一定の収益を確保しつつ、社会・環境課題の解決を目指す「インパクト投資」が急拡大している。日本ではこの5年間で投融資残高が30倍以上に増え、足元でも新規ファンド立ち上げの動きが出ている。曲がり角を迎えつつあるESG(環境・社会・企業統治)投資と異なっているのは投資先が社会にもたらす影響を特定・測定・管理する点だ。
「日本では、金融機関を中心にインパクト投融資を推進しようというものすごい波が来ている」。GLINインパクトキャピタル(東京・港)の秦雅弘代表パートナーはこう力を込める。2025年前半にもインパクト投資の2号ファンドを新たにつくる考えで、現在は資金提供を募って企業や金融機関を訪問。最大300億円の規模を目指す。気候変動や水・食糧問題、少子高齢化といった日本や世界が直面する課題の解決を進めるスタートアップに投資する。
GLINインパクトキャピタルは日本におけるインパクト投資の先駆けで、20年に三菱商事の元社員らが創業した。米ハーバード・ビジネス・スクールで教材としても取り上げられた。1号ファンドはかんぽ生命保険や三井住友信託銀行、三菱地所といった大手企業から資金を集め、これまで計8社のスタートアップに投資してきた。
投資先企業の1社である坂ノ途中(京都市)は企業ビジョンとして「100年先もつづく、農業を。」を掲げる。環境負荷の小さい農業を実践する農家と提携し、栽培計画なども一緒に立案する。収穫した野菜や米、果物などは坂ノ途中がオンラインや定期便を通じて販売する。
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