2014年、イオンを皮切りに複数社が相次ぎ参入した格安スマートフォン(スマホ)。各社が狙うのは、市場の5割を占める「ガラケー」ユーザー。格安スマホはガラケーにとって代わるか、はたまた一流行にとどまるのか。
イオン、楽天、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、ビックカメラ、ニフティ…。IT通信業界での昨年のトレンドの一つは、確実に「格安スマホ」だっただろう。2014年、小売りや流通、ITの大手企業が続々と参入を発表し、大きな話題を集めた。先月には大手通信キャリアからもKDDIが参入を発表。格安スマホに使用する国内のサービスの契約数は100万台を超え、半年間で倍増した。
格安スマホとは、仮想移動体通信事業者(MVNO)が大手携帯電話会社から回線の一部を借りて提供する格安SIMと、低価格な端末を組み合わせて利用するスマホのこと。現在主流のスマホのほぼ半額の月額3000円前後で利用できるのが最大の特徴だ。サービス提供各社が狙うのは、「スマホは欲しいけど、価格が高いからお断り」と考えてガラケーを使い続けているユーザー層。格安スマホの市場は現在まだ携帯電話市場全体の数パーセントに留まるが、今後爆発的に拡大すると見られているために各社がこぞって参入している。
スマホの登場以降、「時代遅れ」と言われ続け、じわりじわりとシェアを落としてきたガラケー。しかし、いまだ根強い人気を誇っていることは間違いない。格安スマホの登場は、ガラケー市場にどれだけ大きなインパクトを与えるのだろうか。
普及に向け進む環境整備
格安スマホの普及に向けては、確実に追い風が吹いている。
最大の追い風と言えるのが、今年5月の「SIMロック」解除の義務化。利用者の端末を他の携帯会社で使えなくする制限を取っ払うことで、大手通信社から格安スマホ会社への乗り換えが進むと見られている。総務省ではこれにより、2016年までに格安スマホの契約件数を現在の約2倍に増やす目標を掲げている。
また当初は「電話とメールをするだけの端末」と言う位置付けだった格安スマホだが、既存のスマホにも見劣りしない関連サービスも相次ぎ登場している。
ソフト大手のソースネクストは、昨年11月から格安スマホ向けのアプリ使い放題サービス「アプリ超ホーダイ」を始めた。月額360円支払えば、ソースネクストが選んだ50本以上のアプリを定額で好きなだけ使用できる。同社の松田憲幸社長は、「スマホの最大の特徴は、アプリで様々なサービスを利用できる点。格安スマホでも既存のスマホと同等のアプリを、低価格で利用できる環境を整えたい」とサービス拡大に向けた意気込みを語る。松田社長は自らシリコンバレーに移り住み、日々優良なアプリ開発ベンチャーの発掘に勤しんでいる。
米国や韓国などの他国に比べて、圧倒的に低い日本のスマホ普及率。「先端技術に対する感度が他の先進国に比べて鈍ってしまえば、国の競争力低下にもつながる」(格安スマホサービス提供社)点も危惧されており、政府も普及に向けた環境整備を積極的に行っている。
ではガラケー市場はどうか。
実は、これまで変化がなかったガラケー市場にも新たな動きが出始めている。
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