[書評]10倍売る人の文章術(ジョセフ・シュガーマン)
アフィリエイト・ブログの文章術
山ほどあるアフィリエイト・ブログで商品を買う気も起きなかったのには、なるほどこんなわけがあったのか。
アフィリエイト・ブログの文章がダメだからです。読ませません。買う気も起こさせません。世の中儲けたいと思っても文章が下手な人が多いからなのだろうと思っていました。違いました。文章が上手とか下手とかの問題ではなかったようです。重要なのは、売るための文章技術なのです。
全米NO.1の セールス・ライターが 教える 10倍売る人の 文章術 |
なるほどそうだったのか
アフィリエイト・ブログを読む人の立場になってみることが重要だと思っても、実際にはなかなか難しいものです。売る立場にいると、購入者の気持ちがわからなくなります。でも本書の著者シュガーマンはそこをうまく言い当てています。
読者が宣伝文を読みながら考えることのひとつは「本当にこれを買ってもよいのだろうか?」です。繰り返します。必ず出るその疑問を解決しなければなりません。そうしないと見込み客のあらゆる質問に答えることができず、結局は「いや待て」と考え直す口実を与えてしまいます。そうなれば買ってもらえないのはもちろんです。
宣伝文のどこかで買い手に購入の大義名分を提供することにより、いかなる異論・反論にも対処しなければなりません。
購入者は賢いものです。例えば、ブログに不味そうなキャベツ炒めの写真が載っていても、これって不味そうなんじゃないとコメントをくれたりトラックバックをくれるような親切さはそう持ち合わせていないのです。不味そうと思ったら最後読み逃げしてしまいます。
でも実際、写真は見るからに不味そうです。どうにかならないのでしょうか。うまく購入者に、大丈夫これでもいいんだよと大義名分を与えるのにはどうしたらいいのでしょう。
そこからブログ文章術の第一歩が始まります。いろいろな対処があるでしょう。私は正直に謙虚な立場を取ります。私は料理が下手だけど、みなさんならきっとうまく行きますよ、そこがうまく伝えられるならどんなに不味そうな写真を掲載しても大丈夫です。
………ギャグはここでおしまい。
以下はいつもブログのノリで。
本書は、一九九八年に米国で刊行された”Advertising Secrets of the Written Word: The Ultimate Resource on How to Write Powerful Advertising Copy from One of America's Top Copywriters and Mail Order Entrepreneurs ”(参照)の翻訳で、オリジナルの標題を読むとわかるように、メールオーダー(通信販売)でビジネスする人が雑誌などにどう広告文を書くかということを解説した書籍だ。セミナーもベースの一つになっているせいか、とても実践的な臨場感もある。この分野の書籍の古典でもあるようだ。
今でもこうした通信販売向けの文章術が必要かというと、必要ともいえる。ウェブが発達した現代でも米国の雑誌には、いまだに昔ながらのメールオーダー的な広告文が多い。(私の場合、ネットが興隆する以前から米国の雑誌などが好きなので、この手の文章主体の広告をよく見てきたから、本書は読んでいてとても懐かしい感じがした。)
すでにインターネット時代になるとメールオーダーよりもウェブを経由した販売やアフィリエイトのほうが主流になっていると思うし、本書の訳本が直接的に価値を持つのもそのあたりかなと思って、上のギャグを書いてみた。
日本の場合、従来は、読ませるタイプの広告や、メールオーダー的なビジネスというのは盛んではないが、ウェブが興隆してからは多少流れは変わって、むしろ今でこそ、この手のB級コピーライティング文章術が注目されるようになってくるだろう。考えようによっては、団塊世代向けの通販の広告文ってこんな、昔の米国の通販広告文みたいななものになるかもしれない。
本書を購入してマジでこのセオリーで広告文を書こうとする人は少ないだろうが、B級広告文の出来方や、B級カルチャーの文章がどのように形成されるかという背景を知るにはとても面白い。読みながら、「な、なるほど」とか頷く箇所がけっこうあったし、単純に笑えて面白い話もいろいろあった。アメリカ人にはなりたくないもんだと、しみじみ思える点も秀逸である。
もっともただのギャグ本ではない。多少なりともこうしたB級広告的な世界を覗いた経験のある人なら、本書のなかに、けっこうマジな販売促進のヒントが溢れているのも見つけるだろう。たとえば、「解決策を売る、予防策を売らない」といったあたりの説明は参考になる人も多いに違いない。
本書の価値をもっとマジに考える人もいるのだろう。本当かどうかわからないが、本書の広告にはこうある。
この本の英語版が日本で5万円もの高値で売買。幻の名書が初めて日本語で読める!
本当にこの本の翻訳書が五万円くらいで販売されていたのか私は知らないが、この手のノウハウ本が数万から数十万するというのはよくある話だった。今でもそうなのだろうか。
さて、本書のセオリーどおりなら、エントリーの末には、今すぐ購入を促すようなプッシュの一言が必要になる。でも、私のブログはそれだけが目的ではないので、気取るわけではないが、そこまで真似しないことにするが、1400円分の損はないですよ。いやいやつまんないとお感じなら3ヶ月後に代金を返却しますっていかないのでその点はよろしく。(べたなアフィリエイト・トラバも洒落にならないんで、すぐ消すからね。)
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コメント
何か微妙に気にしてるようだが「その夜の終わりに」は此処で知って購入したよ。今、足元に転がってるよ。
諸星大二郎「西遊妖猿伝」は?ダメ?あれ読んでから三蔵法師の興味覚えたよ、ワシ。
投稿: トリル | 2007.04.07 16:30
はじめ真剣によんじゃいました
アマゾンのウィッシュリストにも加えてしまいました
ギャグだったのかあ…
投稿: carrot | 2007.04.07 16:53