フリーのサウンドフォントプレイヤー sfz の使い方
FL StudioにはFruity Soundfont Playerというサウンドフォントプレイヤーが付いています。音質・機能も申し分なく、CPU負荷も小さいため勝手が良いのですが、1つだけ弱点があります。常にサウンドフォントファイル全体をロードする仕様となっているため、メモリ使用量が大きいのです。このため、CGM3.1のような巨大サウンドフォントを利用することができません。
sfzを使えば、設定次第でサウンドフォントファイル中の1つの音色だけをメモリ上にロードすることができるため、メモリ使用量を節約でき、巨大なサウンドフォントを利用することができます。
今回紹介する内容は次のとおりです。
・sfzの特徴
・sfzのダウンロードとインストール
・sfzの追加方法
・サウンドフォントのロード方法
・チャンネル毎の設定
・再生品質の設定
・内蔵エフェクトの設定
・オートメーションによる制御
・サンプルプロジェクト
お詫び:
私の編集ミスにより、2008/4/26-4/27の間、記事の後半が別プラグインの説明になっていました。
2008/4/28 0:30に正しい内容に戻しましたので、是非再読をお願いします。
注意:
FL Studio 8で複数のsfzを使用すると、ノイズが発生し正しく演奏されません。
FL Studio 7では発生しないので、FL Studio 8特有の問題だと思われます。今後のアップデートに期待したいところです。
■ sfzの特徴
・マルチティンバー(複数パートの同時再生)に対応(最大16チャンネル)
・最大同時発音数256音
・ベロシティレイヤ数上限なし
・キーボードスプリット数上限なし
・エフェクト(リバーブ・コーラス)内蔵
■ sfzのダウンロードとインストール
[ Project5.com - SFZ Player ]ページを開き、[DL]ボタンを押してsfz197.exeをダウンロードします。
sfz197.exeを実行してインストールを開始します。
[Next]ボタンを押します。
VSTプラグインのインストールフォルダを指定し、[Next]ボタンを押します。
[Install]ボタンを押します。
■ sfzの追加方法
[CHANNELS]-[Add one]-[More...]メニューを選択します。
[Refresh]ボタンをクリックして[Fast scan(recommended)]メニューを選択します。
sfzをチェックし、[X]ボタンを押して画面を閉じます。
[CHANNELS]-[Add one]-[sfz]メニューを選択します。
sfzが追加されます。
■ サウンドフォントのロード方法
(1) モードの選択
サウンドフォントをロードする前に、[MODE]でサウンドフォントのロード方法を選択します。
MODEでは5種類のモードが選択できます。どのモードを選択しても音質に差はありません。
・SF32
サウンドフォント内のすべての音色を32ビットに変換してロードします。
演奏時のCPU負荷が軽い反面、サウンドフォントサイズの約2.5倍のメモリを消費します。
このモードはSSE機構のついたPCでのみ利用できます。
・SF16
サウンドフォント内のすべての音色を16ビットでロードします。
メモリ消費量はSF32モードの約半分ですが、演奏時のCPU負荷はSF32モードよりも高いです。
・PR32
選択された音色1つだけを32ビットに変換してロードします。
演奏時のCPU負荷が軽く、メモリ消費量も少ないです。
演奏中に音色切り替えを行うと全パートの発声が一時中断されます。
このモードはSSE機構のついたPCでのみ利用できます。
・PR16
選択された音色1つだけを16ビットでロードします。
メモリ消費量はPR32モードの約半分ですが、演奏時のCPU負荷はPR16モードよりも高いです。
演奏中に音色切り替えを行うと全パートの発声が一時中断されます。
・DFD
音色をメモリ上に事前ロードしません。
必要に応じてディスクストリーミングによりリアルタイムでディスクからの読み込みを行います。
全モード中一番メモリ使用量が少ないですが、音色を読み込むためにごくわずかなロード時間を
発生しますので、プチノイズが発生する場合があります。
表にまとめると次のとおりです。
MODE | CPU負荷 | 使用メモリ | 注意点 |
SF32 | 小 | 大 | サウンドフォントの大きさに比例して使用メモリが増大 |
SF16 | 大 | 大 | サウンドフォントの大きさに比例して使用メモリが増大 |
PR32 | 小 | 小 | 音色変更で音が途切れる |
PR16 | 大 | 小 | 音色変更で音が途切れる |
DFD | 中? | 極小 | プチノイズの可能性 |
モード選択のコツは次のとおりです。
・演奏中に音色の切り替えを行わない場合、PR32モードを選択する。
・演奏中に音色の切り替えを行い、かつサウンドフォントが小さい場合はSF32モードを選択する。
・演奏中に音色の切り替えを行い、かつサウンドフォントが大きい場合はDFDモードを選択する。
・DFDモードではバッファアンダーランによるプチノイズが発生しやすいです。
ASIOのバッファサイズを大きめに設定すると若干マシになりますが、100%回避することはできないようです。PCのチューニング(不要プロセスの停止・デフラグ等)で発生率を低めることができるようです。
マシンスペックが低い場合やチューニングが面倒な場合はDFDモード以外を選択するのがよいでしょう。
(2) サウンドフォントのロード
[FILE]の横のボックスをクリックします。
[Load Sample File]画面が表示されます。
サウンドフォントファイル(*.sf2)を選択し、[開く]ボタンを押します。
サウンドフォントがロードされます。
2回目以降は、[>マークをクリックして今まで開いたサウンドフォントファイルを一覧から選択できます。
次のメッセージが表示された場合、サウンドフォントを読み込むだけの空きメモリがありません。
モードを変更して再度サウンドフォントをロードしてください。
■ チャンネル毎の設定
[CHANNEL]をクリックすることで、設定対象とするチャンネルを選択できます。
チャンネル毎に設定可能な項目は、[BANK][PROGRAM][POLY]の3項目です。
(1) 音色の選択
[BANK][PROGRAM]をクリックして音色のバンク・パッチ番号を選択します。
(2) 最大発音数の設定
[POLY]をクリックしてチャンネルの最大同時発音数を選択します。
[V]の値を見ることで、現在の同時発音数を確認できます。
■ 再生品質の設定
[QUALITY]をクリックして音色の再生品質をdraft(標準)~72(最高品質)の範囲で指定します。
再生品質を大きくするとCPU負荷が大きくなります。
■ 内蔵エフェクトの設定
サウンドフォントの音色の中には、リバーブとコーラスをかけることを前提に設計されたものがあります。これらの音色には、リバーブとコーラスへのセンド量が設定されています。
[EFFECT]をOnにすることで、sfz内蔵のリバーブとコーラスを有効にできます。
■ オートメーションによる制御
sfzは次のコントロールチェンジに対応しています。
Pitch bend
MIDI CC #1 (Modulation wheel)
MIDI CC #7 (Main volume)
MIDI CC #10 (Pan)
MIDI CC #11 (Expression)
MIDI CC #12 (Reverb Size)
MIDI CC #13 (Chorus Speed)
MIDI CC #64 (Damper pedal(Sustain))
MIDI CC #74 (Brightness(Cutoff))
MIDI CC #91 (Reverb level)
MIDI CC #93 (Chorus Level)
MIDI CC #73 (Attack time)
MIDI CC #76 (Hold time)
MIDI CC #75 (Decay time)
MIDI CC #70 (Sustain time)
MIDI CC #72 (Release time)
[Browse parameters]メニューを選択してパラメータ一覧を表示し、右クリックメニューから[Edit events]メニューを選択することでオートメーションを入力できます。
■ サンプルプロジェクト
sfzを使ったサンプルプロジェクトを用意しました。
ダウンロードはこちらから: [ fl7sfz-demo.zip ]
本プロジェクトの再生には、サウンドフォントSGM2.01(記事「GM規格準拠のフリーのサウンドフォント SGM の紹介」参照)が必要です。
ZIPファイルの内容は次のとおりです。
(1) サンプルプロジェクト
曲はいつものやつです・・・。
fl7sfz-demo.flp : sfzのマルチティンバー機能を使ったサンプルです。
fl7sfz-multi-demo.flp : sfzを4つ同時に使ったサンプルです。
(2) MIDI Outプリセット(MIDI Out Preset(sfz).fst)
sfz用のMIDI Outプリセットです。
MIDI Outジェネレータにドロップしたあと、ポート番号をsfzと合わせてください。
(3) Dashboardプリセット(Dashboard Preset(sfz).fst)
sfz用のDashboardプリセットです。
Dashboardジェネレータにドロップしたあと、ポート番号をsfzと合わせてください。
以上
僕の環境ではFL8でsfzを複数起動しても特にノイズはなく普通に使えています。FL7でも同様です。
オーディオI/Fなどの環境にもよるのではないでしょうか。参考までに・・。
FL8のバージョンは、ILからDLしたデモ版を、BOX版FL7で取得したregでレジストしたものですので初版?と思います。
アップデート権を買わないと8→8.0.1みたいなマイナーアップデートもできないんでしょうか…
FL8の微妙なリビジョンの違いで動く・動かないがあるのかもしれませんね。調査してみます。
アップデートの件ですが、ウィキ(http://www42.atwiki.jp/fruity/pages/78.html)のアップデートとバージョンアップとグレードアップのまとめのところを見る限り、マイナーアップデートにもライフタイムアップデート権が必要なようですね。
逆に言えばライフタイムアップデート兼さえ買ってしまえば、今後のアップデートはすべて無料になりますから、とてもお買い得だと思いますよ。
> FL Studio 7では発生しないので、FL Studio 8特有の問題だと思われます。
ttp://cn92330.blog94.fc2.com/blog-entry-84.html
ttp://blog.oovch.net/article/109495853.html
このような情報があるのですが、こちらが該当するのではないでしょうか?
全くの素人でサウンドフォントを試験するために本ページを見ています。
sfzダウンロードからインストールまではできましたが、■ sfzの追加方法で止まってしまいました。これはどこで行うのか教えて頂けないでしょうか?