Linuxの特徴として,たくさんのメーカーや団体などから様々なLinuxディストリビューションが公開および販売されていることだ。これは,Linuxやそのほかの多くのアプリケーションがオープンソースとして公開されており,誰でも独自のLinuxシステムを開発することができるためである。さらに,Linuxディストリビューションについても,原則オープンソースとなっている。そのため,独自のLinuxを開発したい場合でもカーネルやデスクトップ環境などを一から作成する必要はなく,既存のディストリビューションを基に作ることができる。
現在,リリースされている多くのディストリビューションは何らかのディストリビューションを基に作成がされている。例えば,人気のある LinuxディストリビューションのUbuntuやKNOPPIXはDebian GNU/Linuxを,FedoraやVine Linux,TurbolinuxなどはRed Hat Linuxをベースが基となっている。Linuxディストリビューションの派生状況を図にしている「GNU/Linux distro timeline」を参照すれば,1つのディストリビューションから様々なディストリビューションが派生してることを実感できるだろう。
ディストリビューションを新たに作成する際,著名なディストリビューションを基にすると,ハードウェアの認識機能や設定などといった基本となる機能が充実している。そのため,基本部分の検証は行わずに,カスタマイズする部分に開発の注力できる利点がある。例えば,Debian GNU/LinuxやFedoraなどは,利用しているユーザー数も多いことから,不具合などの情報が集まりやすく堅実なシステム開発が行える。
また,Ubuntuにおいても簡単に利用できるなどの定評があることから,Ubuntuをベースとしたディストリビューションが開発されている(写真1)。Ubuntuを支援しているCanonical社においては,Ubuntuを基とし環境や用途をカスタマイズした異なるディストリビューションを開発および提供するプロジェクトについても支援している。
そこで,本記事では2009年4月23日にリリースされた最新ディストリビューションの「Ubuntu 9.04」を基としたLinuxディストリビューションを紹介する(Ubuntu 9.04については人気Linuxディストリビューションの最新版「Ubuntu 9.04」が公開 を参照)。