構(IPA)は2007年8月27日に報道機関向けの説明会を開催、「未踏ソフトウェア創造事業」の事業化率が高いことなどを挙げて同事業が順調に推移していることを強調した。

 同事業は、IT市場の活性化に向けてIPAが2000年から取り組んでいるソフトウエアの開発支援事業である。基本的な個人を対象とした支援事業で、特に優れた開発者は「スーパークリエーター」として認定している。応募枠には28歳未満を対象とした「未踏ユース」と、年齢制限のない「未踏本体」の2種類があり、2007年度第I期までに合計693件のテーマを支援、1193人を「発掘」したとしている。「Namazu」の開発者である高林哲氏、「SoftEther」の登大遊氏、「Ruby」の松本行弘氏は、いずれもこの事業の出身者だ。

 
 IPAが引き合いに出したのは、米バブソンカレッジの調査。2006年において、18~64歳の人口から任意に2000~1万人を抽出、それを母数として事業化が決定した数を分子とした比率である。各国の事業化率は、日本が1.6%、米国が7.5%、中国が6.7%などとなっている。

 さらに、IPAでは、ソフトウエア企業トップ15の研究開発投資額1億円当たりの米国特許出願件数(2002年)と、未踏事業による特許出願件数を比較した。それによると、トップ15企業は0.15件に対し、未踏事業では事業費1億円あたり2.34件だったという。

 今後の活動のポイントとしては、1000人を超える支援人材の横の連携や、データベース化を図ることなどを挙げた。前者については、未踏フォーラム(仮称)を開催、ベンチャーキャピタリストやCEOなどを交えた未踏コミュニティを結成する予定である。後者では、10月をメドに開発者データベース「未踏iPedia(仮称)」を立ち上げるという。