「うぅ~、どうしよ~。」
「まだ決めてなかったの?あんた。」
「だって~。」
文理選択。それは高1から高2へ進級する上で
最も重要と言える、その先の人生にも大きく関わる決断だ。
そう簡単にぽんと決めることなんて出来ない。
「ふうん?あんたは文系一択だと思ってたんだけど。」
「え、なんで?」
意外ね。そう言って肩肘をつく怜生に花子は目を瞬かせた。
すると怜生は何一つ表情を変えず、きょとん顔の友人を見据えた。
「そりゃ、あんたが暗記科目が得意で理系科目が苦手だからよ。
将来の夢や目標も特にないし。英語は文理関係なくついてくるからね。」
…確かに私は将来的に何をしたいか全然決まってない上に
大嫌いと胸を張って言える英語の次に数学や理科も苦手だ。
英語と言えば文系だけど、理系に進んでも英語科目は多いし
英語から逃れることなんて出来はしない。
けど。
「怜生…君って意外と私のこと見てるのね。」
なんだか照れてきて「えへへ」と笑う花子に
怜生は一瞥して「別に」と顔を背ける。
わずかに色づいたその頬を見て、花子は更に笑みを強めた。