施設の中の無愛着児童は「後追い」しない
でも、題名の通りばかりとは言えない子も施設で生きている。
施設の子にも時々、無愛着とはいえない子が出てくる。施設であるにも関わらず優しい保母が1人いると、愛着を示してしまい「後追い」してしまう子が出てくる。わたしの居た施設にもそういう保母がいたそうだ。その保母はおそらく無愛着なわたしには関心がなかったのだろう、その保母に愛着を示したA子は誰にも取られまいとして、保母にずっと勉強を見てもらったり相談に乗ってもらったそうだ。
でも、そこはやはり施設。A子が愛着を示して大問題になったそうで、保母もろとも厳重注意となり、あげくの果てには「お前は○○姉さんを独り占めして、お前はお姉さんに給料を払えるのか!」とカミナリが落ちたそうな。
A子は当時、中学生。乳児院からやってきて無愛着だった子がうまれて初めて優しい保母、関わり続けてくれそうな人に出会い、とうとう愛着が湧いてきてしまい、止まらなくなったそうな。独り占めをしたいという気持ちは強くなり、誰にもお姉さんを触らせたりしゃべらせたくなくなったそうだ。
これは、里親家庭だと良い兆候なのだが、施設なので彼女は問題行動をした事になり、かなり遅れての出発とはいえ、愛着を示し始めた彼女の気持ちは断ち切られてしまった。彼女はいまだに結婚してない、何となく、子どもの心になった不安が強すぎて結婚という道へ至れないようだ。彼女はその保母に今でも果敢に連絡しているそうだ。
わたしからみたら、この話は最初よくわからなかった、しかし、数年間、時々この記事を書いているうちに、子どもの発達心理という観点から見るようになり、この怒鳴りつけた職員だけでなくこの児童養護施設のシステムでは、とても安定した愛着が育つわけがないと確信するに至った。
わたしが並々ならぬ、養護施設は家族でも家庭でもないという訴えの気持ちが強くなるのは、こういう事や、ああいう事など、思いつく限りのヘンテコな、いかに児童に誰かと愛着を作らせないかにまい進している施設の姿が常にあるからだ。
このように、誰か対象者が施設で見つかったとしても完全に断ち切られてしまう。後追いをした児童は問題行動を起こした事で叱責を受け、誰の事も追ってはならないと言われる。
だから施設の子は仮に愛着を作ろうとしても、発達を全く無視した管理体制によって、打ち砕かれる。意味ない事をしなかったわたしは、彼女を初めは小ばかにするような気持ちがあった・・・でも今は彼女の方が、わたしよりも愛着に関して努力し続けていたのだと知り、申し訳なく思う。
それなのに、養護施設サイドは世間へ向けては過度に「施設は大きな家族」とのたまうので、いっそう頭にくるのだと気付いた。「施設は家庭じゃありません」と言えない事情が判らない。と思うと、一秒ごとに頭にきてしまう。
| 養護施設にいる間の問題 | 08時45分 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑
自分の気持ちにも気付いてしまった
hanahanaさん、この出来事を聞いたばかりの頃は、A子に対する批判めいた気持ちがあった事に気付きました。これはきっと彼女が愛着を育てようとした事に対する、その他の施設児童としての反応だと思います。
その他の児童のわたしは、今もその他大勢の中で生きようとするから、愛着が作りづらいのだとも・・・。
| レイ@hanahanaさん | 2007/04/11 10:38 | URL | ≫ EDIT