「次世代IPネットワーク推進フォーラム」は8月31日,通信事業者やインテグレータ,コンテンツ事業者,有識者,一般消費者,総務省など幅広い関係者を集めたシンポジウムを開催した。これだけ多彩な立場の関係者を集めた次世代ネットワーク(NGN)関連の討論会は珍しい。
シンポジウムは2部構成で,第1部はNGNに移行する際の影響やNGNの将来性,課題などを討論。第2部はパネリストを入れ替え,NGNによって変わる生活シーンやビジネス・シーンなどについて議論が進んだ。
実際はパネリスト各自からのプレゼンテーションが中心で,討論する場面は少なかったが,幅広い関係者が集まっただけに多様な意見が飛び交った。今回のシンポジウムで特徴的だったのは,「NGNをどう使うのか」というユーザーの視点を意識した発言が多かったこと。
例えば,「NGNはネットワークの“ソフト化”と言える。ネットワークが柔軟性を増すことで,さらにサービスが多様化してユーザーにメリットがでる」(インテックの滝沢光樹取締役CTO執行役員専務),「ユーザーは技術や仕組みは関係なく『何ができて,その料金がいくらなのか』という点が重要。NGNで多様なサービスと言われるが,すべてのユーザーがそこまで求めていない。電話やテレビはほとんどの国民が使うが,パソコンはそうでない部分もある。シンプルな選択肢は残しておいてもらいたい」(主婦連合会の河村真紀子副常任委員),「コンテンツや端末のビジネスを活性化させることがNGN本来の役割ではないか。これらを売るためのNGNの在り方がポイントだ」(インデックスの寺田眞治経営戦略局長)――など,通信事業者以外からの声が目立った。
第1部のパネリストは,NTTの有馬彰取締役,京都大学の依田高典助教授,KDDIの冲中秀夫執行役員技術渉外室長,ジュピターテレコムの加藤徹取締役商品戦略本部長,主婦連合会の河村副常任委員,総務省総合通信基盤局事業政策課の鈴木茂樹課長,インテックの滝沢取締役,日本テレコムの弓削哲也専務執行役員,日本インターネットプロバイダー協会の渡辺武経会長。
第2部は,慶応義塾大学の青山友紀教授,東京大学の江崎浩教授,電通総研の後藤幹雄常務取締役,インデックスの寺田局長,情報通信研究機構の松島裕一理事,インターネットイニシアティブの三膳孝通取締役戦略企画部長,総務省総合通信基盤局電気通信システム課の渡辺克也課長。