米Microsoftは10月4日(米国時間),ボリューム・ライセンス制度で販売する「Windows Vista」と「Windows Server “Longhorn”」(開発コード名)にも,アクティベーション(ライセンス認証)を導入すると発表した。現行のボリューム・ライセンス版Windowsにはアクティベーションは不要だが,Windows VistaとLonghorn Serverでそれを改める。
マイクロソフトはボリューム・ライセンス版Windowsに導入するアクティベーションのことを「Volume Activation 2.0」と呼んでいる。詳細に関するWordファイル「Microsoft's Software Protection Platform: Innovations for Windows Vista and Windows Server “Longhorn”」(英語)の公開も開始した。
現行バージョンではアクティベーションは不要
マイクロソフトは現在,パソコン・メーカーやサーバー・メーカーがマシンにインストールして販売する「OEM版」のWindows OSと,ボリューム・ライセンス版で販売するWindows OSや「Microsoft Office」にアクティベーションを導入していない。そのため,ボリューム・ライセンス制度でマイクロソフト製品のライセンスを購入している多くの企業ユーザーが,アクティベーションの手間を省けている。
それがWindows VistaとLonghorn Serverになると,ボリューム・ライセンス版であってもアクティベーションが必要になる。OEM版に関しては,従来通りアクティベーションが不要だ。つまり,パソコンにバンドルされた「Windows Vista Business」を利用するのであればアクティベーションは不要だが,ソフトウエア・アシュアランスを追加購入すると入手できる「Windows Vista Enterprise」を使う場合は,アクティベーションが必要になる。Longhorn Serverを使う場合も,パッケージ版と同様に,アクティベーションが必要になる。
複数マシンのアクティベーションができる「MAK Key」
ボリューム・ライセンス版Windowsのアクティベーションは,パッケージ版のアクティベーションと大きく異なる。
ボリューム・ライセンス版Windowsを購入した企業ユーザーには,1個のプロダクト・キーで複数台のマシンのアクティベーションができる「Multiple Activation Key」(MAK Key,「マック・キー」と発音する)か,ユーザー企業内に置くアクティベーション・サーバー(Key Management Service)がアクティベーションする「Key Management Service Key」(KMS Key)が提供される。
MAK Keyを使ってインストールしたWindows VistaやLonghorn Serverのアクティベーションは,パッケージ版と同様,マイクロソフトのアクティベーション・サーバーと通信して実行される。マイクロソフトは,アクティベーション・サーバーとクライアント・マシンとの直接の通信を認めたくないユーザー企業に対して,「MAK Proxy」と呼ばれるアクティベーション用プロクシも提供する。
社内サーバーでアクティベーションする「KMS Key」
KMS Keyを使ってインストールしたWindows VistaやLonghorn Serverをアクティベーションするのは,ユーザー企業内に置かれたアクティベーション・サーバーであり,マイクロソフトのサーバーとの通信は必要ない。マイクロソフトはWindows Server 2003用のアクティベーション・サーバー・ソフトウエア(Key Management Service)を2007年春に提供する予定だ。なおKMS Keyを利用できるのは,25台以上のWindows Vistaまたは5台以上のLonghorn Serverを購入したユーザー企業だけである。
Volume Activation 2.0に関しては,不明な点も多い。マイクロソフトは,販売パートナ向けの説明会を10月13日から順次開催する予定。ITproでも詳細が分かり次第,詳しくレポートする。