ブランク氏は、ベンチャー企業が順調に成長しているかどうかを判断する基準がないことに注目しました。そこでNASA(米国航空宇宙局)の技術成熟度(TRL)を参考に、投資家視点の評価基準を新たに定め、「投資成熟度レベル」(IRL)と名付けました。(ITpro)

 インキュベーターとかアクセラレーターが開催する「デモ・デイ」(投資先ベンチャー企業が成果発表するイベント)で、揺籃期のスタートアップ企業を選別する投資家たちには、判断基準が3点あります。最初は、製品デモが見た目に素晴らしいこと、二番目は説得力のあるパワーポイントのプレゼン、三番目は世界に通用する超一流の創業者チームであることです。

 私たちは、それ以上のことができると考えます。

 私たちには今、インキュベーターやアクセラレーターを次の段階に導くツールやテクノロジー、そしてデータがあります。創業者チームは投資家たちに「繰り返しや拡張が可能なビジネスモデル」の証拠を見せることで、自分たちの能力を証明しアイデアを実証できます。加えて、私たちは投資家たちに「マネーボール」をプレイする評価基準、投資熟成度(IRL)を提供できます。

 以下では、それを説明します。

 私たちは過去3年間にわたり、スタートアップ創業の手法やクラス、そしてアクセラレーター、ソフトウエア・ツールを構築し、約500社のスタートアップ・チームで検証しました。

・リーン・スタートアップ手法は、起業家にとっての重要事項、すなわちビジネスモデルの発見に焦点を合わせるための枠組みを提供します。創業者チームは、リーン・スタートアップ用のツール群(ビジネスモデル・キャンバス、顧客開発プロセス、アジャイル・エンジニアリング)を使います。これら3種のツールは、スタートアップ企業が初期段階で最も重要な項目(製品、製品と市場の適合性、顧客の獲得、収入モデルと経費モデル、販売チャネルとパートナー)に焦点を当てることを可能にします。

・現在、リーン・ローンチパッド・クラスとNSFのI-Corps(イノベーション部隊)アクセラレーターで、実証に基づいたカリキュラムを教えています。そのカリキュラムで強調していることは、1)根拠となるデータは、その企業の外部に存在している、2)チームは、科学的な仮説検証の手法を使用する、3)チームは毎週、継続的に下記の進捗状況を確認する――です。
・仮説――私たちが考えたこと
・実験――私たちが実行したこと
・データ――私たちが学んだこと
・洞察と行動――私たちが次に行うこと